ついに今年もこの時期がやってきました「ホタルイカの身投げ」シーズン！浜辺に押し寄せたホタルイカの大群が光を放ち、波打ち際を青白く染め上げる様子はなんともビューティフォー！全国的、いや世界的に見ても珍しいと言われる神秘の光景です。
また近年は身投げにきたホタルイカをすくっておいしく味わう「ホタルイカすくい」が大ブームとなっています。今回は身投げの時期や体験に必要な知識や道具、おすすめの場所などを詳しく紹介します。
ホタルイカの身投げとは
身投げするホタルイカの９９％はメスです。なぜなら身投げのきっかけは産卵にあるからです。
ホタルイカは回遊性の１年魚で春の時期になると産卵を目的に陸地に近い場所に移り棲みます。日中は水深200ｍ前後に生息していますが、そこで卵を産むと水が冷たくふ化が進みにくいため、(外敵の少ない)夜になると水温の高い海面付近まで一斉に浮上し産卵します。
そして産卵後、なぜ浜辺に打ち上げられるのかについては「産卵で力尽きた説」「帰り道を見失った説」など理由は諸説あるものの、詳しいメカニズムは分かっておりません。
外敵から身を守るために備わった発光器が打ち上げられた刺激で青白く光り、海岸を幻想的に染め上げます。
ちなみにオスは交接を終えると命を終えるため、海面に浮上することがほとんどなく、メスに至っても産卵後ほどなくで息絶えるため、心置きなくすくって味わっちゃいましょう。
身投げがおきやすい４つの条件
時期
３月～５月(産卵期)の深夜から未明に発生します。
最盛時期は４月で、５月末ごろには身投げはほぼなくなります。
新月の前後
ホタルイカは月明かりを目印に自らの位置を把握していると言われています。そのため月明かりがある場合は沖合で産卵が行われるので身投げは少なくなりますが月明かりがない(新月前後の夜)場合は方向感覚を失い、浜辺に異常接近することで 身投げが多くなるのではないかと考えられます。
| 2024年春の新月 | 2024年3月10日 2024年4月9日 2024年5月8日 ※前後がねらい目です |
雨が降らない気温の高い日
イカ類は真水を嫌うため、雨が降った日の海面への浮上は控えめです。また卵のふ化が進みやすい暖かい場所を求めて浮上してくるので気温の高い夜がねらい目と言われています。
陸から海に向かって風が吹く日
海面を覆う淡水層が沖に運ばれることで深層ではその逆の水の流れが発生し、ホタルイカが沖から流されてくると言われています。
ホタルイカすくいにおすすめの道具
ウェーダー
ホタルイカを波打ち際ですくうと砂が絡み、食べると高確率でジャリジャリします。ウェダーを履いて、泳いでいる状態のホタルイカをすくうのがおすすめ。またこの時期(３～５月)、夜の海は冷えるため中に着込むことを想定し、ウェーダーのサイズは大きめを選びましょう。量販店やネットなどで5000円程度で購入できます。
たも網
網の目が粗いとホタルイカが抜け落ちてしまうので細かいものを選びましょう。岸壁からすくうことも想定し、柄の部分が２ｍ以上に伸ばせるものがベスト。ホタルイカの時期になると富山県内の釣具店には特設コーナーが設けられます。量販店やネットなどで1500円程度で購入できます。
バケツ
すくったホタルイカを一旦泳がせておく用。達人クラスになると買い物かごと洗濯ネット、ペットボトルを組み合わせた簡易生簀を持参します。
ヘッドライト
たも網&バケツを持ち歩くため、懐中電灯まで持てません。両手が自由になるヘッドライトを装着しましょう。量販店やネットなどで2000円程度で購入できます。
クーラーボックス
自宅まで鮮度をキープするためのマストアイテム。真水は身を痛めるため、海水と保冷剤で冷やしながら移動しましょう。量販店やネットなどで2000円程度で購入できます。
ライフジャケット
ホタルイカすくいに限らず水辺に近づく際は必ず着用しましょう。量販店やネットなどで4000円程度で購入できます。
ホタルイカがすくえる有名スポット
県内にはいくつか海岸沿いに駐車場が整備されている場所があります。
くれぐれも他人の敷地や違法駐車はしないようにしましょう。
国分浜海水浴場
高岡市伏木国分
無料Ｐ45台 公衆トイレあり
海老江海浜公園
射水市海老江
無料Ｐ308台
公衆トイレあり
八重津浜海水浴場
富山市四方西岩瀬
無料Ｐ150台
公衆トイレあり
岩瀬浜海水浴場
富山市岩瀬古志町
無料Ｐ200台
公衆トイレあり
ホタルイカは情報収集が大事
リアルタイムで情報を得ることも重要です
掲示板やSNSを活用してホタルイカの湧いている情報をリアルタイムで知ることもできます。
Xやfacebook、LINEなどで検索してみるのもおすすめします。
ホタルイカすくい番組スタッフ体験談
2024年3月11日23時に八重津浜海水浴場に集合。
月齢：新月の翌日、気温：10℃前後、天候：晴れ、風向き：無風
と身投げが起こりやすい条件は比較的揃っているものの、実は前夜に「爆湧き」と呼ばれる大量の身投げがありました。爆湧きとは海面を覆うようにホタルイカが高密度に発生することで１シーズンに５～６日間しかおきない特別な現象です。
釣り好きスタッフの経験則では爆湧きの翌日は発生が少なめのイメージとのことだったのでディレクター兼ライターの私「もし一匹も採れなかったらどうしよう…」と不安をもらしながら浜辺に移動。
浜辺にはホタルイカではなく、ホタルイカを探す人々のヘッドライトが爆湧きしていました。近頃はこの光景も富山の春の風物詩となっています。
夜の海に入ると陽の照り返しがないためか海面は驚くほどの透明度で、海底を闊歩する小ガニや波に遊ぶ小魚の姿が見受けられ、こころ穏やかになります。３０分ほど探したところで１匹目のホタルイカを発見！
その後も３０分に１匹くらいのペースで捕獲し、結果は４時間で９匹(リポーターとスタッフの合計)をゲット（笑）４時間で９匹と聞くとタイパが低すぎると感じる方も多いかもしれませんが、飼育困難なホタルイカを生きた状態で見て触れられるのは世界的にも貴重な体験です。
「大満足だ」と自分に言い聞かせながら、空っぽのままの大容量クーラーボックスを物置にしまい、編集作業に取りかかりました。
旬のホタルイカをすくいに行こう
自然相手のため100%はありませんが、今回紹介した条件が揃った夜であれば遭遇率は格段にアップするはずです。すくって楽しい、見てうるわしい、食べておいしい、富山ならでは春の体験を是非お楽しみください。
また、ホタルイカの調理法などはこちらの記事でも紹介していますのでぜひチェックしてみてください。
