日本全国各地で定期的に行われている防災訓練。北陸地方に位置する富山県でも、1年に1回必ず行われています。防災訓練の目的は場所を問わず同じであるものの、訓練内容は地域によって多少異なります。
本記事では、富山県の防災訓練の内容や手順はもちろん、実際に実施されている訓練の詳細について分かりやすく解説します。富山県に在住の方はもちろん、富山県への移住を検討している方はぜひ最後までお読みください。
まずははじめに、防災訓練の目的について改めて振り返ってみましょう。
防災訓練の目的をおさらいしよう
従来より定期的に行われている防災訓練ですが、継続的に参加しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。「内閣府防災情報」公式サイトによると、防災訓練を実施する目的に、「防災関係機関の災害発生時の応急対策に関する検証・確認と住民の防災意識の高揚」(一部抜粋)と記されています。
簡潔に言うと、実際に災害が起こったときにどのような対応をするか検証するとともに、住民の防災意識の向上を目的に実施しているということです。
同じく内閣府が公表している「内閣府防災情報」内にある「地区防災計画ガイドライン」にて明示されているとおり、日本の防災計画には長期的な防災計画である「防災基本計画」と、地方レベルにて各都道府県の市町村で行われる「地域防災計画」の2種類があります。
国土交通省によると、「地域防災計画」は、下記のように定義されています。
「災害対策基本法第 42 条の規定に基づき,市民の生命,財産を災害から守るための対策を実施することを目的とし,災害に係わる事務又は業務に関し,関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て,総合的かつ計画的な対策を定めた計画」
そのうえで、都道府県あるいは市町村長を会長とする地方防災会議で計画について具体的な内容などを決定していくことになります。
既知の事実ですが、日本は地震や台風など、自然災害の発生は少なくありません。万が一大きな地震や台風などが発生した際に、慌てずに落ち着いて避難できるようにすることが、防災訓練の大きな目的となります。
防災訓練の主な内容
続いて、昨年(2022年)に富山県で実際に行われた防災訓練の内容を紹介します。具体的に実施された防災訓練の内容は、大きく分けて次の3つです。
1.消防・警察等防災関係機関による救出救助訓練
富山県で2022年に実施された防災訓練のひとつが、消防・警察等防災機関による救出救助訓練です。震災や津波など実際の災害を想定し、倒壊物やがれきの下敷きになった人たちを救助できるようにするのが目的です。
その他、実際にヘリコプターなども出動させて、実際のリアルな現場を想定しての活動でした。また、災害発生から72時間が経過すると生存率が急激に下がるため、いかにすばやく、リスクを少しでも減らして救助にあたれるかがポイントです。
2.ライフライン応急復旧訓練
続いて、ライフライン応急復旧訓練です。地震や津波、台風などの自然災害によって、水道や電気、ガスなどのライフラインがすべて止まってしまったことを想定し、迅速に復旧作業ができるように復旧訓練を実施しました。
ライフラインは人々がより快適に生活するうえで欠かせないので、どれだけ迅速に復旧できるかがより多くの命を救う鍵になります。
3.初期消火訓練
防災訓練の内容の3つ目として、初期消火訓練を実施しました。初期消火訓練とは、訓練名のとおり、実際に消火器を利用して火を消す訓練のことです。実際に大きな被害が起こった際に、災害で道路が壊れたり倒壊物で道路が塞がれたりして、消防車がすぐに到達できないときがあります。
火が燃え広がる前に、迅速に初期段階で消火ができることを想定した訓練が行われました。
昨年実施された富山県の防災訓練(富山市)
富山市では2022年10月8日に、大規模地震を想定した「富山市総合防災訓練」を実施しました。
会場は「婦中スポーツプラザ」と「鵜坂小学校」の2会場で、ドローンを使った情報収集や水道管の破損を想定した応急復旧訓練、孤立者のヘリコプターでの吊り上げなど、実際の災害を想定した大規模な訓練でした。
参加者は地域住民と約40の関係機関を合わせた700名ほどで、楽しみながら防災に興味をもってもらえるようにと体験コーナーも設置されました。たとえば「はしご車乗車体験コーナー」では、多くの子どもたちが興味津々な表情で参加。いざというときの実践を念頭に置いた、有意義な取り組みでした。
訓練の様子や学びなどは、「防災スイッチON!とやま公式アカウント」Twitterアカウントからも発信しています。防災に関する情報も定期的に発信しているので、ぜひご確認ください。
防災訓練に参加できなくても大丈夫!
さまざまな防災訓練が行われましたが、防災訓練は強制参加なのか気になっている人も多いと思います。結論から言うと、防災訓練は強制参加ではなく、自由参加です。なので、予定が合わなかったり、参加したくない場合には無理に参加しなくてもOKです。
しかし、世界的に見ても日本は震災大国です。地震や台風など、1年に何度も全国各地で被害が発生しています。そのため、万が一に備えて防災訓練になるべく参加することをおすすめします。防災訓練を経験しているか、していないかによって、実際に震災が起こったときに落ち着いて対応できるかどうかが左右されます。
自分や大切な人の命を守るためにも、できる限り防災訓練には参加することをおすすめします。
自己防災訓練とは?
どうしても日程が合わず防災訓練に参加できない場合には、自己防災訓練をしてみるのもおすすめです。自己防災訓練とは、実際に震災が起こった際に身の安全の確保や出火防止、初期消火など、地震発生直後に行う行動を習得することを目的としています。
訓練内容ですが、地震発生からの経過時間によって取る行動が変わってきます。まず地震発生直後から1分くらいまでです。大きな揺れを感じた場合には、机やテーブルの下に入って身を守るようにしましょう。もし火を扱っている場合には、揺れが収まった、もしくは落ち着いたタイミングで火を消すのを忘れないでください。
続いて、揺れが完全に収まった、もしくは揺れが小さくなったらガスの元栓を締め、電気とブレーカーを落としましょう。併せて、携帯ラジオで地震の情報を収集したり、家族の安否を確認したりすると良いでしょう。揺れが収まり、避難勧告が発令されたり、家屋の倒壊の恐れがある場合には、速やかに一時避難場所へ避難します。
また、災害が起きたときに備えて、すぐに持ち出せる非常食や水、ナイフや懐中電灯などをすぐに取り出せる場所に置いておくことも大切です。
いつ起きるかわからない災害への対策の意識を
本記事では、防災訓練の目的や、2022年に実際に富山県で開催された防災訓練の概要や実施項目について紹介しました。防災訓練は強制参加ではありませんが、毎年日本各地で大小問わず被害が起きています。
万が一災害が起こったときに慌てずに正しい対応ができるように、防災訓練への参加や、災害への対策意識を忘れないことが大切です。