サムラップとは?

南砺市福野地域の一角、昔ながらの町並みの中にひっそりと佇む「サムラップ」。
オーナーシェフの石田さんは、日本で数少ないタイの料理学校の卒業生です。富山はおろか日本中を探しても、本場の伝統的なレシピで提供されるタイ料理の店は少なく、遠方からも年齢問わず多くのファンがやって来ます。
以前はケータリングのみだったそうですが、2023年5月に店舗として「サムラップ」をオープンして以来、予約の絶えないお店となっています。

ランチ・ディナーともに完全予約制です。
タイ料理は辛いものが多いため12歳以下の来店は控えてもらっているそうですが、ワンちゃんは同伴で入店が可能です!
外に看板はなく、ガラス張りの入口が目印です。

中に入ると、大きな木彫りの虎が出迎えてくれました。愛犬のルイは最初この虎を怖がるかと思いましたが、全然平気な様子!

こちらは木彫りで有名な南砺市井波の井波彫刻の作品です。一つの木から彫られているので継ぎ目はなく、井波の職人の技と力強さを感じますね。
名前は「ショーヘイ」君。WBCで日本が優勝し、大谷翔平選手がMVPを獲得した翌日に店にやって来たことから、石田さんがそう名付けたそうです。(笑)
「よくお客さんが撫でていくけど、ご利益はないと思う。」と石田さんは笑っていらっしゃいました。(笑)
「サムラップ」のシンボルのような存在ですね。
サムラップのカレーランチ(土日限定)

「サムラップ」のランチはカレー・炒め物・サラダ・コーヒーまたは紅茶のセット1種類となっています。
この日は「マッサマンカレー」と「エビと豚挽肉のサラダ」に「春雨とお野菜の炒め物」がセットでした。
出てきた瞬間に食欲をそそる、スパイシーで香ばしい香り!ですが、一口食べると辛さよりも美味しさが飛び込んできます!!!
甘さとコクが混ざったような鼻から抜ける香りや、深くこっくりとした旨味、ナッツの香ばしい風味など・・・口の中で複雑に混ざり合う感じ。心地よい辛さと、ココナッツのさらっとした甘さがクセになりました。

これは日本人に合わせた食べやすい味なのかと尋ねると、石田さんは本場のレシピに忠実に作っていると教えてくれました。
これが本場の味・・・!?今まで食べてきた、辛くてクセの強いタイ料理のイメージとは全く違ったもので衝撃的です。
「世界一美味しい料理」にも選ばれたことがあるマッサマンカレーですが、「サムラップ」では9種類のスパイスと数種類のハーブの入った「自家製カレーペースト」から手作りします。
さらにスパイスの香りがより引き立つように前日から手作りで仕込むそうです。

さらに驚いたのは、タイ米の美味しさ!
「サムラップ」のカレーのお米は「ジャスミンライス」というもの。タイ米の中の「新米」のことで、タイ米より高級品です。
私にとってのタイ米とは「少し乾燥していて、芯の食感があり、パラパラとしている」というイメージで、富山で食べるような米とは違うモノという認識がありました。
しかし「サムラップ」で出会った米は、見た目はタイ米そのものですが、コシヒカリに似てほんのり甘く、香りもあり、もちっとした食感で粘り気があります。
カレーのスパイシーさが、よりジャスミンライスの甘さを引き立たせてくれてたまりません。永遠にルーとライスを交互に食べていられます・・・。

「サムラップ」で提供されるタイ料理のサラダはオイルを使わず、ライムの爽快感でさっぱりとしたヘルシーな味付けです。ナンプラーのコクを感じ、細かく切った唐辛子はピリッと程よいアクセントとなります。
また細かく刻んだニンニクで食が進み、ヘルシーな見た目以上に食べ応えがあるんです!

「春雨とお野菜の炒め物」にはスパイシー感はなく、ニンニクの香ばしい旨味で味付けがされています。サラダに負けないほどの量のお野菜を摂ることができるのも嬉しいですね。

タイ料理と聞くと現地の庶民が「屋台」や「食堂」で食べるイメージがありますが、実は200種類以上のレシピがあり、その多くは元々、裕福な人たちが料理人に作らせて食べるものだったといいます。
そして古くから伝わる伝統的なタイ料理のレシピはどれもこれも香りを大切にしたものばかり。
ですが現代のタイではカレーペーストは専門店が販売するスタイルであるため、ペーストからすべて手作りするような料理人も多くはいないだろうと石田さんは話します。

また、定期的にバンコクまで買い付けに行き、スパイスやハーブなどの調味料やお店で使う陶器の道具は現地のものを使うというこだわりも教えてくださいました。
時間と手間がかかった丁寧な料理だからこそ、来てくれた方へしっかり届けたい。完全予約制なのはそんな料理を無駄にしない、フードロスを減らすためのお店のシステムでもあります。
花を乾燥させたバタフライピーソーダ

