犬のリードを正しく持てていないとどうなる?

犬のリードの正しい持ち方ができていないと、どのようなトラブルを招いてしまうのでしょうか。主な例を紹介します。
引っ張り癖がつく
犬のリードを正しく持てていないと、飼い主の意図とは逆に犬が主導権を握る散歩になってしまいます。結果として、犬が好き勝手な方向に進もうと引っ張り癖がつきやすくなるでしょう。
一度引っ張り癖がついてしまうと、しつけ直すのに時間がかかり、毎日の散歩がストレスになりかねません。特に大型犬の場合は、飼い主が引きずられるような危険もあります。
散歩中の脱走
リードの持ち方が緩い、手首に巻いているなど不安定な状態で持っていると、犬が突然走り出したときにリードが外れる恐れがあります。
散歩中の脱走は交通事故や迷子、他の犬や人とのトラブルに直結する非常に危険な状況です。安全のためには、リードをしっかりと手に固定し、犬が急に動いても対応できる持ち方を意識する必要があります。
興奮の助長
犬は、飼い主の動きやリードの張り具合からさまざまな情報を読み取っています。
リードが常にピンと張っていたり、急にリードを引かれたりすると、犬は「何かある」と察知して興奮することがあるでしょう。
リードがたるんでいて、適度にリラックスした状態が保てていると、犬も落ち着いて行動しやすくなります。
拾い食いする
犬のリードの長すぎたり、持ち方が甘いと、犬が地面に落ちているものに気づいたときに口にしてしまう可能性があります。
散歩中の拾い食いは誤飲・誤食のリスクが高く、場合によっては中毒や胃腸障害を引き起こす危険性もあります。
リードの長さをコントロールすることは、拾い食いの予防にもつながります。
犬のリードの正しい持ち方(両手で持つ場合)

犬のリードを両手で持つ際の、正しい持ち方を紹介します。
1.リードを右手にかける
まず、リードの先端についている輪の部分を右手の親指にかけて固定します。これはリード全体の支点となる位置です。
次に、左手でリードの中間部分を軽く握ります。握り方のイメージは「杖を持つように」することがポイントです。
両手を使った持ち方は、力を分散させやすく、犬が突然引っ張っても安定して対応しやすいところが特徴です。
2.犬を左側につかせる
犬を、飼い主の左側に寄せて並ぶように歩かせる「ヒールポジション」が基本です。この位置でおすわりをさせ、名前を呼ぶなどして飼い主に意識を向けさせましょう。
飼い主は左ひじをわきに付け、腕を直角に曲げて構えます。この姿勢にすることで、犬との位置関係を保ちやすくなり、リードを通じて安定した指示を伝えられます。
3.セーフティグリップ(結び目)を作る
犬を左側につかせたら、左腕を直角に曲げた状態でリードがピンと張る位置を確認しましょう。その位置が「セーフティグリップ」と呼ばれる基準になります。
そこに結び目を作ることで、毎回同じ長さでリードを持てるため、リードの操作が安定します。結び目のすぐ上を左手で握ることが重要なポイントです。
4.ひじを伸ばして楽な姿勢にする
セーフティグリップを握ったまま、左手を自然に下ろしてみましょう。このとき、リードが少したるむ状態が理想です。
リードが張りすぎず、たるみすぎない距離感を保つことにより、犬も安心して歩けるようになります。無理のない自然な姿勢で持つことで、長時間の散歩でも疲れにくく、安定したコントロールが可能です。
犬のリードの正しい持ち方(片手で持つ場合)

