住宅

戸建てにディスポーザーは必要?メリット・デメリット・費用を解説

シンクの排水口に設置して簡単に生ゴミを粉砕処理できるディスポーザーについて紹介します。家事の負担が大幅に減り、環境に優しくSDGsの取組みにも繋がるディスポーザーのメリットとデメリット、取り付ける際の流れや注意点まで詳しく解説します。富山県では自治体から補助金が出る地域もあるため、取り付けを検討している方はぜひ参考にしてみてください。

ディスポーザーとは

ディスポーザーとは、シンクの排水口に設置する生ゴミ粉砕機のことを指します。排水口のすぐ下に設置されており、生ゴミが溜まることを防いでくれるキッチン周りの便利な設備です。排水口に溜まった生ゴミをそのまま放置しておくと、悪臭の元になり衛生的にもよくありません。そんなお悩みを解決してくれるのがディスポーザーなのです。戸建てやマンションの両方で設置できますが、タイプによっては向き不向きがあります。

ディスポーザーについて、あまり聞き馴染みのない方もいるかもしれません。ディスポーザーは1927年にアメリカで開発されたのが始まりと言われています。その後、1970年代に日本の大企業でも製造されたものの、当時の下水道処理施設が大都市の一部にしかなかったことから、大きな普及には至りませんでした。しかし、下水道や合併処理浄化槽の汚水処理設備が普及して以降、農水省が1997年に富山県魚津市で行ったディスポーザー社会実験の調査結果報告などにより、ディスポーザーは環境への悪影響はないことが科学的に立証されました。今後SDGs等の観点から、さらにディスポーザーが日本に発展していくことが予測されます。

ディスポーザーには大きく分けて3タイプあり、生ゴミを粉砕した後の処理方法に違いがあります。

機械処理タイプ

一つ目は粉砕した生ゴミを機械システムで処理して、処理した水を下水道に流す「機械処理タイプ」です。生ゴミは処理部の中に溜まり、ヒーターの熱で処理する乾燥処理や微生物で処理されます。機械処理タイプは、戸建てとマンションどちらも設置できます。

生物処理タイプ

二つ目は、生ゴミを粉砕した後に専用の処理槽を経由して下水に流す「生物処理タイプ」です。専用の処理槽は、屋外敷地内に処理槽を埋設する必要があることや、処理槽の設置に10万円~150万円のコストがかかることからマンションなどで設置され、戸建て住宅では設置が困難な場合が少なくありません。

単体ディスポーザー

三つ目は粉砕した生ゴミと処理水をまとめて下水道に流す「単体ディスポーザー」です。このタイプは下水処理への負担が大きく、下水管の詰まりや下水管の中で腐敗した生ゴミが詰まり悪臭の元となる懸念があります。そのため、戸建てやマンションに関係なく単体ディスポーザーの設置を認めている自治体は現状ほとんどありません。

ディスポーザーの使い方

ディスポーザーの基本的な使い方は、非常に簡単です。生ゴミを排水口の中に入れます。その後、排水口の蓋をしっかりと閉め、水を流しながらスイッチを押すと、30秒〜60秒ほどで排水口の中にある生ゴミが粉砕されて自動的に処理してくれます。製品は、専用のスイッチを押すと次々と生ゴミを粉砕する「連続投入方式タイプ」。

排水口の蓋を閉めるとスイッチが作動する仕組みの「バッチフィード(一括投入)式タイプ」の2種類があります。また、生ゴミを処理する際に必要な水の量も製品によって異なる場合があるため、使い方は説明書をよく読んで生ゴミの詰めすぎなどの故障に気をつけましょう。豚や牛などの大きな骨や、牡蠣などの硬くて大きな貝殻、アボカドの種などは処理できない場合が多いため、使う前に処理出来るものと出来ないものの確認が必要です。

ディスポーザーを設置するメリット

調理後排水口に溜まった生ゴミをすぐに処理できるため、キッチンの悪臭や衛生面が維持できて快適に過ごせます。特に夏場は、生ゴミを数時間放置するだけで悪臭が漂ってしまい、生ゴミの種類によってはキッチンの外にまでにおいが行くことも。消臭スプレーをして一時的に解消できても完全ににおいを消すことは難しいでしょう。そんな時ディスポーザーを使って生ゴミを処理することで、嫌なにおいも気にならず日々の快適な暮らしに繋がります。生ゴミが溜まるとコバエなどの虫が発生することもありますが、ディスポーザーを設置することで害虫の発生も抑制できます。また、シンクに三角コーナーを置く必要がなくなるため、シンクを使えるスペースが広くなり快適に調理や家事ができます。

