雪の大谷とは、立山黒部アルペンルートの春の風物詩として親しまれている名物イベントです。本記事では、雪の大谷とは何か、行き方と開催時期、持ち物、服装のポイント、見どころについて詳しく紹介しています。富山在住の方や、富山旅行を計画している方、雪の大谷に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
雪の大谷とは?

標高3,000m級の峰々が連なる北アルプスを貫く、富山県と長野県を結ぶ世界有数の山岳観光ルートである「立山黒部アルペンルート」。雪の大谷とは、立山黒部アルペンルートで毎年春の時期に開催されている一大イベントです。日本国内からはもちろん、海外からも多くの観光客が訪れる人気観光スポットとして注目を集めています。

立山黒部アルペンルートの中で、最高地点が標高2,450mと最も標高が高いと言われている「室堂平(むろどうだいら)」は、世界有数の豪雪地帯です。その中でも室堂付近にある「大谷」は、吹きだまりになっていることもあり特に積雪が多く、雪の深さは20mを超えることもあります。この「大谷」を通行するために、除雪してできた雪の壁が「雪の大谷」です。
雪の大壁はどうやってできる?

毎年、立山黒部アルペンルートの営業は11月末までで、休業中は辺り一面が雪におおわれて白銀の世界になります。そして、4月中旬の営業に向けて、例年1月から道を作る除雪作業が始まります。
雪の大谷は、雪を高く積み上げて作ると思う方もいるのではないでしょうか。実際は、「積もった雪を掘って作られた雪壁」なのです!

雪の大谷を作るには、目印に立てた6~9mの丸太ポールと、GPSを使って道の位置を探ることから始まります。
まず、GPS機能装着のブルドーザーで道路中央に道筋をつける「パイロット除雪」をします。道筋をつけた後は、大型ブルドーザーを2台並走させて、雪面をカンナで剥ぎ取るように掘り下げていきます。

雪の大谷区間以外の箇所では、ロータリー除雪車を使って除雪をしますが、雪の大谷では壁が高すぎて雪を吹き上げられないため、路面までブルドーザーで行います。そのため、完成した雪壁は自然に積もった雪の高さなので、毎年高さが変わるのも見どころです。
20m近い垂直な雪壁を作るには、2台の息を合わせることや高度な技術が必要なことから、雪の大谷の除雪は選ばれた人のみが行うことができる作業となっています。
アルペンルート開通後も一晩で1〜2m雪が降り積もることもあるため、除雪作業は欠かさず続けられます。毎年時間をかけて丁寧に雪の壁を切り拓いていくことで、富山が世界に誇る雪の大谷が完成するのです。
雪の大谷への行き方・開催時期

立山黒部アルペンルートではバスツアーが人気ですが、個人で乗り物チケットを購入して向かう行き方もあります。雪の大谷がある「室堂駅」まで、富山県側からの行き方、長野県側からの行き方に分けて紹介します。
【富山県側からの行き方】
電鉄富山駅から、富山地方鉄道、立山ケーブルカー、立山高原バスを乗り継いで向かう行き方で、約2時間(乗り継ぎ時間は含めず)で室堂駅に到着します。車で行く方は、立山駅に約900台の無料駐車場があります。
【長野県側からの行き方】
長野駅から、特急バス、路線バス、関電トンネル電気バス、徒歩、黒部ケーブルカー、立山ロープウェイ、立山トンネル電気バス(2025年4月15日(火)から運行開始予定)を乗り継いで向かう行き方で、約2時間40分(乗り継ぎ時間は含めず)で室堂駅に到着します。車で行く方は、扇沢駅に580台の駐車場(無料230台、有料350台)があります。
雪の大谷は、2025年4月15日(火)〜例年6月中旬頃まで楽しむことができます。現地周辺は混雑が予想されることから、慌てずスムーズ向かえるよう事前に行き方を把握してから向かいましょう。
持ち物・服装のポイント

立山黒部アルペンルートでは毎年、雪の大谷の時期に合わせてイベントが開催されています。今年は2025年4月15日(火)から「2025立山黒部・ハルタビ」が開催予定です。
(2025・ハルタビ特設サイト https://www.alpen-route.com/enjoy_navi/snow_otani/)
イベントが開催される4〜6月の時期、室堂平周辺は雪に覆われています。開催中の2ヶ月間ほどで気温や雪の量も変化しますが、基本的に雪上を歩くのには変わりありません。そのため、靴は滑りづらいよう裏側がギザギザしている、防水加工が施されたトレッキングシューズや長靴の着用がおすすめです。靴の中に雪が入らないようハイカットのものを履くと、より快適に楽しめることでしょう。
開催時期の気温はマイナス5度〜10度ほどと低いため、真冬並みの防寒着に帽子を被ると暖かく過ごせます。しかし歩くと暑くなるため、時期に関係なくジッパーなどがついた着脱しやすい上着が1枚あると重宝します。また、雪上は整備されているものの、滑る可能性もあります。転んだ際に素早く手をつけられるよう、カバンはリュックやショルダーバッグを選んで常に両手はあけておくと安心です。そのほか、手袋やネックウォーマー、マフラーがあると体温調節が出来て便利です。
さらに、春時期は紫外線が強いうえに雪面は赤外線の約80パーセントを反射し、通常の2倍ほどの照り返しを受けるといわれています。そのため、サングラスや日焼け止めを持っていくことをおすすめします。
雪の大谷の見どころ

