2023年最新版の新築住宅に使える補助金について、概要や条件、補助額などについて解説します。富山県で新築住宅を建てようとお考えの方向けに富山県の補助金の紹介についてもまとめましたので参考にしてみてください。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金は、2030年までに新築されるZEH住宅に対する補助金です。対象となる住宅が満たしたZEH基準に応じて補助金が支給されます。
補助の対象は主に蓄電や地中熱ヒートポンプシステムなどの省エネのための設備です。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは?
ZEH(ゼッチ)という用語を初めて耳にする方向けに、ZEHの意味や、補助金を受け取れること以外のメリットも確認しておきましょう。
ZEHは「net Zero Energy House」の略称で、日本語にすると「エネルギー収支をゼロ以下にする家」となります。住宅で使うエネルギーと太陽光発電などで作るエネルギーを比べたとき、作るエネルギーが使うエネルギーを超えることで、エネルギーの消費量が実質的にゼロ以下になります。
サステナブルやSDGs、脱炭素などが注目される現代において、ZEHは「これからの住宅のトレンド」になっていくでしょう。ZEHの住宅は地球環境に優しいだけでなく、そこに住む人にさまざまなメリットをもたらすからです。
ZEHのメリット1.光熱費を節約できる
エネルギー収支がゼロ以下になるということは、光熱費も限りなくゼロに近づくということです。光熱費を本当にゼロにしたり、ゼロに限りなくゼロに近づけるのは難しいですが、1年を通してかなりの光熱費を節約できるのはたしかです。
2023年現在、ガスを一般住宅で作り出すことはできないため、自給自足できるエネルギーは「電気」のみです。電気は太陽光発電で作り、売ったり貯めたりすることができます。
太陽光発電の売電価格は年々下がっており、売電により利益を得たり電気代を相殺したりすることは難しいでしょう。
そのため、今後の太陽光発電は「自給自足」を軸にすることになります。一日の使用量と同じかそれ以上の電気を作り出すことができれば、理論上、電気代はゼロになります。
実際に電気代をゼロにするのはほとんど不可能です。電気代のなかの基本料金は電気の使用量がゼロでも発生しますし(ただし、本当に使用量がゼロなら通常の半額になります)、太陽光発電は天候に左右されるからです。もちろん、夜間に発電することもできません。
ただ、家庭用の蓄電池を使うことで、夜間や曇りなどの「発電できない時間帯」にも太陽光発電で作った電気を使えるようになります。
ZEHのメリット2.暑さ寒さやお金に関するストレスが軽くなる
ZEHの住宅では太陽光発電を軸に、電気を自給自足することになります。
ただ、太陽光発電だけで住宅で使う電気の大部分をまかなうのは難しいでしょう。発電以上に重要なのが「節電」です。
ここでいう節電には「照明のスイッチをこまめに落とす」「使っていない家具のコンセントを抜く」なども含まれますが、それよりも重要なのが「断熱と気密」です。
ZEHの住宅では断熱性と気密性を高めることで空調効率を高め、より少ないエネルギーで、快適な暮らしが送れます。わずかなエネルギーで夏は涼しく冬はあたたかく過ごせて、「外気温が低すぎて、エアコンを入れているのに部屋があまり暖かくならない」ということもほとんど起こりません。
そもそも冷房・暖房の効きがよく、省エネでエアコンを使えるため、生活費を節約するために冷房・暖房を使うのを我慢する必要もありません。
ZEHの住宅での暮らしでは、暑さ寒さによるストレスからも、光熱費がかさんでいくストレスからも開放されるでしょう。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は、国土交通省によると次のように説明されています。
”エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業です。”
引用:https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp
・予算
この事業に割かれた予算は、1,500億円です。上限に達し次第終了となります。
・補助対象
補助対象者は「注文住宅」や「新築分譲住宅の購入」または「リフォーム」が対象になり、その対象区分によって対象者も異なります。
補助対象事業 | 対象者 |
---|---|
注文住宅の新築 | 建築主 |
新築分譲住宅の購入 | 購入者 |
リフォーム | 工事発注者 |
また、注文住宅の新築と、新築分譲住宅の購入については、「子育て世帯」または「若者夫婦世帯」が取得する場合に限られるため注意が必要です。
「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」の定義は次のとおりです。
また、補助の対象となる住宅の性能要件は次のとおりです。
・登録事業者
補助対象者に代わり、本事業の手続き等を行う者として事前に事務局に登録した者が登録することを認められています。こちらも補助対象者と同じく、新築住宅の場合でも、注文住宅の新築と新築分譲住宅の購入とで登録する事業者が異なるので注意が必要です。
・補助上限額と還元方法
補助上限額は、1住戸につき100万円で、リフォームの場合は、実施する補助対象工事および工事発注者の属性等に応じて5〜60万円が補助されます。
補助金の還元方法は、次のうちのいずれかで、原則①とされています。充当する方法が難しい理由がある場合は、申し出ましょう。
- 補助事業に係る契約代金(最終支払に限る)に充当する方法
- 現金で支払う方法
・対象期間
対象期間は次の通りです。契約日の期間は問われないものの、着手は2022年11月8日以降と決まっており、上限に達し次第、終了ということなので、条件にあてはまっている場合は、早めに申請するようにしましょう。
契約日の期間 | 契約日の期間は問いません |
対象工事※の着手期間 | 2022年11月8日以降※対象工事注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入 基礎工事より後の工程の工事リフォーム:リフォーム工事 |