ゴミ出しの際、水切りをしても重たい生ゴミを捨てるのが大変に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。生ゴミのゴミ出しの日が決められていると、捨てたい日に捨てられず不便に感じることもあります。ディスポーザーを使うとゴミ出しの日に関係なく生ゴミを処理できるためゴミ出しの負担が減り、ゴミ袋代の節約にもなるでしょう。

ディスポーザーを取り付けることにより、身近なところでSDGsへの貢献もできます。地球に優しい取り組みをすると持続可能な未来を築く手助けになり、社会に貢献していることで気持ちが良くなります。

ディスポーザーを設置するデメリット

ディスポーザーを設置することで懸念されるデメリットは、主にコスト面です。生ゴミを処理する際、毎回電気代と水道代が発生します。また、ディスポーザーは設置して終わりではありません。快適に使い続けるために、業者による定期的なメンテナンスが必要になるため、定期点検のメンテナンス費用も必ず発生します。取り付ける前に、電気代や水道代、定期点検費用などのコスト面をあらかじめ確認し、毎月どのくらいのコストが必要かチェックしておくことがおすすめです。

ディスポーザーを設置するためには、シンクの種類も限られることを把握しておく必要があります。シンクはステンレス製で、設置には規定のサイズ、形状の排水口があることが条件となっています。製品によってはシンク下の扉が観音開きであることが条件の場合もあるため、戸建てでディスポーザーの設置を検討している方は、事前の確認を忘れずに行ってください。また、シンク下に機械を設置することで食器や調理器具を置くスペースが大幅に少なくなってしまうため、シンク下以外で食器、調理器具の収納場所もきちんと確保しておくことをおすすめします。

生ゴミを破砕しているときは、個体を砕くミキサーのような振動と機械音が鳴ります。長時間ずっと鳴り続けているわけではないものの、家族が気にならないよう深夜や早朝の作動には配慮する必要があるでしょう。

ディスポーザーを設置する際の条件・後付け可能?

ディスポーザーの設置は、新築の戸建てはもちろん、住んでいる家に後付けすることも可能です。戸建てでディスポーザーを取り付ける際の条件として「機械式処理タイプ」または「生物式処理タイプ」という排水処理システムを備えている場合のみディスポーザーを取り付けられます。

「機械式処理タイプ」はシンク下に処理機を設置すれば使用できるので、後付けにも多く導入されています。「生物式処理タイプ」は敷地内に処理槽を埋設すれば使用できますが、敷地に余裕のある家も少なく、金額的にも導入のハードルは高いです。そのため後付けは難しい場合が多いでしょう。

今後戸建てを建てる方、住んでいる家に後付けしようと考えている方は、どの排水処理システムが設置できるのか確認が必要です。

戸建てにディスポーザーを設置するまでの流れ・注意点

戸建てにディスポーザーを設置する流れとして、まずは住んでいる自治体に設置等に関する届出を提出する場合がほとんどです。その際、自治体によってはディスポーザーの取り付けが不可の場合もあるため、製品を調べ始める前に自治体への確認が第一優先です。

自治体からの許可が降りたらメインの製品選びです。後付けの場合は、製品選びの前に業者による現地調査をし、キッチン設置条件の確認およびプランニングをします。

その後、ディスポーザーの導入が本格的に決まったら「維持管理点検契約」を締結します。きちんとディスポーザーが稼働するか、不具合が生じていないかを1年に1度メンテナンスをし、自治体に報告する契約です。

契約を締結したら、下水道排水設備指定工事店から下水道局へ「排水設備等計画確認申請」を行い、受理されてから取り付け工事が始まります。下水道排水設備指定工事店とは、法令で定められた技術上の基準に適合した工事店のことを指しており、排水設備の工事は自治体が認める下水道排水設備指定工事店でなければ行えません。対象の工事店は自治体の公式ホームページをご確認ください。

このように、戸建てへの取り付けを決めてから様々な手続きが必要になり、依頼から工事完了までの期間は大体2ヶ月程度が目安です。工事までのスケジュールには余裕を持っておくといいでしょう。

