今注目を集めている中庭について紹介します。中庭が魅力的な理由は?代表的な3つのタイプや取り付けるメリット・デメリット、注意すべきポイントも詳しく解説しています。中庭を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
今、中庭に魅力を感じている人が増えている!
庭を作りたいけれど外からの視線が気になる、都市部に住んでいて大きな庭は作れない、という理由から、現在「中庭」に興味を持つ方が増えてきています。
中庭とは、壁や建物などで囲まれている、屋根のついていない屋外プライベート空間のことをいいます。屋内と屋外両方の良さを両方取り入れられるところが、中庭の魅力です。
この記事では、現在人気を集めている中庭の間取りやメリット・デメリット、取り入れる際の注意点について紹介します。
中庭の種類と特徴
中庭には、大きく分けて3つの種類があります。それぞれの特徴について紹介します。
L字型タイプ
「L字型タイプ」とは、中庭が2つの外壁に面している間取りのことをいいます。住宅を真上から見ると、アルファベットの”L”の形に見えるのが特徴です。他のタイプと比べて壁材などの使用が少ないことから、最も設計費用を抑えられるというメリットがあります。
明るく開放的な空間である一方、見通しが良いため外からの視線が気になる懸念があります。気になる場合は、観葉植物などで庭の一部を隠す、奥行きのあるレイアウトにして視線の流れを制御するといった対策も取り入れると良いでしょう。
引用:https://www.houselabo.com/work/work17/
コの字型タイプ
中庭が3面の壁に囲まれた間取りを「コの字型タイプ」といいます。プライバシーを守りながら、開放感のある庭を楽しめます。周りが完全に囲まれていないため、採光や風通しがいいのも特徴です。
複雑な形状であることから、建築費用は高くなる可能性があります。シンプルなレイアウトにする、壁材・床材の素材のコストダウン、面積の縮小などで費用を抑えられるでしょう。また、コの字型の場合は特に生活導線が長くなる傾向にあります。そのため、生活する上で動線が負担にならないよう工夫が必要です。

引用:https://www.konoka-maeken.jp/archives/11602


引用:https://oliver-architect.jp/works/works2201/
ロの字型タイプ
中庭の4面が壁に囲まれており、真上から見るとカタカナの”ロ”の形に見えるのが「ロの型タイプ」の間取りです。家の中央に配置されることが多く、太陽の光が差し込むと部屋全体が明るい雰囲気になります。中庭にテラスを取り入れることで、第二のリビングとしても重宝します。
一方で、壁や窓が増えることから3つのタイプの中で最も費用がかかる間取りです。また、中庭を回り込む必要があるレイアウトのため、動線に不便さを感じやすい懸念も把握したうえで検討しましょう。