犬のリードの片手持ちは、片手があくため排泄物を処理するときにおすすめの持ち方です。犬のリードを片手で持つ際の、正しい持ち方を紹介します。
1.セーフティグリップを持った左手はそのままにする
両手で持つときと同様、リードに「セーフティグリップ(結び目)」を作り、左手でしっかりと握ります。犬の動きをコントロールする基点となるため、片手に切り替える際もこの持ち方はキープします。
片手でも安定して持てるよう、手のひらでしっかり固定することがポイントです。
2.リードの先端を、左手の親指にかけ替える
右手にかかっていたリードの輪(持ち手部分)を、左手の親指に引っかけるように移動させます。リードの先端とセーフティグリップの両方を左手のみで保持でき、右手を自由に使える状態になります。
排泄物の処理や荷物を持つときなど、短時間だけ片手でリードを持ちたいときに適した持ち方です。
犬のリードの間違った持ち方・扱い方

犬のリードの持ち方について、ありがちな間違いを紹介します。リードの持ち方に不安がある方は、当てはまっていないかチェックしてみてください。
リードを手首に巻く
多くの飼い主が無意識にやってしまいがちなのが、リードを手首に巻きつける持ち方です。
一見安定しているように思えますが、犬が急に強く引っ張ったときに、リードが解けず転倒したり、腕を痛めたりする危険性があります。咄嗟のときに手放せないため非常に危険です。
伸縮リードを伸ばしっぱなしで使う
伸縮リードは便利な反面、伸ばしっぱなしで使用すると、犬との距離が開きすぎて飼い主のコントロールがきかなくなります。
拾い食いや他の犬とのトラブル、道路への飛び出しなど、多くのリスクをともないます。伸縮リードは人や犬がいない広い場所でだけ使い、通常の散歩では短く持ち、しっかりコントロールすることが大切です。
リードを近くの木や物にくくりつける
買い物中など一時的に犬を待たせるために、リードを木やフェンスにくくりつけることは危険な行為です。
犬が驚いて暴れてしまい、通行人や他の動物とトラブルになった場合、身動きが取れず事故やケガにつながる恐れがあります。また、犬が連れ去られるリスクもゼロではありません。
目を離す際には、できる限り犬を連れて移動する、または信頼できる人に預けるようにしましょう。
犬のリードを持つ際・扱う際に気をつけるポイント

犬のリードを持つ際、扱う際に気をつけたいポイントについて紹介します。
リードは張らずにコントロールする
リードは犬の動きを無理に制御するためのものではなく、犬との適切な距離を保ちつつ安全に散歩するための道具です。
理想的なのは、リードがアルファベットの「J」や、ひらがなの「し」のように、少しだけたるんでいる状態です。これにより犬は安心感を得られ、過度な興奮や攻撃的な姿勢を防げます。
反対に、常にリードがピンと張っていると犬にストレスがかかり、引っ張り癖や吠えの原因にもなります。リードは張らず、ゆるめすぎず、適度なたるみを保つことが重要です。
道路を渡る時はリードを短く持つ
横断歩道や車の通る道路を渡る際は、犬の安全確保を最優先にリードを短く持ちましょう。このときもピンと張らず、犬が飼い主のすぐ横を歩ける程度に調整します。
伸縮リードを使用している場合は、必ずロックして犬が自由に動きすぎないようにすることがポイントです。歩行者や自転車、車との接触事故を防ぐためにも、交通量の多い場面では特に注意しましょう。
お散歩前は首輪・ハーネスの状態をチェックする
散歩に出る前には、必ず首輪やハーネスが適切に装着されているか確認しましょう。
サイズが合っていなかったり、装着がゆるかったりすると、犬が抜け出してしまう危険があります。特に興奮したときや後退したときなどに外れてしまうと、交通事故や迷子につながる恐れがあります。
また、劣化しているリードや金具の破損も事故の原因になり得ます。リードは、定期的な点検と必要に応じた買い替えも大切です。
犬のリードは正しい持ち方で安全な散歩を
犬の散歩は、信頼関係を深める大切な時間です。しかし、リードの持ち方や扱い方を間違えると、思わぬ事故やトラブルを招くこともあります。
リードの正しい持ち方を身につけることで、犬に安心感を与え、より安全で快適な散歩時間を過ごせます。日々の習慣を見直し、愛犬とのお散歩をもっと楽しく安全なものにしましょう。