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アニマルセラピーによる効果とは?療法や注意点について解説

アニマルセラピーとは、人が動物とのふれあいによって、心身の癒しや向上心を得る活動のことです。
本記事では、アニマルセラピーの種類や期待できる効果、取り入れる場合の注意点について、詳しく紹介します。アニマルセラピーに興味がある方、動物好きな方はぜひ参考にしてみてください。

アニマルセラピーとは?

心身の援助が必要なときに、より効果を発揮するために、動物を意図的に介入させて取り組む援助活動のことを「動物介在介入(Animal Assisted Intervention)」といいます。動物介在介入は「動物介在療法」「動物介在活動」「動物介在教育」の総称です。日本では、「アニマルセラピー」という造語で、さまざまな施設や学校などに普及しています。

アニマルセラピーが始まったのは、紀元前400年といわれています。古代ローマ時代に負傷した兵士のリハビリとして、馬を用いたアニマルセラピーが行われていました。ほかにも、18〜19世紀のヨーロッパでは、精神疾患の治療の一環として、動物を用いたセラピー法が行われていたという記録も残っています。このことから、アニマルセラピーは古くから行われてきた歴史深い活動といえます。

アニマルセラピーの種類

アニマルセラピーには3つの種類があり、医療、福祉、教育の分野で取り入れられています。

・動物介在活動(AAA:Animal Assisted Activiy動物とのふれあい活動)

高齢者施設や障がい者施設などで実施している、動物とのふれあいをメインにした活動のことをいいます。施設でのイベントやレクリエーションを通して、利用者の精神面の安定や生活の質向上を図ることが目的です。日本のアニマルセラピーは、動物介在活動を意味することが一般的です。

・動物介在療法(AAT:Animal Assisted Therapy病気の治療をサポート)

治療の補助療法として、医療現場で実施されているアニマルセラピーです。医師や心理療法士、作業療法士など、治療の効果判定ができる医療従事者主導のもとで行われます。治療の目的を設定した上で動物の力を借りて、精神の安定や闘病意欲の向上、リハビリテーション促進を図るものです。欧米では、一般的にアニマルセラピーといえば動物介在療法を意味します。

・動物介在教育(AAE:Animal Assisted Educationいのちある教育のツール)

主に幼児施設や小学校など、教育現場にて実施されるアニマルセラピーのことをいいます。動物とのふれあいを通して、命の大切さや思いやりの心、人格的な成長などを子どもたちが学ぶことを目的としている活動です。動物とふれあうことにより、子ども達は楽しみながら座学では学べない経験ができます。

アニマルセラピーで期待できる効果

アニマルセラピーにはどのような効果が期待できるのか、代表的なものを紹介します。

心理的効果

動物とのふれあいは、癒しや楽しさなど、ポジティブな感情をもたらしてくれます。日常生活の中で続けることにより、抑うつ症状の改善や、認知症の高齢者の情緒安定にもつながるといわれています。動物のぬくもりは「動物とふれあいたいからリハビリを頑張ろう」という、前向きな意欲を沸き立ててくれる効果も期待できます。

身体的な健康の促進

アニマルセラピーは、身体的な健康も期待できるといわれています。日常的に体を動かさない人でも、ペットの散歩やリハビリテーションへの意欲がわくため、自発的な運動につながります。ペットの散歩はウォーキングにもなり、座った状態で撫でるだけでも腕の運動になることから、日々の運動不足解消にもなるでしょう。

動物の散歩やお世話は、規則正しい生活を送りやすくなるというメリットもあります。そのため、食欲不振や不眠で困っている方などに対しても、症状を改善する効果が期待できるといわれています。

積極的な意欲向上

日々生活していると、日常の楽しさや活力を感じなくなり、何に対しても無気力になってしまう方も少なくありません。アニマルセラピーにより、動物とふれあいたい気持ちや、動物のお世話をしてあげたい、という意欲を高める効果も期待できるといわれています。

動物がしっぽを振って嬉しそうにすることで「自分が動物を喜ばせられた」「またお世話したい」という達成感や充実感につながることもあります。

コミュニケーションの促進

アニマルセラピーは、他者とのコミュニケーションを促進する効果もあるといわれています。動物とふれあうことで、可愛い、やわらかい、あたたかいなどさまざまな感想を持ちます。動物という共通の話題が、周りの人とコミュニケーションをとるきっかけになるかもしれません。

普段人と話すことが苦手な方でも、動物とふれあうことによりリラックス効果がはたらき、効果を得られやすくなるといわれています。

アニマルセラピーの注意点

アニマルセラピーをする際は、いくつかの注意点があります。特に気をつけたいポイントについて紹介します。

動物アレルギーや動物嫌いがないか

アニマルセラピーを受ける人が、動物アレルギーを持っていないか、免疫力が低下していないか、事前に確認しておくことが大事です。本人が希望していても、健康状態の悪化が懸念される場合は、慎重に判断する必要があります。

