高岡古城公園は富山県西部の中心都市、高岡市にある自然あふれる公園です。高岡市の中心部にあるこの高岡古城公園はおよそ400年前の江戸時代、加賀藩二代目当主・前田利長公が築いたお城「高岡城」の城跡でもあります。当時の面影を残したスポットもあり、歴史にロマンを感じます。今回は高岡の歴史を巡る公園散策をしましょう。
高岡古城公園とは・歴史
高岡古城公園は高岡市の中心に位置する緑あふれる自然公園です。その総面積はおよそ21ha。
東京ドームおよそ4.5個分の大きさだそう!アーティストが4組同時にコンサートを開催できそうなキャパシティーですよね。
周辺には高岡駅が徒歩10分圏内にあり、駅前の栄えた場所に緑豊かな公園が存在感を放っています。
社団法人「日本公園緑地協会」によって日本の都市公園100選に選ばれている古城公園。
公園内で犬の散歩をしたり、おしゃべりしたりと地域住民の憩いの場所となっています。毎日通っているというご年配の女性は「いつ来ても飽きない。ほどよいアップダウンが運動になっていい」と教えてくれました。
前田利家が築いた最強の城「高岡城」
加賀藩二代目当主前田利家が築いた高岡城。なぜこんな街の中心部に広大な敷地の公園があるのか。
その歴史は古く、遡ることおよそ400年前の江戸時代。かの有名な前田利家の長男で加賀藩二代目当主・前田利長公が慶長14年(1609)に築いたお城です。その名も「高岡城」。
当時、理論上最強の城と言われた高岡城。攻め込んできた敵をやっつける最強の防衛施設「馬出」が連続で続く難攻不落の城と賞賛されました。また、およそ21haある広大な敷地の3分の1が水堀からなり、その複雑な地形や設計は多くの敵兵を撃退する、まさに「最強の城」でした。
しかし元和元年(1615)に一国一城の令によりたった6年で廃城になり、幻の名城となったのです。城跡が残った後は町民から「古御城(ふるおしろ)」として親しまれていました。
時はたち明治3年(1870)、金沢藩は高岡城跡を民間に払い下げ、開拓を命じ城跡が消失の危機に。
築城以来260年余り親しまれてきた場所が失われるのをなんとか防ごうと、高岡を代表する町役人服部嘉十郎らが立ち上がり、公園指定の請願書を提出。明治8年(1875)「高岡公園」として認定され城跡は無事に守られました。
こうして町民たちの力により今も当時の面影を残したまま自然豊かな歴史のある公園「高岡古城公園」として受け継がれています。
歴史的価値が多い国指定史跡に認定された高岡城跡
高岡古城公園内を散策するとお城だった名残りが多く、二の丸から本丸へつながる土橋は築城当時のままの石垣が残っています。残念ながら近くに寄ることができませんが石には築城時につけられた刻印もあるそうです。
今でも高い水準で当時の面影を残していることが評価され平成27年(2015)に高岡城跡は国指定史跡に決定されました。
高岡城が築かれたのは小矢部川や千保川が近くにある湿地帯。その中に浮かぶ標高およそ20mの台地でした。
高岡城は自然の地形を生かした完全防備のお城です。そのため高岡古城公園内を歩くと登ったり下ったりと坂道が多く階段を登りきるころには運動不足のTKGは息があがります。
いかにも山道といった道も多かったですが、澄んだ空気に小鳥たちのさえずりが響き渡りとても心地がよかったです。本当にここは高岡市の街中なのかと不思議な気持ちになりました。
高岡城は本丸から二の丸、鍛冶丸、明丸、三の丸、本丸東、小竹藪と7つの郭がありそれぞれの郭が土橋でつなげられた「連続馬出」という設計です。馬出とは防御と反撃の両方の機能を兼ね備えた、土橋の先に作られた陣地の事で、城を構成する7つの郭が今もそのまま保存されています。
また城の基本防御である水堀の面積は高岡城の3分の1を占め、郭の周囲は幅20メートルから30メートルの掘りで囲いこみ防御力を高めています。鉄砲の射程に対応するためこれだけ大きな幅の堀が必要だったそう。内堀、枡形掘、三の丸堀で形成され、これらも築城時の形がほぼ維持されています。
高岡古城公園は現在まで築城時の水堀が埋められず、城を構成する本丸など7つの郭がそのまま保存されているなど全国的にみても非常に珍しく貴重な城跡です。その保存率は全国トップクラス。
高岡古城公園のそこかしこにお城だった跡が多く残されているため日本100名城や日本の歴史公園100選に認定され、さらに国指定史跡にも選ばれました。いかに高岡城跡が歴史的価値が高いかよくわかります。
最強の城から名所へ
高岡古城公園にはザ・お城といった天守閣はありませんが歴史を楽しみつつ、四季折々の自然を堪能できることが魅力の一つです。
何といっても春の桜!高岡古城公園は日本さくら名所100選にも選ばれる桜の名所です。
公園内にはソメイヨシノのほか、コシノヒガンが多く植えられ18品種およそ1800本の桜を見ることができます。満開のときには歴史情緒あふれる風景に淡いピンクの花弁が咲き誇り、まさに和!日本の美!といった雰囲気が楽しめます。
公園内の映えスポット「朝陽橋」を渡れば、400年前にタイムスリップした気分になれること間違いなし。歴史に思いをはせてお花見するのもいいですね。
4月になればさくら祭りも開催されます。桜にボンボリが灯され屋台がたくさん並びます。
桜が広場を囲むように植えられている小竹藪広場は公園内で一番人気のお花見スポット。満開になるとたくさんの花見客が訪れシートを広げてくつろいだり宴会したりなど賑わいをみせます。2024年の桜祭りの情報はこちらからご確認ください。
高岡観光ポータルサイトたかおか道しるべ(公益社団法人 高岡市観光協会)
https://www.takaoka.or.jp/news/archives/8916
高岡古城公園内の施設を紹介
高岡古城公園は広大な敷地を活かして様々な施設があり立ち寄るスポットがたくさん!
