雨晴(あまはらし)海岸の由来や特徴は?
雨晴海岸は、能登半島国定公園に位置する「日本の渚百選」にも選ばれた由緒ある海岸です。
冬は、大気と海水の温度差が大きいことにより発生する水蒸気「気嵐(けあらし)」や元旦の初日の出を見に来る見物客も多く、観光ではもちろん、地元のカメラマンにも人気の絶景スポットです。気嵐と富山湾越しに佇む立山連峰のコラボレーションは思わず息を呑むほどの美しさ。その風景は、地元の方でもめったに見られないほど貴重であるため、冬になると全国から多くのカメラマンが訪れます。
海水に隠れた岩礁が多く、美しい砂浜と青々とした松林に囲まれている雨晴海岸は、奈良時代に越中国守で「万葉の歌人」としても有名な大伴家持が、訪れる度に絶賛した場所であるとも言われています。雨晴海岸から見える雄大な絶景は見る人々を魅了し、その情景を詠んだ歌の数々は「渋谿(しぶたに)」という名で万葉集におさめられています。
「雨晴」という名前の由来には、磯にある「義経岩(よしつねいわ)」が関係しています。
義経岩とは、かつて源義経が兄頼朝から追われて奥州へ落ち延びる途中、弁慶が持ち上げた岩だと言われています。義経は、その岩の陰でにわか雨が晴れることを待ったという言い伝えから「雨晴」という地名が名付けられました。雨晴海岸は季節や時間帯によって全く違う顔を見せてくれるので、一年中楽しめます。
雨晴海岸を楽しむために押さえておくべき見どころ3選
日本屈指の絶景を誇る雨晴海岸は、歴史上の人物をも魅了し、今もなお全国から観光客が訪れる有名観光スポットということがお分かりいただけたでしょうか。ここからは、雨晴海岸を楽しみつくすためのおすすめポイントを3つ紹介します。見どころを押さえて忘れられない絶景の富山旅を楽しんでください。
全身で感じる!大迫力の立山連峰と女岩
雨晴海岸から見る壮大な景色は絶景そのもの。浜辺の波打ち際からは「女岩」(めいわ)を眺められ、特に冬の晴れた日はくっきりと富山湾越しに美しい「立山連峰」を望めます。
女岩とは富山湾の雄大な絶景の中に佇んでいる岩のことで、周りにはいくつもの小さな岩が寄り添うように並んでいます。その光景が母と子どもたちに見えることから「女岩」という名がついたと言われています。ちなみに、女岩の約800m南東には「男岩」(おとこいわ)も存在するのだとか。
海岸から見ると男岩の方が女岩よりも遠くに位置しているため小さく見えますが、実際の大きさは男岩の方が大きいです。男岩という名前の由来は、日本海の荒波に立ち向かうような雄々しい姿から名付けられたと言われています。
立山連峰とは飛騨山脈(北アルプス)の北部、中部山岳国立公園の雄大な群峰・連峰群のことで、岩の後ろにそびえ立つ3,000m級の山々は、思わず寒さも忘れるほど見惚れる美しさです。
北は富山県の僧ヶ岳から、南は富山県と岐阜県との県境にある北ノ俣岳、黒部五郎岳を経て、三俣蓮華岳南方双六岳辺りで槍ヶ岳・穂高連峰の主稜線と合流しています。
12月〜4月が見頃のため、女岩と立山連峰を両方楽しみたい方は冬の晴れの日に予定を立てることでより一層雨晴海岸を満喫できることでしょう。
氷見線電車の撮影スポットが人気!道の駅「雨晴」
雨晴海岸を見た後は、年中無休で営業している道の駅「雨晴」に行くのがおすすめです。建物に入ると観光案内所があり、家族や恋人はもちろん、おひとりさまでも楽しめるスポットが多く併設されています。
2Fと3Fにある「展望デッキ」から外を見ると、晴れた日には女岩と立山連峰が一望できます。海岸から見る景色とは一味違う角度から壮大な絶景を楽しめるのでおすすめです。
氷見線を走る電車もよく見えるので、晴れた青空と山頂に積もる雪化粧を背景に撮る電車は観光客から人気の撮影スポットとなっています。SNS映え間違いなしのため、カメラマンだけでなく若者からも人気です。
また、2Fにあるマーケットスペース「Souvenir Shop ARISO」では、富山の伝統を感じられる地酒や雑貨が並んでいます。その他、銅器や漆器等を中心とした高岡のクラフト作家作品など富山ならではの文化を取り入れたグッズが多く揃っています。
道の駅「雨晴」の施設では『~とおくを想う~』を基本コンセプトとしており、「遥かな遠景を望むことで、自分の中の感覚や思考が変化するという、他にはない体験ができる特別な空間」を目指しています。そのため、地域の特産品や歴史ある伝統工芸を受け継ぐ飲食店やショップは、今までもこれからも道の駅を大切にしていきたいという地元の方々の愛を感じます。
道の駅での心からのおもてなしも、全国から観光客があとをたたない理由の一つかもしれません。
周辺の観光スポットも充実!