交付申請期間 | 2023年3月31日~予算上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで) ※お早めの申請をおすすめします。締切は予算執行状況に応じて公表します。 |
完了報告期間 | 交付決定以降、補助対象の建物に応じた下記の期間まで 戸建住宅:交付決定 ~ 2024年7月31日 共同住宅等で階数が10以下:交付決定 ~ 2025年4月30日 共同住宅等で階数が11以上:交付決定 ~ 2026年2月28日 |
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業は、平成27年度から開始された取り組みで、地域内の木造住宅関連業者が「グループ」を結成し、省エネ性能や耐久性に優れた木造住宅の整備や三世代同居への対応などを支援する事業です。
「グループ」には、地域の中小工務店を中心に、建材流通や製材、プレカットなどの住宅生産に関わる事業者が参加しています。家づくりの考え方や性能、維持管理に関連する共通のルールを策定し、国土交通省は公募を行い、地域型住宅グリーン化事業を活用できるグループを選定します。
・補助上限額
・補助対象
地域型住宅グリーン化事業を利用する場合は、国土交通省によって選定されたグループに所属する施工業者に依頼する必要があります。たとえ長期優良住宅や省エネ住宅を提供する業者であっても、地域型住宅グリーン化事業に参加していない場合は、この事業を利用することはできません。
LCCM住宅整備推進事業
LCCM住宅整備推進事業は住宅の脱炭素化を推進するための事業で、2050年のカーボンニュートラルを目指して設立されました。
脱炭素化住宅であるLCCM住宅に対して、「設計費」と「建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用」の合計額の半分を補助します。なお、補助の限度額は住宅1戸あたり140万円です。
富山県の住宅の取得・改良に対する支援制度
ここからは富山県ならではの補助金に注目してみてみましょう。これから富山で新築住宅を建てたり、取得したりする方は必見です。
富山県が設けている支援制度は富山県ホームページ「住宅の取得・改良に対する支援制度」にて確認できます。
この中でも新築住宅が対象の補助金について詳しく説明します。
住みよい家づくり資金融資制度
住みよい家づくり資金融資制度は、「優良な住宅へのリフォームや「子育て世帯、県外からの定住世帯の住宅取得・リフォーム」を優遇金利及び利子補給で応援する制度です。
子育て世代とは、以下のいずれかの要件に該当する世帯とし、同居又は近居(しようと)する家族の住民票を提出すると、金利の引下げや対象工事の拡大など条件が優遇されます。
多子同居 | 23歳未満の3人以上の子が現に同居し、または同居しようとする世帯 |
---|---|
三世代同居 | 本人を含む3世代が現に同居し、または同居しようとする世帯(子又は孫が23歳未満) |
三世代近居 | 親世帯と同一の町内会(又は直線距離500m以内)に居住しようとする世帯(子が23歳未満) |
子育て世帯の融資の内容は、【融資利率1.6%(固定金利)】で、別途、取扱金融機関が定める保証料が必要となります。
また、利子補給の条件として、多子同居、三世代同居世帯については利息相当額を全額利子補給により実質無利子化し、三世代近居については利息相当額のうち0.6%分の利子に相当する額を利子補給するとしています。
とやまの木で家づくり支援事業
富山県産木材の住宅への利用を促進するため、優良な木造住宅の建築を図るため、県内において木造住宅の新築または増改築を行う場合、県産材の利用量に応じて補助金を交付する事業です。
補助の条件は富山県産材を1立方メートル以上使うこと、富山県内に事業所をもつ業者が施工にあたることです。
補助金の額は1棟あたり40万円が限度となり、それぞれ次の金額が補助されます。
建材の種類 | 使われる部分の一例 | 1立方メートルあたりの補助額 |
---|---|---|
造作材 | 天井や床、腰壁 | 20,000円 |
構造材 | 柱や梁、桁 | 10,000円 |
下地材 | 間柱や貫、胴縁 | 5,000円 |
不動産取得税の減免制度
不動産取得税の減免制度は、土地や建物などの不動産を取得した際に課せられる税金「不動産取得税」を減免する制度です。この不動産取得税は土地や住宅が3%、住宅以外の家屋が3~4%(富山県の場合)ですが、購入する不動産の種類が新築住宅なのか中古住宅なのかに応じて控除が適用されます。
まず、控除されるのは「不動産取得税を計算するうえでの、建物部分の固定資産税評価額」です。税金がそのまま控除されたり、取得後毎年かかる固定資産税が少なくなったりするわけではないことを覚えておきましょう。
新築住宅の場合は最高1,200万円(税額で36万円)が、認定長期優良住宅の場合は最高1,300万円(税額で39万円)が、住宅価格から控除されます。中古住宅の場合はその住宅が建築された日を軸に、それぞれ次の額が控除されます。(富山県の場合)
取得された時期 | 土地 | 家屋 | |
---|---|---|---|
住宅 | 住宅以外 | ||
平成15年4月1日~平成18年3月31日 | 3% | 3% | 3% |
平成18年4月1日~平成20年3月31日 | 3% | 3% | 3.5% |
平成20年4月1日~令和6年3月31日 | 3% | 3% | 4% |
新築住宅を建てる際は補助金の対象になるか確認を
環境に配慮した省エネ住宅であるZEH住宅の標準化などは国をあげて推し進めようとしていることであり、それに対する補助金も手厚い傾向にあります。
住宅を建てたり、分譲住宅を購入したりする際は、大きなお金が必要になるため、住宅ローンを組む方もいらっしゃることでしょう。
少しでも家計を楽にするために、補助金の条件はクリアしているか、あらかじめ確認するようにしてください。
特に富山県内で新築を取得しようとしている方は、富山県の支援制度は要チェックです。
また、富山で住宅購入を検討中の方は、2024年4月にオープンした「富山住宅公園」にも足を運んでみてはいかがでしょうか。