小竹藪広場から時計回りにぐるっとご紹介していきます。
三の丸茶屋
小竹藪広場を抜けて見えてくるのが三の丸。そこに三の丸茶屋があり訪れた人の休息の場所となっています。中にはテーブルやイスなどが設けられ飲食もできます。自動販売機や売店もありますよ。
公園内を散歩して疲れ切っていたTKGは売店で瓶コーラを購入。のど越し最高でした。
三の丸茶屋は「まちの駅」にもなっていて、売店では銅器、漆器など高岡の伝統工芸品の他、古城公園ゆかりの前田利長をモチーフにしたご当地キャラクター利長くんのグッズなど多数取りそろえてあります。
高岡城を築いた時、城内でたくさんの人々が生活するため掘られた飲水用の井戸が数か所残っています。その一つが三の丸茶屋すぐ横にあるこの民部の井戸です。当時もっとも大事なものであったらしく今でも大切に保存されています。こんな所にも歴史発見です。
場所 | 三の丸茶屋 |
休憩スペース利用時間 | 9:00~17:00 |
お土産グッズ販売所営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日) |
RISTORANTE 古城亭
三の丸茶屋を奥に進むとイタリアンレストラン古城亭があります。
古城亭は高岡古城公園内という絶好のロケーションにあるお店です。昼間は古城公園の四季折々の雄大な景色を眺めながらランチを味わう事ができ、夜間はライトアップされた幻想的な公園をバックに優雅なディナータイムを過ごすことができます。
お子様連れには個室も利用することができるのが嬉しいところ。周りを気にせず家族でゆっくり過ごせそうですね。
名称 | 古城亭 |
住所 | 高岡市古城1-11 |
電話 | 0766‐28‐6685 |
営業時間 | ランチ 11:00~14:00 カフェ 14:00~17:00 ディナー 17:00~21:30 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日) |
高岡市民体育館(東洋通信スポーツセンター)
三の丸にもう一つあるのが高岡市が運営する市民体育館。令和元年からネーミングライツ(命名権)を導入して高岡市民体育館の愛称から「東洋通信スポーツセンター」になりました。ドーム状の屋根が特徴の外観です。
コートはバレーボール二面、ハンドボール一面などが取れますが、なんといっても高岡市民体育館はバドミントンの聖地。社会人バドミントンの最高峰といわれるチーム対抗のリーグ戦「バドミントンS/Jリーグ」で使用されている体育館なんです。世界の第一線で活躍する日本のトップ選手がここ高岡に集い熱い試合を展開します。世界ランク1位になったことがある桃田賢斗選手も試合に訪れた事があるそうです。
※現在(令和6年4月)は令和6年能登半島地震の影響で臨時休館となっています。
高岡古城公園動物園と自然資料館
続いて明丸へ移動。ここには高岡古城公園動物園があります。動物園には、ニホンザルやアメリカンミニチュアホース、フラミンゴやフンボルトペンギン、ウサギ等の小動物を中心に約40種135点飼育展示しています。親子連れに超人気のスポットで、実はここ入園料が無料なんです。
そのため気軽に訪れることができ、子育て中のTKGは何回もお世話になりました。我が子の推しはペンギンさんで、水の中を優雅に泳ぐ姿に大興奮。
期間は4月ごろから11月まで。1日2回行われます。1回目は10:30~11:00。2回目は14:00~15:00です。動物の体調が悪かったり悪天候だった場合中止になる事があります。
そんな時は動物園内に白い鳥さんの滑り台やうさぎさんの手洗い場で楽しみましょう。
また園内には自然資料館があります。
動植物約850点の標本・剥製が常設展示され、郷土の自然に関する企画展を年5回行っています。館内に授乳室・おむつ替えコーナーがあるのでおむつ替えも楽々です。
名称 | 高岡古城公園動物園 |
入園料 | 無料 |
電話 | 0766-20-1565 |
営業時間 | 9:00~16:30 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日) 年末年始(12月29日~1月3日) |
