富山の黒部峡谷トロッコ電車とは?魅力や周辺おすすめスポット

黒部峡谷トロッコ電車とは?

「黒部峡谷トロッコ電車」©(公社)とやま観光推進機構

黒部峡谷トロッコ電車は、富山県黒部市にある宇奈月駅から欅平駅まで、黒部川沿いをゆっくりと走る観光列車です。全長20.1kmの道のりを片道約1時間20分かけて進み、日本一深いV字峡谷として知られる黒部峡谷の大自然を間近に感じられます。

黒部峡谷トロッコ電車は、もとは電源開発のために富山に敷設された鉄道でした。しかし、現在では富山を代表する観光列車として、多くの観光客に親しまれています。車両の線路幅は、新幹線の半分ほどしかない“ナローゲージ”と呼ばれるもので、日本で3社しかないという珍しい鉄道の1つです。中には大正時代に製造された車両も現役で走っているなど、その歴史的価値にも注目が集まっています。

窓のない開放的なトロッコ車両や、室内空間ながらも風を感じながら過ごせる窓付き車両など、タイプが選べるところも黒部峡谷トロッコ電車ならではの特徴です。春の新緑、夏の涼風、秋の紅葉と、訪れる季節によって富山の魅力的な表情を見せてくれます。

黒部峡谷トロッコ電車のルート

富山の魅力あふれる、黒部峡谷トロッコ電車のルートを紹介します。なお、2025年度は、能登半島地震の影響により鐘釣駅・欅平駅の運行はしていません。「宇奈月〜猫又間」の折り返し運行予定です。

宇奈月駅〜黒薙駅間

「新山彦橋」©(公社)とやま観光推進機構

宇奈月駅から黒薙駅までの区間は見どころが豊富です。乗車してすぐに、自然と人工美のコントラストに魅了されるでしょう。

乗車して最初に現れるのは、鮮やかな赤色が印象的な「新山彦橋」です。渓流からの高さは約40mもあり、橋を渡る際にはスリル満点の絶景が広がります。鉄橋を走る列車の音が、まるで山にこだまする「やまびこ」のように、温泉街に響き渡ることからこの名が付けられたのだそうです。

続いて見えるのが、宇奈月ダムの完成によって誕生した「うなづき湖」です。エメラルドグリーンに輝く湖面と、周囲の雄大な峡谷の景色は、思わず写真を撮りたくなるほどの美しさ。湖には「サル橋」と呼ばれる吊り橋がかかっており、運が良ければサルたちが橋を渡る、愛らしい光景に出会えるかもしれません。

さらに進むと、水の上に佇むお城のような「新柳河原発電所」が姿を現します。一見ヨーロッパの古城のようにも見えるこの建物は、1993年に建設された水力発電所です。かつて湖の底に沈んだ柳河原発電所の代わりに建てられたもので、黒部峡谷の自然と調和する外観は、トロッコ電車の旅の記憶に残るでしょう。

黒薙駅~鐘釣駅間

「後曳橋(あとびきばし)」©(公社)とやま観光推進機構

黒薙駅から鐘釣駅間は、富山の自然と迫力を間近で感じられる区間です。

黒薙駅を出て間もなく現れるのが、青い鉄橋「後曳橋(あとびきばし)」です。黒薙川の底から約60mの高さに架かるこの橋は、峡谷でもっとも険しい場所に位置しています。かつて、谷の深さに恐怖を抱いた登山家が、思わず後ずさりしたことからこの名がつけられたのだそうです。電車から見下ろすスリル満点の景観は、思わず息をのむほどの迫力です。

出平駅の手前では「出し六峰(だしろっぽう)」と呼ばれる壮大な山々が姿を見せます。ひとつの大きな山から6つの峰が鋭く突き出す姿は、まさに自然の芸術ともいえるでしょう。まるで水墨画のような静けさと美しさを感じさせてくれます。

そして、猫又駅付近で見えてくるのが「ねずみ返しの岩壁」です。高さ約200mにも及ぶ巨大な岩壁は、その険しさから、猫に追われたねずみですら登れず、引き返したという言い伝えが残されています。特に紅葉の季節には、色づいた木々の絶景に訪れた全員が見惚れてしまうでしょう。

