一年中楽しめるかき氷店「やつよし」とは?

観光や移住の地として近年注目を集める、富山県射水市・内川地区。内川は富山湾の富山新港を起点とし、射水市新湊地区の「奈呉の浦」と呼ばれる海岸付近までをつなぐ、東西に約3.5kmに伸びる運河です。その「奈呉の浦」と内川が合流する地点のそばに「やつよし」はあります。
内川沿いの通りから海側の道に入り、一軒家が並ぶエリアに進むと見えてくる、特徴的な八角形の建物のお店です。階段を少し上がって入り口に入ると、見えるのは大きなガラス窓。そこに映るのは、内川と奈呉の浦の海が出合う河口と、向こう岸に並ぶ家々という、ノスタルジックな景色です。


「天然氷」と「熟練の技」で丁寧に作られるふわふわのかき氷

窓越しの景色を眺めながらゆったりした気持ちで待っていると、やってくるのはボリュームたっぷり、まんまるボール型のかき氷。薄く薄く削られた氷が幾層にも重なり、新鮮な果実が冠のように飾られています。
隣にはキラキラした果実ソース。綺麗なフォルムにうっとりしながら、スプーンで掬って一口ほおばると…!!縁日のかき氷とはまるで別物の、ふわっふわの食感に目が丸くなります。
こんなに食べられるかな?とちょっと心配だった気持ちはどこへやら。中にもたっぷり入った新鮮な果実と、氷にとろりと絡むソースによる味の変化が楽しく、あっという間に完食!
リピーターが多いのも納得です。その理由はこのかき氷そのもののおいしさはもちろん、お店の優しい雰囲気や目に入る美しい風景が、自分へのご褒美に感じられるからかもしれません。
秘訣は「天然氷」にあり

極上のかき氷ができる秘訣のひとつは、「天然氷」にあります。
天然氷とは、自然の中の水が、冬の寒さで凍ってできる氷のこと。家庭用冷凍庫(-20℃ほど)に比べ、-5℃から-10℃ほどの比較的高めの温度でじっくりと凍るため、結晶が大きくて壊れにくい、密度の大きな氷へと成長します。
さらに、水の中に含まれている空気や不純物を外へ押し出しながら凍るので、気泡のないきれいな透明の氷になるのです。これこそが、薄く薄く削ることができ、ふわふわなのに溶けにくいかき氷の秘密です。
やつよしの天然氷の産地は、南アルプス・八ヶ岳南麓(なんろく)の山梨県北杜(ほくと)市。おいしい空気と豊富な水資源に恵まれるこの地は、冬の最低気温の平均が氷点下ですが、空気が乾燥し、氷の妨げとなる雪もほとんど降らないという、天然氷作りに最適な場所です。ミネラルを豊富に含む良質な天然水を汲み上げて作られているため、ほんのりと甘さも感じられます。
冬の寒さでゆっくり育った氷は、国内有数の天然の冷蔵庫「氷室」という貯蔵庫で保管されています。夏でもおいしい天然氷が食べられるのは、山梨の氷室で待ち続けてくれたおかげです。


天然氷は天使の羽のようにふわふわ軽く、薄く削られます。
氷のふわふわ感を保ちながら絶妙なバランスで器にのせていき、ボリュームたっぷりの丸型に整えられます。その美しい仕上がりは、やつよしの細川さんの熟練の業の賜物。おいしさが最大限に引き上げられ、目の前に現れます。
かき氷はどんな食材にも合わせやすく、バリエーション豊かな味を楽しめることも魅力のひとつ。通年営業のやつよしでは、季節ごとの旬の果物を使ったメニューがたくさん登場します。その一部をご紹介します!
定番人気の食材と旬の果実を組み合わせた「季節限定かき氷」


定番人気のピスタチオかき氷に、ブルーベリーを組み合わせた季節限定の一品。フロマージュクリームと一緒に食べると…まるでケーキのよう!
ピスタチオの香ばしさとまろやかな味わいが、ブルーベリーの甘酸っぱさにピッタリ。別添えのブルーベリーソースをかけて、最後までおいしさを堪能できます。