美容にも良いといわれている爽やかな見た目のこちらのドリンク。ライムを絞ると紫からピンクへの色の変化を楽しめ、アントシアニンを豊富に含んだヘルシーなドリンクです。

毎日咲くというバタフライピーのお花を開花する直前の蕾の状態で乾燥させて作るそうです。
すっきりとした爽やかさを楽しめ、カレーにもぴったり!
食後にいただく落雁

食後はコーヒーか紅茶が選べます。
ドリンクと一緒に出てきたのは落雁(らくがん)。タイ料理のあとに落雁とは・・・!と感じましたが、こちらは南砺市で500年以上の歴史を持つ老舗銘菓「河内屋菓子舗」の落雁です。
富山県内で500年以上の歴史とはすごいですね。どうやら応仁の乱の直後あたり、戦国時代の創業ですね・・・。

瑞泉寺や高瀬神社、護国神社が御用達という格式高い名品。しっとりとしたくちどけで上品な甘さがとっても美味しく、口の中を幸福感たっぷりで〆ることができました。

「河内屋菓子舗」は現在店頭販売をお休みされていますが、「サムラップ」の店内で落雁が販売されており、お食事なしでも落雁だけ購入することが可能です。
また「サムラップ」では予約なしで来店可能なカフェ&デリの開催日があります。「河内屋菓子舗」の赤飯や、石田さんが息抜きで作る(!?)というパン、コーヒーなどを楽しむことができる特別な日です。
是非お店のインスタグラムで開催日を確認してみてください。
タイと南砺らしさが入り混じる店内
福野地域の古い長屋の建物が並ぶ中に「サムラップ」はありますが、店舗に古臭さは全く感じません。店舗は世界で活躍してきた井波のデザイナー山川智嗣氏の設計です。
内装はポップなカラーのペイントとタイル張りの壁がとても印象的で可愛いですね!

ふと頭上を見上げると、東南アジアらしい竹で編まれたデザインの天井や、井波彫刻の木彫のペンダントライトが吊られていました。可愛いー!
タイと南砺市らしさが入り混じった、オシャレな空間でゆったりと過ごすことができます。

店名の「サムラップ」とはタイ語で「ごはん」「食卓」の意味。単に料理自体だけでなく、タイの食文化やおもてなしの心を表す意味もあるそうです。
いろんな料理を家族や友人、客人とシェアして食べるのが、タイ本来の食事スタイル。さらに愛犬同伴で食事していると、愛犬に話しかけるところから自然と会話が生まれ、とても楽しい食事時間になりました!


またタイ料理は確立されたレシピがなく、料理人それぞれのレシピが人伝で伝わってきたものだといいます。ランチを楽しんでいる間も、石田さんからタイ料理や食文化の話を楽しみ、たくさん教えて頂きました。
食を囲んで生まれるコミュニケーションの場としても楽しめました。
ワンちゃん仲間が集まっての利用も可能

「サムラップ」は、予約の際に犬同伴である旨を伝えればランチ・ディナーともに犬の同伴で入店が可能です。雨や雪の多い富山で、店内まで犬OKな飲食店は本当に貴重です。
店内では犬はマナーパンツ等のオムツの着用が必須です。イスに座らせたい場合はマットを使用すれば可能で、混雑時は飼い主の膝の上、もしくはバギー等に乗せられれば同伴ができます。
座席の配置や、他のお客さんとの距離もあるので、わんちゃん連れで利用の際は必ず予約時に頭数と大きさなどを伝えておきましょう。

「サムラップ」は4名〜6名で貸切りが可能です。時には人間よりも犬の頭数の方が多いような、犬の飼い主さんたちの集まりで利用するお客さんもいらっしゃるそうですよ!
わんちゃん大好きなオーナーシェフ石田さん

わんちゃんが大好きで、特に犬の眉間と頬のタプタプが良い!とのことです!
外資系ホテルのマーケティング事業やフードコンサルタントとして働いている石田さんはタイに行った際、現地で食べるタイ料理と日本で食べるものの違いに衝撃を受け、人に伝える上でベーシックなものをしっかり学びたいと考え、タイの料理学校に入学。
タイの料理学校で日本人の卒業生は石田さんが3人目。お店をやっているのは石田さんのみではないか、というから本当に貴重なお店です。
今後はいろんな方々と協力して様々なイベントも行っていきたいそうです。SNSで是非スケジュールをチェックしてみてください。

タイ料理に初めて挑戦する方はもちろん、今まで食べたことがある方も是非一度味わってほしい「サムラップ」の料理。きっとタイ料理の見方が変わるでしょう。
そして本場の美味しさと奥深さを是非肌で感じていただきたいと思います!
店名 | サムラップ |
住所 | 富山県南砺市福野1330-7 |
公式Facebook | https://www.facebook.com/samrupeat/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/samrup_nanto/ |
営業時間 | 金ディナー18:00~21:00 土日ランチ11:30~14:00 |
定休日 | 月~木 |
駐車場 | 有(予約時に車で来店する旨を伝えてください) |
問合せ先 | InstagramのDMから可能 |
予約可否 | 事前予約のみ |
決済方法 | 現金、paypay |
席数 | 6席 |