雨晴海岸の周辺には、富山をさらに楽しめる観光スポットが充実しています。日本の伝統的な歴史や文化に触れたい方は、4世紀から5世紀にかけて築かれたという「桜谷古墳」がおすすめ。13基以上の古墳から構成されており、1号墳と2号墳は国の史跡指定を受けています。
その他にも寛政7年(1795)に勝興寺本堂が再建されたときの木材で建てられた「武田家住宅」では、実際に中に入って日本の歴史を味わい、体感できます。
約230年前に建てられた武田家住宅は現在でも当初の形式が多く残されており、地方特有の屋根形式を保っていることを高く評価されたことから、昭和46年(1971)には国の重要文化財にも指定されています。
より深く歴史を学びたい方は「高岡市万葉歴史館」や「伏木北前船資料館」がおすすめです。
映像や音を用いて現在の人々により魅力を伝えられるよう構成された常設展や、廻船問屋の町家である旧秋元家住宅を資料館として開放しながら、村の歴史や古地図、船主の生活道具など当時の様子が細かく残された貴重な資料を展示しています。まるで歴史上にタイムスリップしたかのような空間で、当時の様子を楽しみながら学べます。
「二上山万葉ライン」は、標高約274mの二上山の山並みを巡る全長8.4kmのドライブウェイです。山頂付近には展望台があり能登半島や立山連峰が一望できるので、登った後は展望台からの景色も楽しんでみてください。
また、道沿いには守山城跡や平和観音像をはじめとして、大伴家持像、仏舎利塔などの歴史ある観光スポットも多くあるため、さらに富山の歴史を学んで当時の情景を感じたい方におすすめです。その中でも「平和の鐘」には重さ11トンもの大梵鐘があり、訪れた人は誰でも自由に鐘をつくことができます。
大自然の中で鐘をつく経験ができるのは世界中でも珍しいため、貴重な経験をしに一度訪れてみてはいかがでしょうか。
雨晴海岸を満喫するために押さえるべきポイント3選
思わず息を呑むほどの絶景が味わえる雨晴海岸。せっかくなら、条件を全て揃えて忘れられない旅の光景を目に焼き付けたいものです。ここからは、さらに雨晴海岸を楽しみつくすために押さえるべきポイントを3つ紹介します。
天気の良い日を選ぶべし
雨晴海岸の景色を楽しむ上で最も重要と言っても過言ではないのが、天気です。
海岸を見に行く際はできるだけ晴れの日を選びましょう。雲一つない快晴であればあるほど雨晴海岸の壮大な景色を堪能できます。
北陸地方は比較的、年間を通して曇りや雨の日が多い地域です。富山旅行の際は雨でも楽しめる観光スポット案も用意しながら、雨晴海岸に行く日は天気予報が晴れの日に予定を組むことをおすすめします。
見ごろの時期を押さえるべし
せっかく雨晴海岸に行くのであれば、女岩や立山連峰も肉眼で楽しみたいものです。富山湾越しに見られる立山連峰ですが、くっきり見るには「11月〜3月」の冬時期が見頃です。
冬は大気中に含む水蒸気が少なくなり空気が澄んでいるため綺麗に見えますが、春先になると黄砂の影響で大気中の空気が霞んでくっきり見るのが難しくなってしまいます。
