街の食通たちに朗報です。
富山市の街中に、コーヒーとルーマニア料理が楽しめる喫茶店がオープンしました。ルーマニア出身の女性が一から作る本場の家庭料理やお菓子は、これまであまり富山では味わえなかったものばかりですよ。
移転リニューアルでメニューも一新した一番町珈琲
能登半島地震で被災し、閉店を余儀なくされた『一番町珈琲』が新店舗で再出発しました。移転に伴い厨房が広くなり、メニューも一新。自家製のルーマニア料理やお菓子など、本場の味を存分に堪能できること間違いなしです。
異国情緒あふれる落ち着いた雰囲気の店内で、家族や友人との特別なひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
富山市中心部に移転し新スポットとして誕生
2024年3月末。桜の便りとともに「一番町珈琲」が移転オープンしました。
場所は市民プラザなどが建ち並ぶ大手町通り。ライトレール大手モール乗り場の目の前で、ラーメン店「末弘軒」のお隣という好立地です。
ルーマニア料理とコーヒーが楽しめる喫茶店
移転を機に、これまでの「珈琲豆の焙煎店」から「コーヒーとルーマニア料理が楽しめる喫茶店」に生まれ変わりました。
ルーマニア出身のマダリナさんが、夫の大浦さんと相談しながら、故郷の味をアレンジした料理を提供しています。
一番町珈琲で楽しめるルーマニア料理
一口ほおばると、やわらかなキャベツとジューシーなお肉が口の中いっぱいに広がる贅沢な味わいのサルマーレ定食は、一番町珈琲の人気のランチメニューです。
ルーマニアの国民食とも言われているサルマーレ。
日本のロールキャベツのようなもので、肉と米を混ぜ込み、酢漬けにしたキャベツで包み込んでいます。一番町珈琲ではルーマニア独自のスパイスを配合して、じっくりと二日間煮込んでいます。
ルーマニアスイーツもいただけます
クルトシュはルーマニア伝統の焼菓子で、バウムクーヘンのご先祖様とも言われています。ひも状に伸ばした生地を円柱状の棒に巻きつけて焼き上げます。外側はパリッとしていますが、中はモチモチとした不思議な食感で、おすすめの一品です。
パスカは、ルーマニア版チーズケーキで本来は復活祭(イースター)の時に食べる特別で縁起の良いお菓子です。
一番町珈琲のパスカは、チーズを牛乳から手作りして焼き上げたベークドタイプのチーズケーキで、食べ応えのあるケーキに仕上がっています。こちらはアイスクリームとのセットメニューです。
ルーマニアのケーキ、『プラジトゥラデシュタプタ』
生地を混ぜて焼くだけで、自然に複数層のケーキが美味しく作れることから、賢いケーキと呼ばれているそうです。
マダリナさんのお母さん、シルビアさんが幼い頃から家で作ってくれた思い出のお菓子だということで、一番町珈琲では『シルビア』という名前で提供しています。
コーヒーやチョコレート、ブルーベリー、ヨーグルトなど、生地に混ぜる材料が日によって違うということで、何味かはお店に行ってからのお楽しみです。
一番町珈琲の新メニュー
マダリナさんが作っているのは「ルーマニアピザ」
トゥルタという生地を使い、フライパンで焼き上げます。取材時は試作段階でしたが、満足な味に仕上がっていると笑みをこぼします。
オリジナルピザソースとチーズの相性がバツグンのルーマニアピザ。
モチッとしながらもサクサク感も楽しめます。こちらの記事がアップされる頃にはメニューに加わっているかもしれません。
こちらも開発中の新メニュー、ルーマニアの伝統菓子「パパナシ」。
ジャムやサワークリームをトッピングした揚げドーナツです。
ルーマニアでは各家庭でオリジナルのパパナシを作り、食感や味わいが異なるそうです。と言うことで、一番町珈琲のパパナシはマダリナさんの実家の味なんですよ。
一番町珈琲こだわりのコーヒー
コーヒーへのこだわりは、店が新しくなっても変わりません。店で取り扱う豆は「サスティナブルコーヒー」です。
サスティナブルコーヒーとは、生産過程で自然環境や労働者が働きやすい状態に保つことを目指した持続可能性に配慮したコーヒーのことです。
ミネラルを感じさせるフレッシュな酸味が特徴で、国連から唯一、違法薬物の撲滅に貢献していると認められたコーヒー豆です。
富山を代表する企業YKKがブラジルにある自社農園で栽培したコーヒー豆。酸味・苦味・甘味のバランスが取れた味に仕上がっています。
一番町珈琲では、店内の焙煎機でローストした新鮮な珈琲を提供しています。(テイクアウトも可)
延命地蔵尊の名水(石倉町)
コーヒーを淹れるのに使う水は、「万病に効く」といわれている、いたち川沿いにある石倉町の延命地蔵尊の名水です。大浦さん自ら毎朝、汲みに行っています。
酸味が控えめで、スッキリとした飲みやすい味が特徴の『一番町ブレンド』
ミルクや砂糖無しではコーヒーが飲めない人も、ブラックのままで飲めるというお客さんも多いそうです。
ルーマニアコーヒーとは
何やら不思議な作り方をしているのは、『ルーマニアコーヒー』です。トルココーヒーのルーマニア版で、イブリックという特殊な容器でコーヒーを煮出します。
ルーマニアコーヒー 650円(税込)
通常のコーヒーとは『濃さ』が圧倒的に違うルーマニアコーヒー、1度ご賞味あれ。ちなみに、このコーヒーは占いができるそうですよ。
能登半島地震を乗り越えて
もともとの『一番町珈琲』は一番町交差点角にありました。
代表の大浦英朗さんが、青春時代を過ごした富山市中心部に活気を取り戻そうと長年勤めていた証券会社を退職して、一昨年10月にオープンさせました。
しかし、1月1日の能登半島地震で建物が被害を受け、閉店を余儀なくされました。
大浦さんは「もう店は辞めてしまおうか」と思い悩んだこともありましたが、街中のたくさんの方々からの応援のおかげで再出発を決断したそうで次のように意気込みました。
ピンチをチャンスにしてやったぞ、と言えるように頑張り続けたい。
一番町珈琲 代表 大浦英朗さん
そして、創業以来、私たちが地域の皆さまにしていただいたように、自然と誰かを支えてあげられるお店に一日でも早くなりたい。
そして、大浦さんを支える妻のマダリナさんは次のように話します。
地震の被害に遭ったときは、店が一瞬で駄目になってしまったことに対する悔しさ。
一番町珈琲 マダリナさん
そして、お客様とお会いできなくなることの寂しさがありました。
新しい店では、もっとルーマニアの色々な食べ物や文化をお客様にお伝えできるように頑張りたいです。
皆さんも、ぜひ美味しいコーヒーとルーマニア料理を楽しみに足を運んでみてはいかがでしょうか。
店名 | 一番町珈琲 |
住所 | 富山市総曲輪4丁目6-8 パズル総曲輪1F |
アクセス | 富山地鉄市内環状線「大手モール」駅 徒歩2分 |
公式サイト | https://www.ichibanmachikohi.com/ |
問合せ先 | 080-6153-9073 |
営業時間 | 10:00〜18:00 (ランチは11:30〜14:00) |
定休日 | 日曜日 |
駐車場 | 1500円以上の飲食で、市民プラザ駐車場の1時間分無料チケットをお渡し |