「富山」と「昆布」の関係は?

富山県は、全国的に見ても昆布との結びつきが非常に強い地域です。
総務省統計局の「令和6年家計調査報告(家計収支編)」によると、富山での「こんぶ」支出金額は、3年連続で全国第1位を記録しています。これまでに通算63回も1位を獲得していることからも、昆布は富山の人々にとってなくてはならない存在であることがわかります。
(参考:富山県「令和6年平均富山市の家計調査の結果(家計収支編)」概要)
昆布は、カルシウム、カリウム、ナトリウム、ヨウ素といったミネラルや水溶性食物繊維を豊富に含むほか、低カロリー・低脂肪の優れた食品として知られています。さらに、昆布に含まれるグルタミン酸はうま味成分として知られ、今では “UMAMI” は世界に通用する言葉になっています。
健康にも良く、味わい深い昆布を積極的に取り入れてきたことが、富山の食文化を特徴づけているといえるでしょう。
富山に昆布文化が根付いた背景

富山と深い関わりを持ち、健康食材として親しまれている昆布ですが、なぜここまで富山に昆布文化が根付いたのでしょうか。主な理由を2つ紹介します。
江戸時代〜明治時代の北前船による影響
富山に昆布文化が広まる大きなきっかけの一つとして、江戸時代から明治にかけて、日本海を中心に活躍した「北前船」があります。
北前船は北海道と大阪を結び、寄港地ごとに米や酒、醤油、薬といった産物を積み替えながら、各地に豊かな物資を運んでいました。富山の東岩瀬や伏木も重要な寄港地のひとつであり、北海道から運ばれた昆布やにしん、さけなどの海産物がここに届けられました。
このような地域の交流によって、昆布が富山の食卓に根付き、食文化の一部となっていきました。
明治時代、富山から北海道への移住者が増えたため
明治以降に急増した北海道への移住も、富山に昆布文化が根付いた大きな理由の一つです。
明治以降、富山県から開拓を求めて全国各地に移住する人や出稼ぎに行く人が増えました。なかでも北海道へ渡る人が多く、昆布漁をはじめとする漁業に従事する人々が数多く見られました。
特に昆布の産地として知られる羅臼町では、住民の7〜8割が富山県出身者だったといわれています。富山県出身の移住者は、獲れた昆布を家族や親戚に送り、交流のなかで昆布を味わう習慣が広がりました。
このように、移住者が持ち帰った文化が富山県民の生活に浸透し、昆布を日常的に食べる風習を強く定着させたといわれています。
昆布を使ったおすすめ料理
富山の食文化を語るうえで欠かせないのが「昆布料理」です。北前船や北海道への移住を通じて根付いた昆布文化は、富山ならではの独自の食べ方を生み出しています。富山県民に長く親しまれている、代表的な昆布料理を紹介します。
昆布締め

昆布締めは、富山を代表する郷土料理の一つです。新鮮な魚介類や山菜を昆布で挟み、軽く重石をして寝かせることで、昆布の旨みが食材に染み込みます。
もともとはお刺身を遠方に送るために考案された保存食で、富山が発祥地といわれています。春には山菜を昆布で締めて旬を楽しむ食べ方もあり、富山名物の白えびをおぼろ昆布で包んだ昆布締めも絶品です。
昆布巻き

昆布巻きはニシンをはじめ、富山湾で獲れるいわしやたらこなどの魚介を昆布で巻き、醤油味でじっくり煮込んだ料理です。昔から、富山では家庭の味として親しまれてきました。
昆布巻きは、昆布の旨みが具材によく染み渡り、魚の味わいと絶妙に調和しています。お正月や特別な日の料理としてはもちろん、日常のおかずとしても食卓に登場する、富山では定番の郷土料理です。
昆布巻きかまぼこ

昆布巻きかまぼこは、北前船による北海道との交流から誕生した、富山ならではの加工品です。昆布の風味と蒲鉾のふんわりとした食感が絶妙に調和し、お祝い事や贈答品としても人気があります。
富山のかまぼこは全国的に珍しく「板」がないのが大きな特徴です。すり身を板状に伸ばし、だし巻き卵のように巻いて蒸しあげる独特の製法で作られています。
昆布巻きかまぼこは、見た目にも華やかで食卓を彩る存在として親しまれています。
昆布おにぎり