引用:https://www.arshome.co.jp/works/works-9073/

引用:https://sho-ei.net/news/detail.php?id=1429

引用:https://sfc.jp/ie/style/detail/4333
中庭のメリット
中庭を取り入れることでのメリットを5つ紹介します。
日当たりや風通しが良くなる
中庭を設けることで窓に面した部屋が多くなることから、日当たりや風通しが良くなります。通常では光が届きにくい部屋でも、建物が中庭を囲む間取りであれば、光と風が入り込みやすいでしょう。
室内が開放的で広く見える
中庭があることにより、視線が遠くに抜けて実際の床面積よりも長く見えるため、室内が広く感じます。さらに、床の色や中庭の作りに統一感を持たせると、一つの大きな空間としてより広く見えるでしょう。中庭に椅子やテーブルを置くと、開放的なセカンドリビングとしても使えます。
外の視線を気にしないプライベート空間
プライバシーが確保された開放的な屋外でゆったりと過ごせるのも、中庭ならではの魅力です。住宅街では、隣の家どうしや道路との距離が近いことに悩んでいる方も少なくありません。中庭を作ることで、外からの視線を気にしないプライベート空間が作れます。
犬や子どもの安全な遊び場になる
子どもやペットにとって、道路や歩道に面した庭は危険が伴います。しかし中庭であれば、車を気にせず安全に遊べるのも魅力。子どもやペットを見守りながら家事が出来るのも、嬉しいポイントです。
様々な用途で使える空間が手に入る
バーベキューや庭キャンプなど、家族や友達が遊びに来た際にアウトドアを楽しめます。また、ガーデニングなどの趣味を楽しむのにもぴったりの場所といえるでしょう。天気が急変した時は、すぐ室内に入れるのもメリットです。
中庭のデメリット
メリットが多くある中庭ですが、デメリットもいくつかあります。取り入れる際は、デメリットも把握した上で慎重に検討することをおすすめします。
建築コストが高くなる
一般的な戸建てよりも壁の面や窓の数が多くなるため、その分建築コストも高くなります。中庭のコストはL字型→コの字型→ロの字型の間取りの順に高くなるため、家族の用途に合った間取りを選ぶことが重要です。
定期的なメンテナンスが必要
中庭をきれいに保つためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。中でも、排水溝のメンテナンスは特に注意が必要です。雨風により排水溝の中に落ち葉や土が詰まることで、中庭の浸水や虫の発生の原因になります。専門業者に依頼する前に、日頃から定期的な掃除が必要です。
窓の増設により断熱性が低下する
家の中に光を取り込める一方、窓を増やすことにより断熱性能が低くなるというデメリットもあります。室内外の気温差が大きいことで冬は結露の原因にもなるため、断熱性の高いサッシやガラスの使用をおすすめします。
居住スペースが狭まる
家のスペースに余裕がない中で中庭を作ると、居住スペースがさらに狭まってしまいます。また、中庭を作る際は、行き来するための動線を確保しなくてはなりません。将来のライフスタイルの変化なども考慮しながら、中庭の大きさや配置を検討するようにしましょう。
間取りによっては同線が長くなる
中庭を挟んで部屋が設置されている場合、洗濯やゴミ捨てなど、中庭を迂回しなくてはなりません。動線が長くなることで、家事が億劫に感じてしまう可能性があります。中庭を取り付ける際は日々の家事もイメージしながら、生活に支障が出ないような工夫が必要です。
中庭を作るときに注意するポイント

中庭を作る際に着目したいポイントについて、紹介します。
排水経路を確保する
定期的なメンテナンスが必要な中庭ですが、使用しているうちに排水口にさまざまなゴミが溜まります。中庭の排水経路がしっかり確保されていないと、手強い詰まりの原因になってしまいます。そのため、中庭は見栄えももちろんですが、排水経路の確保など実用的なところにも気をつけましょう。
負担にならない生活動線
中庭を作ることでたくさんのメリットがある反面、生活動線が増えてしまうというデメリットもあります。特にL字型やコの字型は移動距離が長くなりがちで、取り付けてから後悔するパターンも少なくありません。そのため、家族構成や中庭の利用目的などを明確にしてから取り付けを検討することをおすすめします。
外からの見え方を確認する
中庭は、外からの視線が気にならずプライバシーを確保出来る一方、コの字型やL字型の間取りは道路などから中が見えてしまう可能性もあります。そのため、プライバシー保護に重きを置いた中庭にしたい場合は、窓の位置や大きさにも工夫が必要です。建築後に想像と違った、ということが起きないよう、設計段階での話し合いは慎重に行うことがポイントです。
中庭の特徴を理解して快適な家づくりを
今回は、中庭の種類や特徴、取り付けるにあたってのメリット・デメリットについて紹介しました。
開放的なプライベート空間を演出できる中庭は、日々の生活を豊かにしてくれる一方、建築やメンテナンスのコストがかかるなどの懸念もあります。家に中庭を取り付ける際は、家族構成や利用用途に合った間取り・種類の選定が重要です。
本記事を参考にしながら、家族に合った快適な中庭づくりを検討してみてください。