黒部峡谷トロッコ電車旅のおすすめスポット

黒部峡谷トロッコ電車には、各駅周辺に魅力的なスポットがあります。黒部峡谷トロッコ電車を利用した際、ぜひ足を運んでいただきたいおすすめスポットを紹介します。

宇奈月温泉駅周辺

「セレネ美術館」(引用:https://www.kurotetu.co.jp/spot_unaduki/#anchor-spot24

「セレネ美術館」は、黒部峡谷をテーマに、現代日本画の巨匠たちが描いた作品が常設展示されている美術館です。静かで美しい空間の中で、富山黒部の自然美を堪能できるスポットとして、多くの観光客が訪れています。館内にはカフェやショップも併設されているため、旅の休憩にもぴったりです。子どもでも楽しめる創作体験コーナーもあるなど、家族連れにも人気のスポットです。

もう1つのおすすめは「黒部川電気記念館」です。富山黒部川流域の電源開発の歴史を、映像や模型を使いながらわかりやすく紹介しています。昭和の大工事「くろよん(黒部ダム)」の貴重な映像や、実際の水車模型、トロッコ電車の体験シアターなど、見応えたっぷりで充実した時間を過ごせるでしょう。トロッコ電車に乗る前後で、富山について楽しく学んでみてはいかがでしょうか。

また、富山県内でも屈指の規模を誇る温泉地「宇奈月温泉」も、おすすめスポットの1つです。日本一の透明度といわれている無色透明の湯は、弱アルカリ性で肌にやさしく、“美肌の湯”としても人気です。富山のお土産スポットや、自然と調和したカフェなどの地元グルメも充実しているエリアです。

黒薙駅周辺

「黒薙温泉旅館」の露天風呂 ©(公社)とやま観光推進機構

黒薙駅周辺でのおすすめスポットが「水路橋」と「黒薙温泉旅館」です。

「水路橋」とは、猫又から新柳河原発電所へと水を運ぶために、昭和2年に建てられた送水橋です。クラシカルなデザインが印象的で、黒部峡谷ならではの自然豊かな風景になじみながら、存在感を放っています。階段を少し登ると黒部峡谷に調和した美しいアーチを間近に見られ、フォトスポットとしても人気の橋です。

「黒薙温泉旅館」は、黒部峡谷で最も古い温泉宿として知られている温泉です。97℃もの高温で湧き出る源泉が、約7kmの距離を経て下流へ送られています。河原に造られた28畳もある露天風呂は、心も体も癒してくれることでしょう。日帰り入浴や軽食、予約制で宿泊もできます。なお、2025年の営業期間は、5月14日(水)〜11月24日(月)午前中まで(宿泊は5月16日(金)から開始)です。

鐘釣駅周辺

「黒部万年雪展望台」(引用:https://www.kurotetu.co.jp/spot_kaneturi/#anchor-spot43

黒部峡谷トロッコ電車の旅では、鐘釣駅周辺も見逃せないスポットです。

「黒部万年雪展望台」は、鐘釣駅から徒歩約3分の場所にある展望台です。百貫山に降り積もった雪が雪崩となって、谷に堆積した“万年雪”を間近に見れるスポットです。この雪は、すべて溶ける前にまた次の冬を迎えることから「万年雪」と呼ばれています。初夏には、新緑と万年雪が美しいコントラストを見せてくれます。季節限定の自然美を堪能できる黒部万年雪展望台は、5月から初夏にかけて訪れるのがおすすめです。

鐘釣駅から歩いて約10分の場所には「鐘釣河原」があります。階段を下って黒部川のほとりへ向かうと現れる、まさに癒しの空間といえるでしょう。夏場は水遊びする子どもも多く、河原から湧き出ている温泉で、自分だけの小さな足湯を作れるところも魅力です。