訪問する動物の衛生面などには十分配慮していますが、感染症などのリスクがゼロとは言い切れません。アニマルセラピーの活動終了後は、抜け毛の掃除や使った部屋の消毒、清掃などを念入りにすることがポイントです。

動物へのトラウマにより精神不安定になる懸念がないか

過去に動物に噛まれてケガをした経験があるなど、動物にトラウマを持っている方への対応にも注意が必要です。強いトラウマを抱えている方は、動物の姿を見るだけでも気分が悪くなり、呼吸のしづらさや気持ち悪さなど精神面の不調を感じる恐れがあります。

また、自身ではトラウマを克服したと感じていても、実際にふれあうと恐怖心が高まる可能性も考えられるため、十分な注意が必要です。

動物に危害を加える可能性の有無

アニマルセラピーを受ける方によっては、動物に対して暴力や大声をあげるなどの危害を加える方がいる可能性もあります。もしも暴力などの行為が見られた場合は、動物の安全を守るためにも、アニマルセラピーの対象者からは外れることになります。

普段のアニマルセラピーで楽しくふれあっている方でも、その日の気分や体調などにより、動物を乱暴に扱う場合も考えられます。少しでも危険を感じた場合は、暴力などの危害を加える前に対応することが必要です。

富山でアニマルセラピーを取り入れている施設

富山では、実際にアニマルセラピーを取り入れている施設があります。今回は、その中から3つの施設を紹介します。

ペット共生型 グループホーム わおん富山

引用:https://sutekitoyama.com/

「わおん富山」は、ペット共生型の障がい者グループホームです。動物を飼うのではなく「共に生きる」という考えを大切にしながら、障がいのある方が自立して豊かな毎日を過ごせるようアニマルセラピーを取り入れています。

施設で暮らしているのは、すべて元保護犬・保護猫です。利用者の共用スペースであるリビングで生活しているため、いつでもふれあえるのが特徴です。また、犬とのお散歩は利用者が自発的に外出するきっかけにもなります。一緒に外出することで心身の健康につながり、利用者の自立に向けた行動や日常生活を送るうえでの活力を育みます。

住所わおん 富山:富山県富山市上袋589 プレジデントステイツ上袋 C302
わおん 富山 woman:富山県富山市上袋589 プレジデントステイツ上袋 A302
わおん 富山 2:富山県富山市上袋589 プレジデントステイツ上袋 D301
わおん 富山 woman 2:富山県富山市上袋589 プレジデントステイツ上袋 D202
わおん 富山 3:富山県富山市上袋589 プレジデントステイツ上袋 A401
わおん 富山 woman 3:富山県富山市上袋589 プレジデントステイツ上袋 A201
公式サイトhttps://sutekitoyama.com/
問合せ先076-461-5131

社会福祉法人 渓明会

引用:https://www.keimeikai.jp/news/2810/

「社会福祉法人 渓明会」は、砺波市、小矢部市、南砺市に施設を設けている法人です。各事業所では、障がい者支援施設や多機能型事業所、放課後等デイサービスなどの支援をしています。

各事業所では、不定期のイベントとしてドッグセラピーが開催されています。イベントでは希望制で犬の抱っこやお散歩などができ、犬とふれあった利用者は自然と笑顔になる様子がうかがえます。イベントとして開催することによって、日々の生活に楽しみが増えるのもドッグセラピーの魅力です。

住所富山県小矢部市石動町18-11(法人本部)
公式サイトhttps://www.keimeikai.jp/
公式Instagramhttps://www.instagram.com/keimeikai/
問合せ先0766-50-8130

社会福祉法人周山会 グループホーム粋交舎(すいこうしゃ)滑川

引用:https://www.nagomien.or.jp/facility/kanren/suikousya

「グループホーム粋交舎滑川」は、「入居者いきいき!職員楽しく!家族安心!地域温かく」をモットーに掲げているグループホームです。認知症の方々が家事を分担しながら、共同生活を送っています。

施設内では、アニマルセラピーとして猫を一匹飼っています。利用者の癒しのもとになっているのはもちろん、猫のお世話を通してできることを率先して取り組むことで、認知症の進行を遅らせるのにも有効です。

住所富山県滑川市野町1686番地
公式サイトhttps://www.nagomien.or.jp/facility/kanren/suikousya
問合せ先なごみ苑:076-475-888

様々な効果が期待できるアニマルセラピー

今回は、アニマルセラピーの効果や注意点、富山でアニマルセラピーを取り入れている施設について紹介しました。

アニマルセラピーは、精神面の安定だけでなく積極性の促しやコミュニケーションの促進など、さまざまな効果が期待できるといわれています。一方で、関わり方には注意点もあるため、適切な方法で取り入れることが重要です。

アニマルセラピーは様々な効果が期待できることから、今後さらに広まっていく可能性があります。アニマルセラピーに興味がある方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

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トイエバ編集部

トイエバ編集部

様々な富山の情報をお届けするトイエバ編集部です!

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