富山県民のソウルフードともいえるのが、とろろ昆布を使った「昆布おにぎり」です。とろろ昆布は、酢漬けにした昆布を重ねて固め、その表面を削って作られます。
外側は酸味の強い黒とろろ、内側はまろやかな白とろろと、削る部位によって風味が変化するところも特徴です。特に富山独特の黒とろろのほどよい酸味は、ふっくら炊いた白米と相性抜群です。
また、とろろ昆布は、おでんや味噌汁に入れることもあります。
富山で絶品昆布を購入できる名店3つ
昆布文化が根付いた富山には、質の高い昆布を取り扱う専門店や老舗が数多くあります。昆布専門店は、北前船の時代から受け継がれた昆布の味を、変わらず味わえる名店ばかりです。
富山で絶品の昆布を味わえる、おすすめの3店舗を紹介します。
1.四十物昆布(あいものこんぶ)

北前船の時代から北海道との交流が深かった歴史を背景に、現代の「北前船」として昆布を届けているのが「四十物昆布」です。
店名の「四十物(あいもの)」は、鮮魚と干物の中間に位置する保存食を指す古い言葉に由来し、長い食文化の伝統を感じさせます。
お店では、羅臼昆布を粗挽きにして練り込んだ香り豊かな「羅臼昆布うどん」や、羅臼昆布を無添加で焼き上げた「焼きラウス昆布」など、ここでしか出会えない逸品が並びます。
| 住所 | 富山県黒部市生地中区339-5 |
| 公式サイト | https://www.aimono.com/ |
| 公式Instagram | https://www.instagram.com/aimono_konbu/ |
2.坪川の昆布

「料理ごとに最適な昆布を届けたい」という思いで、豊富な品揃えを誇るのが「坪川のこんぶ」です。
定番の羅臼昆布やだし昆布はもちろん、煮物用・昆布巻き用・昆布締め用といった調理シーンに合わせた昆布が揃っているところが特徴です。
どれを選ぶか迷った方には人気商品の金印おやつ昆布・とろろ巻昆布・上黒とろろがセットになった「お試しセット」もおすすめです。送料無料で販売しているため、手軽に味比べをしてみたい方はぜひチェックしてみてください。
黒とろろや塩こんぶ、ふりかけなど、旅行のお土産にぴったりの商品も充実しています。家庭料理から贈り物まで幅広く活用できる昆布を探しに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
| 住所 | 富山県滑川市上小泉2094 |
| 公式サイト | https://tsubokawa.co.jp/ |
3.昆布専門問屋 源蔵屋

65年以上にわたり、昆布の魅力を届け続けてきた老舗です。確かな目利きで仕入れた昆布はどれも上質で、観光客から地元の方まで多くの人から親しまれています。
定番昆布はもちろん、貝殻島でわずかな期間だけ漁ができる希少な「早煮昆布」もおすすめです。やわらかな食感と火の通りやすさで、料理初心者からプロまで幅広く支持されています。
そのほか、おしゃれなパッケージの「ゆらちゃんのおやつシリーズ」は、とろろに昆布を巻いた「とろろ巻」やカツオ風味の「磯ふくみ」などのおつまみから、柚子の香りが広がる「味きらり」、昆布とチョコの組み合わせがクセになる「ちょこまる」といった変わり種まで、種類豊富な商品がそろっています。
また、用途ごとに少量パックされた昆布や、さまざまな種類を詰め合わせたギフトセットはお土産にも最適です。旅の思い出とともに、富山ならではの昆布の味を自宅で楽しめます。
| 住所 | 富山県高岡市問屋町90 |
| 公式サイト | https://genzoya.com/ |
| 公式Instagram | https://www.instagram.com/genzoya/ |
おいしくて栄養豊富な富山の昆布
富山は、北前船の歴史や北海道への移住を背景に、昆布文化が強く根付いた地域です。
昆布は、うま味成分のグルタミン酸をはじめ、カルシウムやカリウム、ヨウ素などのミネラルが豊富で、低カロリー・低脂肪の健康食材としても注目されています。富山では郷土料理の昆布締めや昆布巻きなど、日常の食卓から贈答品まで幅広く活用され、豊かな食文化を形成してきました。
県民の誇りともいえる富山の昆布を、ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
富山には、ほかにも有名な名産品が数多くあります。