意外な組み合わせ!?「いちじく×白みそ」




ほんのり黄みがかったソースと優しいピンクがかわいい一品は、夏から秋が旬のいちじくに、白みそ練乳&クリーム、ブラックペッパーを効かせたかき氷。意外な組み合わせに、ドキドキしながら一口…チーズケーキのような濃厚な味わいにびっくり!(チーズは使っていないそうです!)
ふんわり甘いいちじくの果肉に、白みそのコクと控えめな塩味が絶妙にマッチ。中にも入ったいちじくと、濃厚ないちじくソースで味の変化を楽しみながら、奥深いおいしさに出会える一品です。
様々な偶然や出会いが重なってできたお店

極上のかき氷だけでなく、建物のデザインや内川の河口という立地も大きな魅力です。オーナーの細川さんに、建物の形状は氷の産地である「八ヶ岳」&店名のやつよし=八義の八からきているのかと尋ねてみると…
「いえいえ、八角の建物なのは、本当に偶然なんです。八義って名前は一切出さずに行われたコンペで、建築士さんが出した案が八角で。運命を感じたんです」
住宅街にあるため、周囲の一軒家とお互いの視界が入らないための工夫として、八角になったんだそう。内川の河口という場所になったのも、なんと偶然。
「海の見えるカフェという条件だけで探してたんです。実は射水市の別の場所に決まる寸前だったんですが、たまたまこの場所を見つけたんです」

導かれるようにして出会った素敵な景色。それをお客さまに楽しんでもらおうと、建築士さんが1階部分を底上げした設計に。入り口まで少し階段になっているのはそのためです。お客さんの目線からまっすぐ風景が見えるように、カウンターの椅子も高さのあるものを採用しています。
計画的に計算されたものではなく、偶然や出会いが重なってできた「やつよし」。ここで作られるかき氷のように、様々な出来事をふわっと受けとめる細川さんの温かさが伝わるエピソードです。
2階のオープンテラスもおすすめ



店内の螺旋階段を上がると、2階にも席があります。汗が流れる暑い日でも涼しく快適です。海が見えるように、八角屋根の二角が切り取られていて開放感があり、同時に日陰部分もしっかり確保されています。海からのやさしい風が頬を撫で、心地よく過ごすことができますよ。
絶え間ない海の波音、気持ちよさそうに飛ぶ海鳥の姿と、ピロロローと美しく鳴く声。目も耳も、ふわっと心地よい気持ちに包まれます。
かき氷は2階では食べられませんが、食べ終わった後か、ドリンクやアイスを注文して2階にあがってみるのもおすすめです。
また、1階の海側にも屋外カウンター席があり、ワンちゃんを連れたお客さんも、内川河口の景色を楽しめるようになっています。
1年中食べられるかき氷を、もっと広めたい

やつよしは女性客やカップルのみならず、男性客も多く訪れます。ご近所の方や同業者の方もふらりと立ち寄ることが多いそう。予約制ではないため、夏は行列ができることもありますが、食べたいときに気軽に訪れることができるのが嬉しいポイントです。
かき氷専門店は都市部でかなり浸透してきましたが、富山県内にもかき氷を扱うお店が増えてきました。
細川さんは「もっと県内で盛り上がり、年中食べられるかき氷をみなさんに知ってもらえたら嬉しいです」と、他店との合同イベントなども積極的に行っています。
どんな食材にも合わせやすく、種類も豊富で、様々な味を楽しめるかき氷は、一年中ずっと楽しめます。とりわけ冬のかき氷は、氷の大敵である湿度が低く、乾燥した空気の中で食べられるため、夏より更にふわっふわなんだそう。
秋冬が旬の果物など、季節ごとの食材のかき氷を堪能できるのは、通年営業のやつよしならではの楽しみ方です。新しいメニューや特別イベントの情報は、公式インスタグラムでも案内しているので、ぜひチェックしてくださいね!
※商品価格は記事掲載時の金額です。実際の価格とは異なる場合があります。
店名 | やつよし |
住所 | 射水市放生津町1-7 |
公式サイト | https://yatsuyoshi.jp |
公式Instagram | https://www.instagram.com/yatsuyoshi_toyama/ |
営業時間 | 11:00〜16:00(L.O.) |
定休日 | 不定休(詳細はインスタグラムをご確認ください) |
駐車場 | 15台(近隣に無料駐車場あり) |
予約可否 | 否 |
決済方法 | 現金のみ |