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長期優良住宅とは?新築を建てるなら抑えておきたい認定基準とメリット・デメリット

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、日本における住宅の品質基準の一つです。さまざまな条件をクリアし、都道府県や市町村から認可を受けると、税金の優遇が受けられたり、住宅ローン減税の金利が低くなったりとメリットがたくさんあります。

まずは、長期優良住宅と認められるための基準について理解しましょう。基準は変わる可能性があるため、常に最新の情報を確認するようにしてください。

長期優良住宅と認められる6つの基準

長期優良住宅と認められるには、次の6つの基準をクリアする必要があります。
これから一戸建てを建てようと考えている方はひととおり目を通しておきましょう。

  • 耐震性能
  • 断熱性能
  • 通気性
  • 耐久性
  • 健康・快適性
  • 省エネルギー性能

耐震性能

長期優良住宅は、地震などの自然災害に対する高い耐震性を持つ必要があります。具体的には、耐震等級2以上の基準を満たすことが求められます。耐震等級2であるか、免震建築物であるかどうかが問われます。

断熱性能

長期優良住宅は、適切な断熱材を使用し、高い断熱性能を持っている必要があります。エネルギー消費効率を向上させるため、断熱性能に基づいた指標である「長期優良住宅基準の断熱性能等級」が設けられています。

通気性

長期優良住宅は、通気性を確保し、健康な室内環境を維持する必要があります。室内の湿気や換気不足が起きにくいよう、適切な通気設備が備えられていることが求められます。

耐久性

長期優良住宅は、長期間にわたって劣化しにくい耐久性を持つ必要があります。仕上げ材の耐久性の基準では、”かぶり厚さを1㎝減じることができる材として使用可能な外装仕上材は、次の1)から3)までに掲げる”とし、「仕上げ材の耐久性」「中性化抑制効果」「施工方法」それぞれに細かい基準が設けられています。

参考:https://www.hyoukakyoukai.or.jp/chouki/pdf/houkaisei-outline3.pdf

健康・快適性

長期優良住宅は、住み手の健康と快適性を考慮した設計や施工が求められます。室内の照明、換気、遮音性など、住環境に関する配慮が必要です。

省エネルギー性能

長期優良住宅は、省エネルギー性能の高い住宅である必要があります。そのため、設計や仕様において、エネルギー消費の削減を図る取り組みをしているかどうかを見られます。具体的には、住宅性能表示の断熱等性能等級は、等級5である必要があります。

ZEH住宅との違い

長期優良住宅と並んでよく見かける言葉に「ZEH住宅」という言葉があります。
どちらも住宅の品質基準ですが、どう違うのでしょうか?
長期優良住宅が省エネ性能や耐震性能など幅広い基準を満たした、長く快適に暮らせる住宅であるのに対し、ZEH住宅は、省エネ性能に特化した住宅のことをいいます。

簡単にいうと、長期優良住宅が”長持ちする家”であるのに対し、ZEH住宅は、”省エネ性能が高い家”です。

ZEHは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、経済産業省からは、2020年までにハウスメーカー等が新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す、というロードマップが公表されています。

ZEH住宅は、「戸建住宅において、屋根や壁などの住宅の内部と外部を隔てる境界部分の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等により年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅」と定義されています。

それぞれ認定基準や、それによって受けられる優遇措置が異なるため、それぞれの内容を把握しておきましょう。

長期優良住宅の8つのメリット

ここからは一番気になる、長期優良住宅のメリットについて解説します。メリットを知れば、今、なぜ長期優良住宅が注目されているのかがわかるでしょう。

  1.  住宅ローン控除を受けられる
  2.  登録免許税の税率が引き下げられる
  3.  不動産取得税の減税が受けられる
  4.  固定資産税の減税期間の延長が受けられる
  5.  投資型減税を受けられる
  6.  低金利で住宅ローンが借りられる
  7.  地震保険料の割引が受けられる
  8.  補助金の申請ができる

メリットとしては、何より、住宅ローン減税をはじめとする各種税金が軽減される点です。

国土交通省ホームページの『認定長期優良住宅に関する特例措置』には以下のように記されています。

耐震性、耐久性、可変性等に優れ、適切な維持保全が確保される認定長期優良住宅の普及のため、一定の認定長期優良住宅の新築又は取得を行った場合、所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減されます。
なお、固定資産税の特例措置は5年間(マンション等の場合は7年間)の措置であり、6年目(マンション等の場合は8年目)から固定資産税の額が”元に戻る”ことになります。固定資産税が”増税”されるわけではありません。

