住宅をより住みやすく、家をアップグレードするためのリフォーム。リフォームは高額になることも多いためなかなか決断できないこともあるでしょう。
しかし、住宅のリフォームには活用できる補助金があります。その中の住宅省エネ2024キャンペーンはどのような補助金なのか、どんなときに活用できるのかを見ていきましょう。
「住宅省エネ2024キャンペーン」とは?
住宅省エネ2024キャンペーンとは、「子育てエコホーム支援事業」「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」「賃貸集合給湯省エネ2024事業」の4つの補助金の総称です。
国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携して住宅の省エネ化を支援する住宅省エネ2023キャンペーンの後継にあたります。住宅省エネ2024キャンペーンでは住宅省エネ2023キャンペーン同様、リフォームや新築により住まいを省エネにするための補助金を利用できます。
住宅リフォームで補助金が出る背景
政府が掲げる地球環境を守るための目標「2050年カーボンニュートラルの実現」ですが、実現の中間目標として2030年度の温室効果ガスを2013年度比で46%減らす目標が立てられています。その実現を図るためにも補助金事業を行い、早急な対応を促そうという目的があります。
なかでも家庭は、地球温暖化問題を自らの問題として捉えてほしいという念望も込めて66%の削減が必要とされています。そのため、断熱リフォームや省エネ住宅設備の設置などに対して補助金を給付し、家庭における省エネや脱炭素化の加速を狙います。
参照:経済産業省|2050年カーボンニュートラルを見据えた2030年に向けたエネルギー政策の在り方
「住宅省エネ2024キャンペーン」の4つの事業
「子育てエコホーム支援事業」
子育てエコホーム支援事業とは、エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て中の世帯・これから子育てをする世代の若者夫婦を対象とした補助金事業です。ただし、リフォームにおいては子育て世帯・若者夫婦以外も対象となっています。
省エネ性能の高い家の購入やリフォームを支援することで、国の目標とする環境にやさしい住宅・暮らしを実現してもらおうという制度です。新築、リフォームとも2023年11月2日以降に着手した工事が対象で、交付申請期間は2024年4月2日~予算上限に達し次第終了、遅くとも2024年12月3日までとなります。
補助対象者に代わり交付申請を手続きし、交付を受けた補助金を補助対象者に還元するものとして登録された工事施工者「エコホーム支援事業者」と工事請負契約をした工事が対象です。
【新築】
対象住宅 | 対象者 | 補助額(上限) | 住宅の大きさ |
長期優良住宅 | 子育て世帯または若者夫婦世帯 | 100万円/戸 | 住戸の床面積が50㎡以上240㎡以下 |
ZEH水準住宅 | 80万円/戸 |
※子育て世帯:18歳未満の子どもがいる世帯
若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
〈長期優良住宅〉
長期優良住宅とは、「後々まで、長く住み続けられると国から認められた住宅」のことです。長く良好な状態で住み続けるために、構造・設備、居住環境や自然災害への配慮などが講じられている住宅で、法律に基づいて都道府県、市町村などの所管行政庁にて認定を受けます。
〈ZEH水準住宅〉
ZEH水準省エネ住宅とは、断熱性能と一次エネルギー消費量に一定の基準を満たした住宅で、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6を同時に達成することが特徴です。太陽光発電システムなどを利用しなくてはいけないZEH住宅と違いZEH水準省エネ住宅はその必要がないため、比較的費用を抑えられるメリットがあります。
【リフォーム】
〈対象となる工事〉
①開口部の断熱改修
②外壁、屋根・天井、床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置
④子育て対応改修
⑤防災性向上改修
⑥バリアフリー改修
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入
※④~⑧は、①~③と同時に工事を行う場合のみ補助対象になります。
補助上限は原則、1戸あたり20万円ですが、該当要件によっては上限が引き上げられます。