「2025立山黒部・ハルタビ」では、室堂駅周辺と大観峰駅周辺で、さまざまな体験ができます。ハルタビをさらに楽しむために、雪の大谷がある室堂駅周辺で開催されているイベントについて紹介します。雪の大谷の見どころをおさえて、春時期の立山黒部アルペンルートを存分に満喫しましょう。
雪の大谷ウォーク

歩行者用通路「ウォーキングゾーン」として開放されている、雪の大谷を通る道の片側約500mを歩くイベントです。室堂ターミナルから出発して、雪壁の最高地点まで行くことができます。
最高地点では、看板が設置されているためフォトスポットにもおすすめ。間近で見る雪の大谷は迫力満点です。
開催期間 | 2025年4月15日(火)〜6月25日(水) |
時間 | 9:30~15:00 ※状況により時間変更あり |
場所 | 大谷 (無料エリア) |
立山ユキテラス

メイン会場の室堂ターミナルすぐそばで、富山が誇る立山連峰や富山平野をゆったりと一望できるエリアになっています。2023年から始まりましたが、開催期間が短く希少な体験ということもあり人気です。
高台の上から、雪に染められた白くて幻想的な景色が眺められます。設置されたリラックスチェアで、立山ユキテラスならではの絶景をくつろぎながら満喫できます。
開催期間 | 2025年4月26日(土)〜5月6日(火) |
時間 | 10:00〜15:00 ※最終入場14:30 |
場所 | 立山ユキテラス (有料エリア) |
雪のカレンダー

ウォーキングゾーンの途中にある「雪のカレンダー」。巨大な雪の壁の知られざる秘密や、雪の壁の断面から調べた降雪量の統計結果など、楽しい豆知識が多く展示されています。
雪の大谷を知ることで、歴史ある雪の大谷の壮大さをより感じることでしょう。
開催期間 | 2025年4月15日(火)〜5月6日(火) |
時間 | 9:30~15:00 |
場所 | ウォーキングゾーン (無料エリア) |
雪の回廊

室堂ターミナルの屋上から立山自然保護センターを結んでできた通路を除雪して出来た道は、「小さい雪の大谷」として注目を集めています。
本物よりは小さいものの、4月の時期で雪壁の高さは8mを超えるため、大迫力の雪壁を体感できます。
開催期間 | 2025年4月15日(火)〜6月25日(水) |
時間 | 終日 |
場所 | 室堂園地 (無料エリア) |
春は壮大な雪の大谷を満喫しよう
今回は、立山黒部アルペンルートの春に楽しめる雪の大谷について、雪の大壁の仕組みや行き方、開催時期、持ち物と服装、見どころについて詳しく紹介しました。
春時期だけ楽しめる迫力満点の雪の大谷は、一度は見る価値のある絶景です。また、立山黒部アルペンルートでは、雪の大谷以外にも楽しめるスポットがたくさんあります。ケーブルカーやロープウェイなど、乗り物の中からも絶景を満喫できるため、移動中も時期ごとに異なる富山の四季を楽しめることでしょう。
雪の大谷には、訪れた人にしか体感出来ない感動を味わえること間違いなしです。事前に行き方をチェックして、4月から6月の時期はぜひ雪の大谷の絶景を堪能してみてください。
住所 | 富山県中新川郡立山町芦峅寺ブナ坂外11国有林 |
アクセス | 【電車】 富山県側:電鉄富山駅より約1時間 長野県側:信濃大町駅より約40分 【車】 富山県側:「立山IC」より約35分、「富山IC」より約40分 長野県側:「安曇野IC」より約60分 |
公式サイト | https://www.alpen-route.com/index.php |
公式Instagram | https://www.instagram.com/tateyamakurobe_official/ |
営業日程 | 立山黒部アルペンルート2025年4月15日(火)〜11月30日(日) ※イベントの日時はそれぞれ異なります ハルタビ詳細|https://www.alpen-route.com/_wp/information/108229 |
問合せ先 | 076-481-1500(立山黒部総合案内センター) |
駐車場 | 立山駅駐車場:約900台(無料) 扇沢駐車場:580台(無料230台、有料350台) |