穴の谷(あなんたん)の霊水とは?

富山県上市町、北アルプス剱岳のふもとに位置する「穴の谷の霊水」は、環境省の名水百選にも選ばれた、神秘的な湧水です。穴の谷の霊水は、土地の人々から「あなんたん」と呼ばれている黒川地区の丘陵地で汲めます。穴の谷の霊水の歴史は深く、穴の谷の霊場には全国から多くの人が訪れています。
「穴の谷の霊場」の参道を進むと現れる108段の石段を下った先には、静かな谷間にたたずむ薬師観音堂があります。このお堂には病を癒すとされる薬師如来が祀られており、そのすぐそばの洞窟から、絶えることなく穴の谷の霊水が湧き出ています。
穴の谷の霊水は、標高3,000m級の剱岳に降り注いだ雨や雪が、長い年月をかけて火山性鉱物を含む地層で自然にろ過されたものです。穴の谷の霊水の清らかさや効能に興味を持つ方も多く、日々多くの参拝者や水汲み客でにぎわっています。
穴の谷の霊水の歴史

かつて、穴の谷の洞窟には白蛇がいると信じられていました。そのため人々はその神秘的な雰囲気に恐れを抱いて、近づくことはありませんでした。
しかし、江戸時代、美濃国(現在の岐阜県)からやって来た白心法師という僧がこの地で修行したことで、穴の谷は霊場として知られるようになります。
それ以降、修行僧や信仰の厚い人々が、全国各地から穴の谷の霊場を訪れるようになりました。 病気で寝たきりであった女性が穴の谷の霊水を飲んだところ、歩けるようになったという言い伝えもあります。
このことから、穴の谷の霊水は「難病に効く水」として、今も県内外から多くの人々が足を運ぶ人気スポットとして知られています。
穴の谷の霊水の水源・水質

穴の谷の霊水は、口に含んだ瞬間にやさしく広がるまろやかさが特徴です。硬度はわずか5.1と非常に低く、富山県内の名水の中でも特に軟らかい水とされています。人によってはほんのりと甘さを感じるほど、飲みやすさは抜群です。
不純物がほとんど含まれておらず、蒸留水に近いほどのピュアさを感じられるため、腐りにくいところも魅力です。品質の高さから、化粧品や日本酒、醤油などの製造にも使われています。また、カルシウムが1.3mg、マグネシウムが0.5mg、ナトリウムが4.5mgと、豊富な栄養源を含んでいるところも嬉しいポイントです。口当たりが優しくなめらかな味わいは、そのまま飲むのはもちろん、お茶やコーヒー、日本料理全般との相性も抜群です。
穴の谷の霊水は、火山性鉱物を含む堆積岩の地層を長い時間かけて通ってきた湧水です。そのため、適度にミネラルが溶け込んでいるところも、おいしさの理由の一つといえるでしょう。自然が磨いた清らかな水を、ぜひ現地で味わってみてください。
採水場所までの行き方

穴の谷の霊水を汲める採水場は、最寄りの駐車場から約500m先まで歩いた場所にあります。車の通行はできないものの、全国から訪れる人が後を経たない人気ぶりです。
採水場までの道のりは、まず谷の傾斜に沿って続く木立の中を歩きます。参道を進むと、両側に地蔵が並ぶ108段の石段があり、その階段を下った先に、薬師観音堂と採水場に到着です。たくさんの仏像にかこまれた水汲み場は、龍の口から水が出ています。穴の谷霊場に訪れた人は、水汲みとともにお祈りしてから帰ります。
敷地内には水処理装置を設置しているほか、大量の霊水を持ち帰りたい方のために、有料コンベアも用意されています。
富山に訪れたら一度は飲みたい名水「穴の谷の霊水」
今回は、富山が誇る穴の谷の霊水について紹介しました。
「病を癒す水」として人々の信仰を集めてきた穴の谷の霊水は、ただの湧き水ではありません。まろやかで清らかな味わいが特徴で、歴史ある霊場の空気を感じながら味わう一杯は、心まで澄み渡るような特別なひとときを与えてくれるでしょう。
富山を訪れた際は、ぜひ穴の谷の霊水を飲んでみてはいかがでしょうか。
住所 | 富山県中新川郡上市町黒川84 |
アクセス | 【車】 ・北陸自動車道「上市スマートIC」より7km、13分 ・富山地方鉄道「上市駅」より8km、14分 |
公式サイト | https://anantan.jp/ |
公式Instagram | なし |
営業時間 | 8:00~17:00(年中無休) ※冬期(12月1日~2月28日)は8:00~16:00 |
問合せ先 | 穴の谷弘真会(穴の谷の霊場について):076-472-4711 穴の谷管理組合(駐車場・台車について):076-473-0754 |
駐車場 | あり(有料) |