なお、2025年度は、鐘釣駅と欅平駅の間で運行を行っていません。

欅平駅周辺

「奥鐘橋」©(公社)とやま観光推進機構

欅平駅周辺にも、黒部峡谷の壮大な自然を間近で感じられる見どころが数多くあります。

「奥鐘橋」は、黒部川本流にかかる赤色の橋です。奥鐘山や名剣山などの美しい山々が広がる、絶景スポットとしても知られています。約34mの高さがある橋からは、絶景を堪能できます。

奥鐘橋を渡った先には、巨大な岩壁を削り取って造られた「人喰岩」があります。圧倒的な自然の造形美は、写真映え間違いなしの人気絶景スポットです。

なお、2025年度は鐘釣駅と欅平駅の間で運行を行っていません。

黒部峡谷トロッコ電車の利用方法

黒部峡谷トロッコ電車の運賃と購入方法について紹介します。

乗車チケットの運賃(2025年4月13日時点)

黒部峡谷トロッコ電車は、4月20日から11月30日まで運行しています。時期によって運行区間と料金が異なるため、事前にチェックすることをおすすめします。

期間4月20日〜5月2日
運行区間宇奈月〜柳橋
料金大人:700円 子ども:360円
ポイントこの区間では、柳橋駅での下車はできません。電車に乗ったまま折り返し運行のため、気軽にトロッコ電車を体験したい方にぴったりです。
期間5月3日〜5月9日
運行区間宇奈月〜笹平
料金大人:1,660円 子ども:840円
ポイント春の自然を楽しむ最適の期間に乗れる、往復で約80分のトロッコ電車旅です。折返し地点の笹平駅でトイレ休憩があります。
期間5月10日〜11月30日
運行区間宇奈月〜猫又
料金大人:2,820円 子ども:1,420円
ポイント猫又駅でのトイレ休憩を含めて、往復で約120分のトロッコ電車旅です。峡谷の奥深くまで足を運べる、見応えのあるルートです。

また、1回の乗車ごとに600円の車両券を購入で、窓付きの車両「リラックス客車」の利用ができます。肌寒い季節や天候が思わしくない日でも、快適に楽しめるでしょう。

乗車チケットの購入方法

黒部峡谷トロッコ電車のチケットには「当日乗車券」または「予約販売」があります。当日乗車券は、宇奈月駅窓口にて午前7時40分より販売されます。

黒部峡谷トロッコ電車の乗車券予約方法は「Webチケット予約」「電話または郵便」「旅行代理店販売」「宇奈月温泉旅館(一部を除く)」「宇奈月駅窓口での前売券の発売」の5パターンがあります。

くわしいチケットの予約方法および15名以上の団体予約、払い戻し方法などは、以下の黒部峡谷トロッコ電車公式サイトに掲載されています。
乗車券の購入方法/黒部峡谷トロッコ電車

黒部峡谷トロッコ電車で絶景に癒されよう

今回は、富山にある黒部峡谷トロッコ電車について紹介しました。

黒部峡谷をゆったりと走る黒部峡谷トロッコ電車は、四季折々の風景を間近に感じられる、富山県屈指の観光列車です。車窓から望む絶景や、各駅ごとに点在する観光スポット、温泉、歴史ある橋など、黒部峡谷トロッコ電車には見どころが尽きません。

大自然の静けさと力強さに包まれる非日常的な時間は、特別な思い出になることでしょう。

住所富山県黒部市黒部峡谷口11番地
アクセス【車】「黒部IC」より20分
【電車】富山地方鉄道「新黒部」宇奈月温泉駅下車後、徒歩5分
公式サイトhttps://www.kurotetu.co.jp/
公式Instagramhttps://www.instagram.com/kurotetu_official/
営業時間時刻表はこちらをご確認ください
問合せ先0765-62-1011
駐車場【タイムズ黒部峡谷トロッコ電車駐車場】
乗用車:最初の6時間1,000円(駐車後24時間最大1,500円)
バス:2,000円(当日1回)
バイク:500円(当日1回)
【宇奈月駅前駐車場】
普通車約150台・バス約25台収容(有料)
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トイエバ編集部

トイエバ編集部

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