火災を未然に防ぐ対策とは?よくある原因や発生時の対処法も紹介

火災は秋から春までが発生しやすく、主にたばこ、コンロ、電気機器などの出火件数が多くあります。本記事では、火災が発生する原因や日常でできる火災対策、もしも火災が発生した際に取るべき行動について紹介しています。もしもの火災に備えて、ぜひ参考にしてみてください。

火災が発生しやすいのは秋から春まで

秋になると日本全体が寒気に覆われ、家で暖房器具を使う場面が増えてきます。東京消防庁の調査によると、1年を通じて火災が起きやすいのは、暖房器具を使う頻度が多い秋から春までといわれています。

さらに、この時期は空気が乾燥しているため建物や家具に含まれている水分が少なくなり、引火しやすくなるのです。さらに風の強い日は、ほんの少しの火の気でも大きな火災につながりやすく、被害を広げてしまう恐れが高まります。

また、総務省消防庁の統計によると令和3年度の住宅火災による死者数は966人で、前年度と比較すると67人増加しています。

火災の危険性が高まる秋から春はもちろん、火災はいつ起こるかわかりません。ほんの少しの油断が大きな火災につながる可能性も考えられます。火災が起きてからではなく、起きないための万全な対策が必要です。

富山県は33年連続で出火率全国最小

総務省発表の「令和5年(1~12月)における火災の状況」によると、令和2年度から全国的に火災件数が増え続けている中、富山県では平成3年から令和5年までの間、33年連続で出火率(人口1万人あたりの出火件数)全国最小を達成しています。(参考:富山県「安心・安全情報」より)

これは、古くから続いている富山県住民の強い防災意識が、今もなお受け継がれている結果だといえるでしょう。富山県に住む人々は、先人の努力を今後も守り続けたいものです。

そのためには、火災が起こる原因から対策までをしっかり理解し、火災の予防を徹底することが重要です。

住宅火災の主な原因

住宅火災の原因はさまざまですが、中でも件数が多い原因を紹介します。

たばこ

総務省が発表した「令和5年(1〜12月)における火災の状況」によると、令和5年に起きた住宅火災の中で、たばこによる火災が最も多くありました。

たばこによる火災の例としては、消したと思っていた吸い殻をゴミ箱に捨てた結果、紙くずなどに燃え移り発火してしまう、喫煙中に火種が布団や畳の上に落ちて発火してしまうなどが挙げられます。

布団やソファーなどの寝床でたばこを吸い、そのまま寝込んでしまう「寝たばこ」も、火災の原因の1つです。

たき火

令和5年に起きた住宅火災で、たばこに次いで多いのがたき火による火災です。

たき火による火災は、火の粉が風に乗って周囲の枯れ葉や建物に燃え移ることで起こります。特に乾燥した時期や風が強い日には、火の粉が遠くまで飛ぶため注意が必要です。

また、火をしっかり消さずにその場を離れてしまうことも危険です。見た目では消えていても、内部にくすぶった火種が残っていることがあります。

コンロ

コンロが原因で起こる住宅火災には、揚げ物調理中の火災や、ガス漏れによる引火、点火し損ねたコンロの爆発などが挙げられます。

IHコンロの場合は火を使っていないため安全かと思われがちですが、IHコンロの場合でも火災が起こることは十分に考えられます。鍋とIHの間に鍋敷きが挟まったまま加熱して、IHコンロの温度制御が機能せず火災になってしまう、揚げ物が高温になりすぎて発火してしまうなどの危険性があります。

電気機器・配線

令和5年に起きた住宅火災では、電気機器・配線による火災も多く発生しています。

特に、電気のコンセントや電源プラグにほこり、湿気が溜まることで発火する「トラッキング」による火災、1つのコンセントから複数の電気機器を接続する「タコ足配線」による火災が主な原因です。

トラッキングは、電気機器を使用していない場合や、電源がついていない場合も発生するため、注意が必要です。

ストーブ

ストーブによる火災は、ストーブ本体に可燃物が接触して引火するケースが多くあります。

主な例としては、ストーブの近くで寝返りを打った際に布団に引火してしまう、ストーブの上に掛けていた洗濯物が落ちて引火してしまう、風が吹いたタイミングでカーテンにストーブが引火してしまう、などが挙げられます。

日常でできる火災対策

火災を起こさないためには、日常でできる対策が重要です。明日から実践できる火災対策を6つ紹介します。

タコ足配線を減らす

タコ足配線は、1つのコンセントに多数の電気製品を接続すると、過電流によって発火するリスクがあります。そのため、タコ足配線を使用する際はワット数をチェックし、使用する機器の合計が超えないよう対策しましょう。

また、見栄えを良くする、整頓するなどの目的から、電源コードを束ねている方も少なくありません。しかし、電源コードを束ねておくと放熱が妨げられてしまい、発火の原因になります。同じく、コードのねじれなども、内部の配線が損傷しやすくなります。傷んだ配線は、ショートや発火が起こる危険があります。

電源コードは、放熱しやすいよう束ねずに使用するなどの対策も重要です。

コンセントは定期的に掃除する

トラッキング現象が起きないよう、コンセントはこまめに掃除するのも火災対策として有効です。

コンセントを掃除する際は、必ずコンセントからプラグを抜いて行うことがポイントです。プラグを抜く際は配線ではなくプラグ本体を握って抜き、水拭き→乾拭きの順で掃除しましょう。濡れたままの状態でコンセントにプラグをさすと危険なため、注意してください。