戸建てにディスポーザーを設置する際、事前に確認すべき注意ポイントがいくつかあります。

まずは、設置する前にシンク下のスペースの有無を確認しましょう。ディスポーザー本体は大きく場所を取るため、設置できる製品のサイズについて工事業者との打ち合わせが必要です。工事業者は、1社のみではなく複数社から見積もりをもらっておくと各社の比較ができるためおすすめです。

その他にも、自治体によってはディスポーザーの設置に補助金を出す制度もあるため、住んでいる地域が該当するかどうか自治体のホームページで確認しておきましょう。

そして、ディスポーザーの設置後は年に1〜2回の定期メンテナンスがあります。業者によって費用も異なりますがおおよそ2万円前後であることが多いため、年間で掛かる費用も把握しておきましょう。

日常的にもディスポーザーを使用した後は氷を粉砕して水で流すなど、自分でできる簡単な清掃も心がけましょう。

【富山県版】ディスポーザーを付ける際に知っておきたいこと

環境に優しく家事の負担が大幅に減るディスポーザーですが、これから戸建てを建てる方や、すでに戸建てに住んでいる方で後付けを考えている方もいるかもしれません。富山でディスポーザーを付ける際に知っておきたいポイントを紹介します。

富山市民は「富山市まちなか住宅ディスポーザー排水処理システム整備支援事業」を活用しよう

富山市では、旧建設大臣が認定または、日本下水道協会が定めた性能基準に適合する評価を受けたディスポーザーの取り付けに限り、設置するディスポーザー整備費の一部を補助してくれる支援が行われています。

補助額は一戸あたり5万円で、受け取れるのは「富山市まちなか居住推進事業」の事業計画認定を受けて整備される共同住宅や戸建てかつ対象区域に入っていることが条件となります。

また、富山市では「生ごみ処理ディスポーザー排水処理システム設置補助」という支援も行われており、補助金額は設置する住戸数に2万円を乗じた額を限度としています。

ディスポーザーの取り付けが決まったら、市から補助金を受け取れる対象かどうか確認しましょう。補助金の対象である場合は申請書の提出が必須になるため、詳しくは富山市の公式ホームページをご確認ください。

黒部市民は「黒部市下水道排水設備指定工事店」による設置工事が必要!補助金あり

黒部市では、公共下水道または農業集落排水施設の使用者もしくは排水設備設置者の方で、市税や上下水道料金等に未納がないことを条件として、ディスポーザー1台につき3万円の補助金を受け取れます。

他の自治体と同じく指定された工事店で工事をする決まりがあります。黒部市内でディスポーザーの設置をするには、必ず黒部市が指定した「下水道排水設備指定工事店」で設置工事をしましょう。

流れとして、ディスポーザーの取り付けが決まったら黒部市の公式ホームページにて「下水道排水設備指定工事店」を確認してから見積もりを依頼します。その後、施工前に工事店との間で契約を締結した後、実際の施行に入ります。慎重に行う工事になるため、複数の工事店で見積もりを出して十分に比較し、内容について詳しく説明を受けてから依頼するようにしましょう。

ディスポーザーは条件や注意点を知って設置しよう

今回は、戸建てでディスポーザー設置を検討するにあたってのメリットやデメリット、取り付けの条件などを紹介しました。ディスポーザーは電気代や水道代のコスト、維持費などが発生する一方、環境に優しく普段のシンクのお手入れが楽になるため、使い方によって家事の負担が大幅に減り快適な生活を送れることでしょう。戸建てでディスポーザーの取り付けに迷われている方は、メリットとデメリットの両面から取り付けを検討してみてください。

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
トイエバ編集部

トイエバ編集部

様々な富山の情報をお届けするトイエバ編集部です!

地域情報メディア、toiebaでは「グルメ」「住宅」「防災」「ペット」「観光」をテーマに、富山を知り尽くした地元のライターや防災に関する専門家、ただただペットを溺愛する飼い主など、多様なライターが集まるtoiebaが楽しくにぎやかに、そしてためになる情報をお伝えしていきます。

  1. 富山の米といえば!コシヒカリだけじゃない銘柄4選

  2. 富山の駅弁といえばこれ!県外の方にもおすすめしたい5選

  3. 戸建てにディスポーザーは必要?メリット・デメリット・費用を解説

RELATED ~関連記事~

PAGE TOP