補助対象 | 補助額(上限) |
既存住宅購入を伴うリフォーム | 子育て世帯・若者夫婦世帯:上限60万円/戸 |
長期優良住宅の認定を受ける増築・改築 | 子育て世帯・若者夫婦世帯:上限45万円/戸その他の世帯:上限30万円/戸 |
上記以外のリフォーム | 子育て世帯・若者夫婦世帯:上限30万円/戸その他世帯:上限20万円/戸 |
参照
住宅省エネ2024キャンペーン|キャンペーン概要
子育てエコホーム支援事業|注文住宅の新築
子育てエコホーム支援事業|リフォーム
「先進的窓リノベ2024事業」
先進的窓リノベ2024事業とは、既存の住宅の断熱性能を向上させるための窓リフォームを対象にした、断熱窓への改修を促進させるための補助金制度です。ガラス交換や内窓設置、外窓交換が対象で、窓の工事と同一の契約・同時に申請する場合のみ、屋外との出入りに使用するドアの交換も対象になります。
先進的窓リノベ2024事業には、以下の3つのような目的があります。
・エネルギー費用負担の軽減およびCO2排出削減
・健康で快適な暮らしの実現
・断熱窓の生産効率向上による関連産業の競争力強化と成長
さらに補助金を利用して多くの人がリフォームすることで、断熱窓の機能向上や民間企業の競争力を高める目的もあります。2023年11月2日以降に工事に着手したのもが対象で、交付申請受付期間は2024年3月29日~予算上限に達するまで、遅くとも2024年12月31日までとなっています。
補助対象者に代わり交付申請を手続きし、交付を受けた補助金を補助対象者に還元するものとして登録された工事施工者「窓リノベ事業者」と工事請負契約をしてリフォーム工事する方が対象です。
対象住宅 | 補助額(上限) |
既存住宅 ※工事請負契約日時点で建築から1年が経過した住宅 または過去に人が居住した住宅 | 5~200万円/戸 ※住宅の建て方、設置する窓の性能と大きさ、設置方法に応じて定額 |
参照
住宅省エネ2024キャンペーン|キャンペーン概要
先進的窓リノベ2024事業|補助金の交付申請
「給湯省エネ2024事業」
給湯省エネ2024事業とは、とくにエネルギー消費量を占める給湯分野の消費を削減するために、高効率給湯器の導入支援を行う補助金事業です。補助金は2024年度中に制度の基準を満たす高効率給湯器を導入した場合に受け取れます。対象となる給湯器はエコキュート(ヒートポンプ給湯機)、ハイブリッド給湯機(電機ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機)、エネファーム(家庭用燃料電池)です。
2023年11月2日以降着工が対象で、交付申請受付期間は2024年3月29日より予算上限に達するまで、遅くとも2024年12月31日までとなります。
新築住宅は戸建てや集合住宅等を問わず、高効率給湯機を設置していれば対象になります。リフォームや中古住宅購入も高効率給湯機への交換は対象になりますが、すでに対象機器が設置されていると対象外になるので、注意が必要です。
補助金額は機器の種類によって定額の基本額があり、性能によって加算され補助金額が決まります。さらに、撤去工事も同時に行う場合には撤去加算額も定額で支給されます。
1台あたりの補助金額基本額(8~18万円)+性能加算額(2~5万円)+(撤去加算額(5万円または10万円) ) |
【設置補助金額】
対象機器 | 補助額・加算額/1台 | 加算要件 |
エコキュート | 基本額:8万円 加算額: A要件 2万円 B要件 4万円 A+B要件 5万円 | A:インターネットに接続可能な機種で、翌日の天気予報や日射量予報に連動することで昼間の時間帯に沸き上げをシフトする機能を有するもの B:補助要件下限の機種と比べて5%以上CO2排出量が少ないものとして、a又はbに該当するもの(a.2025年度の目標基準値+0.2以上の性能値を有するもの)(b.おひさまエコキュート) |
ハイブリッド給湯機 | 基本額:10万円 加算額: A・B要件 3万円 A+B要件 5万円 | A:インターネットに接続可能な機種で、昼間の再エネ電気を積極的に自家消費する機能を有するもの B:補助要件下限の機種と比べて、5%以上CO2排出量が少ないものとして、以下の要件に該当するものであること。(一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格(JGKAS A705)に基づく年間給湯効率が116.2%以上のものであること。) |