≪ 適用期限 所得税:(ローン減税)令和7年12月31日 (投資型減税)令和5年12月31日 ≫ 

≪ 適用期限 登録免許税、不動産取得税、固定資産税:令和6年3月31日 ≫

引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000022.html

次の表は、購入する住宅の種類に合わせて控除が受けられる金額をまとめたものです。より性能の高い住宅を購入するほど、控除額が大きくなります。

 新築住宅買取再販既存住宅
住宅の種類長期優良住宅/
低炭素住宅
ZEH水準省
エネ住宅
省エネ基準
適合住宅
その他の住宅 長期優良住宅/低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅
借入限度額5,000万円4,500万円4,000万円3,000万円3,000万円2,000万円
控除率0.70%
控除期間13年10年
年間35万円31.5万円28万円21万円21万円14万円
期間合計455万円409.5万円364万円273万円210万円140万円
2022年〜2023年(2023年末までに入居した場合)

また、住宅ローンを利用していない場合でも、優遇は受けられます。

自己資金のみで家を取得する場合、住宅ローン減税は利用できませんが、長期優良住宅であれば、「投資型減税制度」が適用され、所得控除が受けられます。

そのほか、住宅ローンの金利の引き下げの対象になったり、地震保険料が割安になったりとメリットはたくさんあります。住宅ローンを契約する金融機関や加入予定の保険会社に問い合わせをしてみましょう。

長期優良住宅のデメリット

メリットに比べると、デメリットが少ない長期優良住宅ですが、デメリットについてもあわせて把握しておきましょう。

長期優良住宅のデメリットとしては次の点が挙げられます。

建築費用が高くなる場合もある

長期優良住宅の高い品質基準を満たすために一般的な住宅に比べて建築費用が高くなる場合があります。断熱材や設備の選定、耐震性能の向上などにかかる費用が増加する可能性があります。

建築プロセスの制約が発生する

長期優良住宅の基準を満たすためには、特定の設計や建築手法が必要となる場合があります。これにより、建築プロセスや設計に制約が課され、自由度が低くなる可能性があります。

時間と手間のコストがかかる

長期優良住宅の認定には、特定の手続きや審査が必要です。また、基準を満たすためには計画段階から細かな詳細設計や施工管理が必要となります。これにより、建築プロセスが複雑化し、時間と手間がかかる場合があります。

中古住宅で長期優良住宅かを見分けるには?

新築で建てる場合は、基準に沿って建てれば良いけど、中古住宅を購入する場合はどう判断するのが良いの?と疑問に思う方もいるでしょう。

購入対象の物件が長期優良住宅であるかどうかを判断するためには、以下の点をチェックする必要があります。

建物の耐震性能

中古住宅の耐震性能を確認するためには、耐震診断や耐震改修の実施状況を調査します。耐震性能に関する書類や証明書、改修工事の履歴などがわかる資料を見せてもらいましょう。

断熱性能

壁などに使われている断熱材の種類や厚さ、窓や玄関ドアの性能などをチェックします。断熱性能が高い住宅であれば、省エネルギー性能も高くなっています。

通気性

中古住宅の通気性を確認するためには、換気設備や窓の状態を確認します。湿気やカビの発生しにくい通気設備が備わっているかどうかをチェックしてください。

建物の状態

中古住宅の建物の状態を評価することも重要です。建物の劣化や損傷の有無、経年劣化による部位の補修や改修の実施状況を確認します。また、水回りや配管などの設備の状態もチェックしましょう。

建築年数と維持管理

中古住宅の建築年数と維持管理状況も重要な要素です。長期優良住宅の基準を満たしている場合でも、維持管理が不十分であれば品質が保たれていない可能性があります。維持管理の履歴や記録を確認し、適切なメンテナンスが行われているかどうかを調べることが重要です。

判断が難しい場合は、専門家の助言や建築士の建物診断を利用することで、中古住宅が長期優良住宅であるかどうかを見分けることができます。

長期優良住宅の申請方法

長期優良住宅の申請は、建築主自身が行います。

建築主は、建築を依頼した住宅を長期優良住宅として認定するために必要な書類や情報を提供し、申請を行います。

建築業者は、認定されるように、建築主と連携して建築計画や設計図面、材料・機器の情報などを提供し、長期優良住宅基準を満たすための建築施工を行います。

長期優良住宅の建築や申請などの手続きをスムーズに進めていくために、正式なご申請の前に、事前相談を受けてくれる機関もあります。事前相談をすればより安心して進められるでしょう。

引用:https://www.city.toyama.lg.jp/shisei/machizukuri/1010823/1006437.html

メリットの多い「長期優良住宅」を検討しよう

長期優良住宅を建てるには、守るべき基準が多く、一般の住宅に比べると時間と金銭面のコストがかかりますが、節税の観点からすると、優遇される項目が多く、メリットの方が上回ると言えるのではないでしょうか。

人生100年時代、とも言われている現代ですが、これから戸建てを建てようとお考えの方は、ぜひ、長期優良住宅」を検討してみてください。

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トイエバ編集部

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