なお「気嵐(けあらし)」が発生するのも、海水と大気の温度差が大きい冬の時期です。10月末から2月末頃までの早朝(日の出前から日の出後、朝5時から8時頃)に見られるので、好条件の日に雨晴海岸を見に行く際は少し早起きして気嵐を見に行くのがおすすめです。
雨晴海岸は、冬だけでなく春から初夏にかけての青々とした空と白い雲、そして海岸を囲む大自然の緑と女岩のコントラストも魅力の一つです。暖かくなった後も、残雪の残った立山連峰の壮大で圧巻な景色は訪れた人々を感動させてくれます。
それぞれの季節ごとに違う景色を楽しめるのも、雨晴海岸の魅力の一つです。
混雑しない平日がおすすめ!
日本屈指の絶景を誇る雨晴海岸は、全国から観光客が殺到するため週末や大型連休は混雑が見込まれます。週末は道が渋滞していたり、道の駅やカフェなどで待ち時間が発生することもしばしばあるかと思います。特に混雑が予想される大型連休シーズンには、駐車場が満車になることも予想されます。
道の駅「雨晴」の公式サイトではライブカメラで現在の駐車場状況が見られるので、行く前に確認することをおすすめします。
雨晴海岸や周辺の名所をたっぷり見たいという方は、人が少なめの平日を選ぶことで週末と比べてスムーズに過ごせるため快適に観光を楽しめます。また、人が少ないことで観光地の写真も撮りやすくなるので、よりフォトジェニックでお気に入りの一枚が残せることでしょう。
雨晴海岸へのアクセス
【JR氷見線「雨晴駅」から】 | 徒歩5分 |
【JR新高岡駅から】 | ・新高岡駅2番のりばから加越能バス (伏木駅経由氷見市民病院行き、ふしき病院経由氷見市民病院行き、伏木駅経由磯はなび行き)「岩崎」下車 すぐ ・車で25分 |
【高岡駅から】 | ・高岡駅古城公園口(北口)4番のりばから加越能バス (伏木駅経由氷見市民病院行き、ふしき病院経由氷見市民病院行き、伏木駅経由磯はなび行き)「岩崎」下車 すぐ ・車で20分 |
【能越自動車道 高岡北ICから】 | 15分 |
【北陸自動車道 高岡砺波スマートICから】 | 35分 |
富山が誇る絶景雨晴海岸で心も体もリフレッシュしよう
富山県の中でも一、二を争う絶景観光スポットである雨晴海岸。今回は、そんな雨晴海岸の魅力や名前の由来、絶景を見るために押さえるべきポイントについて紹介しました。
雨晴海岸から氷見市の松田枝までの長浜は「白砂青松百選」に、そして雨晴海岸は「日本の渚百選」に認定されている大自然に囲まれた景勝地です。富山湾越しに見える3000m級の立山連峰の雄大な眺めは四季それぞれに変化し、一度見ると忘れられない美しさに思わず感動してしまいます。
歴史上の人物までもが大絶賛し、今もなお地元の方や観光客を魅了し続ける雨晴海岸の絶景は、一度は見に行く価値があります。
女岩や立山連峰をくっきり見るためには晴れた冬の日がおすすめですが、岩礁が多く青々とした富山湾と白い砂浜のコントラストは一年中見れて四季折々違った楽しみ方ができます。
雨晴海岸で絶景を楽しんだ後は、地元の方の愛がたくさん詰まった道の駅や周辺の観光スポットにも足を運んでみてください。