エネファーム | 基本額:18万円 加算額: C要件 2万円 | C:ネットワークに接続可能な機種で、気象情報と連動することで、停電が予想される場合に、稼働を停止しない機能を有するものであること。 |
【撤去加算額】
工事内容 | 補助加算額 | 補助台数 |
電気蓄熱暖房機の撤去 | 10万円/台 | 2台まで |
電気温水器の撤去 | 5万円/台 | 補助金対象機器の設置台数まで |
参照
住宅省エネ2024キャンペーン|キャンペーン概要
給湯省エネ2024事業|補助金の交付申請(購入・工事タイプ)
「賃貸集合給湯省エネ2024事業」
賃貸集合給湯省エネ2024事業とは既存賃貸集合住宅に対して、小型の省エネ給湯器への交換にかかる導入費の一部を補助する事業です。大型給湯機が対象の給湯省エネ2024事業とは違い、エコジョーズやエコフィールという小型給湯器が対象となっています。
賃貸集合給湯省エネ2024事業の補助対象となるのは、以下のような場合です。
・テナントを除く既存の賃貸集合住宅
・2023年11月2日以降に補助対象機器の設置工事に着工する工事
・従来型の既設給湯器から高効率給湯器に取替えする工事
補助対象 | 性能要件 | 補助額(定額) |
エコジョーズ | 給湯単能機:モード熱効率が90%以上のもの ふろ給湯器:モード熱効率が90%以上のもの 給湯暖房機:給湯部熱効率が95%以上のもの | 追い焚き機能なし:5万円/台 追い焚き機能あり:7万円/台 ※1住戸1台まで ※導入する台数×定額 |
エコフィール | 油焚き温水ボイラー:連続給湯効率が95%以上のもの 石油給湯機(直圧式):モード熱効率が91%以上のもの 石油給湯機(貯湯式):モード熱効率が80%以上のもの |
参照
住宅省エネ2024キャンペーン|キャンペーン概要
賃貸集合給湯省エネ2024事業|対象機器の詳細
補助金を申請する際の注意点
併用については原則として国の他の補助制度との併用はできませんが、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除けば併用可能です。住宅省エネ2024キャンペーンの4つの事業については、補助対象が重複しなければ併用は可能となっています。
そのほかの補助金は、住宅省エネ2024キャンペーン公式サイトで確認してみてください。
なお、補助金に申請するためには、いくつか知っておきたい注意点があります。注意したいポイントを3つ紹介します。
- 申請期間をチェックする
- 申請条件をチェックする
- 施工業者は登録業者であること
それぞれ詳しく解説します。
申請期間をチェックする
住宅省エネ2024キャンペーンの補助金の申請期間は2024年12月31日までですが、期間内であっても予算が上限に達し次第終了されます。2023年のこどもエコすまい支援事業は、6カ月早く終了しました。補助金の利用を検討している場合は早めの準備をおすすめします。
住宅省エネ2024キャンペーンでは、対象工事の着手期間が2023年11月2日以降でないと、補助金の対象にはなりません。また申請は工事完了後で、2024年12月31日までに工事が完了している必要があります。
申請は申請予約も可能で、予約後3カ月間または12月31日のいずれか早い日まで補助金が確保されます。申請予約は11月30日までとなっていますが、スケジュールには注意して申請しましょう。
申請条件をチェックする
住宅省エネ2024キャンペーンへの申請条件は以下です。
・補助対象の住宅
・対象製品導入の工事
・1申請あたりの補助額が下限を上回っている
施工業者は登録業者であること
住宅省エネ2024キャンペーンは消費者と契約し、補助対象である住宅工事の施工を行う事業者で、各事業の交付申請等の手続きを行う登録業者でなければ、補助金の対象になりません。
補助金の申請自体は無料ですが、施工業者によっては手数料がかかるケースもあります。事前に金額を確認し、補助金の申請サポートが手厚いリフォーム業者を選ぶのがおすすめです。
参照:補助金利用を相談できる事業者の検索|住宅省エネキャンペーン【公式】
補助金をうまく活用して住宅リフォームをしよう
住宅のリフォームを検討している方にとって、補助金制度は追い風となってくれることでしょう。政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、住宅の省エネを目的としたリフォームに対して住宅省エネ2024キャンペーンという補助金があります。補助対象のリフォームを検討している方は、上手に補助金を活用して住宅をリフォームしましょう。