高岡市立博物館
続いて鍛冶丸へ移動。高岡城の入口、正門大手口のすぐそばに高岡市立博物館があります。
高岡市立博物館は、高岡の歴史・民俗・伝統産業に関する資料の収集保存、調査研究、展示、教育普及等に関する活動を行っています。
常設展示では「高岡の歴史」と「高岡の伝統産業・民俗」などをテーマに前田利長文書・高岡城図・明治商家・引札・銅漆器製作道具・下図など館蔵品を中心に紹介しています。歴史都市高岡をじっくり学ぶことができますね。
博物館には日本城郭協会が企画した日本100名城スタンプラリーの「日本100名城」の高岡城スタンプがあります。こちらは閉館後、会館外に設置されるため好きな時間にスタンプをゲットすることができます!スタンプラリーガチ勢の方は安心してお越しください。
名称 | 高岡市立博物館 |
入館料 | 無料 |
電話 | 0766-20-1572 |
営業時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで) |
定休日 | 月曜(祝日の場合は翌日)年末年始(12月29日~1月3日) |
駐車場 | 博物館前に10台ほどあり |
越中総鎮守射水神社
最後は本丸へ。高岡古城公園の中央、本丸跡に射水神社が鎮座しています。
古来より越中一宮として格式高く尊崇され、地元の人々に親しまれてきました。 御祭神は「瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)」で五穀豊穣や縁結びなどに御神徳があると言われています。境内は木々や花々と野趣あふれる庭園で、春の桜や秋の紅葉は見事です。季節の花手水や樹齢約400年の御神木「八重紅梅」、伊勢の神宮から特別に譲り受けた「第一鳥居」などが見どころです。
令和7年(2025)には、二上山から高岡城跡へ遷座して150年の節目をむかえます。
名称 | 越中総鎮守射水神社 |
電話 | 0766-22-3104 |
営業時間 | 9:00~17:00(毎日奉仕 年中無休) |
駐車場 | 令和6年能登半島地震の影響により臨時駐車場あり |
高岡古城公園の見どころ
古御城として親しまれた加賀前田家ゆかりの高岡古城公園。築城した江戸時代からおよそ400年、城跡はほとんど姿を変えることなく大切に守られてきました。天守閣はないものの日本100名城に認定された城跡を巡るのも醍醐味の一つですが、四季折々、様々な表情をみせる自然を感じるのもオススメです。
日本さくらの名所100選にも選ばれている春の春爛漫な景色は圧巻です。夏には青々とした新緑が生い茂りとても心地よく、秋には燃えるような紅葉が鮮やかにいろどり、冬には白銀の雪景色をみせてくれます。
高岡市観光協会が発行する散策ガイドでは季節に合わせた散歩のモデルコースが掲載されています。
どの季節も30分ほどでまわれるので、高岡古城公園で四季を感じてみてはいかがでしょうか?
高岡古城公園散策ガイド
https://www.takaoka.or.jp/pamphlet/
朝から古城公園をくまなく散策したTKGは、気づけば正午をむかえていました。時間が経つのがあっという間で、あまりにも豊かな自然だったので街中にいることを忘れて山にハイキングをしにきているような感覚になりました。この日およそ1万歩を達成したので痩せそうです。
高岡古城公園の基本情報・アクセス
場所 | 高岡古城公園 |
住所 | 富山県高岡市古城1-9 |
アクセス | <電車> あいの風とやま鉄道線高岡駅より徒歩10分 万葉線急患医療センター前電停より徒歩3分 JR氷見線越中中川駅より徒歩4分 <車> 北陸新幹線 新高岡駅より約10分 能登自動車道「高岡IC」より約10分 北陸自動車道「小杉IC」より約20分 |
公式サイト | http://www.kojyo.sakura.ne.jp/index.shtml |
問合せ先 | 0766-20-1563 |
営業時間 | 24時間 (管理事務所は8:30~17:15) |
定休日 | なし |
駐車場 | あり(無料) 北口駐車場68台 小竹藪駐車場51台 ※高岡市職員駐車場及び文化の森駐車場は土日祝祭日のみ利用可 |