コンセントを掃除する際は、コンセントの穴の中にもほこりが溜まっていないか確認すると安心です。

ストーブの周りに燃えやすい物を置かない

ストーブの近くで寝る、ストーブの上で洗濯物を干さないことは、実際に心がけて対策している方も多いかもしれません。しかし「カーテンの近くにストーブを置かない」など、意外に見落としがちなところも注意しましょう。

ストーブは、物が当たるなど、少しの衝撃でも周りに火が燃え移る危険があります。地震や強い衝撃を受けたときに自動で消火する機能が搭載されている「耐震自動消火装置付きストーブ」もおすすめです。

調理中はコンロのそばから離れない

コンロの周りには燃えやすい物を置かず、調理中は必ず目を離さないことも火災対策の1つです。特に、てんぷらを揚げる際は注意が必要です。油の温度が上がりすぎると自然発火するほか、飛んだ油が火に触れると引火してしまう危険性があります。

コンロを使う際は絶対にその場を離れないことがポイントです。

寝たばこをしない

寝たばこは、寝ている間にたばこの灰が落ち、布団や衣服に引火する可能性があります。特に、飲酒→喫煙→うたた寝のパターンには注意が必要です。

たばこを吸う際は、すぐ近くに灰皿がある環境で吸いましょう。灰皿には水を入れておき、吸い殻を捨てる際は必ず水にさらすように捨てるのが重要です。その場を離れる際は、完全に火が消えたかどうかチェックしてから離れるようにしてください。

寝たばこはもちろん、たばこを吸う際は灰皿の使い方や消化できているか、なども意識して対策しましょう。

子どもへの防災教育

小さな子どもがいる家庭では、火災に関する防災教育が重要です。火災だけに限らず、子どもも含めた家族全員での防災対策は、もしもの場面で非常に役立ちます。

防災教育では、火遊びの危険性や、正しい火の使用方法、火災が発生した際の避難方法を教えるといざという場面で役立つでしょう。子どもの年齢や理解度に合わせた内容で、絵本やアニメを活用するのもおすすめです。

火災発生時に取るべき行動

火災が起きないよう日々対策していても、ふとしたタイミングで起きてしまう可能性はゼロではありません。もしも火災が起きた際は、慌てず冷静な対処が必要です。

ここからは、火災発生時に取るべき行動について紹介します。

大きな声で周囲に知らせて消防(119番)に通報する

火災が起きたら、まずは大きな声で周囲に知らせることが重要です。

「火事だ!」と大声を上げ、難しい場合は鍋を硬い鉄などで叩いて大きな音を出しましょう。大きな音を出して同居している家族や近隣住民にも知らせることが、全員の素早い避難につながります。

周囲に知らせた後は、消防(119番)に通報します。事前に大きな声を出しておくと、消防隊員に対して冷静に状況を伝えられる可能性もあります。

すぐに消せそうな火は初期消火する

火災が発生した際は、火が大きくなる前の初期消火が重要です。初期消火とは、消防隊員が現場に到着するよりも前に行う初期対応のことで、出火から2〜3分内に実施する消火活動です。

初期消火を試みるのは「消火する人の身長の高さ」が目安といわれています。もしも燃え上がる火の高さが身長を超えている場合は、無理に消火しようとせず自分の安全を第一に考えて避難しましょう。

煙を吸わないように低い姿勢で避難する

火災が起きた際に最も危険なのは火だと思われがちですが、煙の恐ろしさも忘れてはいけません。総務省消防庁の統計によると、令和3年中の火災による死因は、やけどに次いで一酸化炭素中毒・窒息によるものが多くあります。

火災の煙には有毒な一酸化炭素が多く含まれており、吸い込むと意識障害や最悪の場合、呼吸ができず死に至る可能性もあります。煙は上に上がって天井から溜まる性質があるため、なるべく低い姿勢で、床近くの空気を吸いながら避難するのがポイントです。煙が充満している場合は、ほふく前進のような体勢になって避難しましょう。

避難する際は、鼻と口をタオルやハンカチで覆うことも忘れないようにしてください。

日頃から対策して火災を未然に防ごう

今回は、火災の原因や日頃からできる対策、もしも火災が起きた際に取るべき行動について紹介しました。

火災を起こさないためには、日頃からの対策が重要です。たばこやコンロ、ストーブなどを使う際に細心の注意を払うことはもちろん、こまめなコンセントの掃除や火災報知器が故障していないかなど、忘れがちな場所も今一度確認することをおすすめします。

「自分は気をつけているから大丈夫だろう」という油断は禁物です。もしも起きた際、冷静に対処できるよう、本記事を参考にしながら、火災の対処法などを覚えておきましょう。

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
トイエバ編集部

トイエバ編集部

様々な富山の情報をお届けするトイエバ編集部です!

地域情報メディア、toiebaでは「グルメ」「住宅」「防災」「ペット」「観光」をテーマに、富山を知り尽くした地元のライターや防災に関する専門家、ただただペットを溺愛する飼い主など、多様なライターが集まるtoiebaが楽しくにぎやかに、そしてためになる情報をお伝えしていきます。

  1. 火災を未然に防ぐ対策とは?よくある原因や発生時の対処法も紹介

  2. 【クーポン付】富山のお土産店「ととやま」!定番から富山県民に人気の商品まで勢揃い

  3. ヌックのある間取りとは?居心地の良い隠れ家の作り方とポイントを紹介

RELATED ~関連記事~

PAGE TOP