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省エネ住宅の基準・住宅省エネキャンペーンと4つの補助事業

省エネ住宅の基準

省エネ住宅を簡単に説明すると「省エネルギーで生活でき、環境に優しい住宅」です。もう少し掘り下げると高断熱・高気密に作られたエネルギー消費量を抑える設備が備わっている住宅を「省エネ住宅」としています。省エネ住宅の判断基準は大きく「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」で測ります。

【外皮性能とは】
屋根・外壁・窓などの断熱の性能に関する基準です。
温めた部屋の熱がどのくらい逃げにくいか、どのくらい太陽の熱が入りにくいかなどで判断します。屋根や壁に断熱材や高断熱窓を使用することで、大きく変わってきます。

【一次エネルギー消費量とは】
住宅内で年間に消費されるエネルギー量に関する基準です。
暖冷房設備や照明、給湯、換気など暮らしの中で使用するエネルギーを計算します。高効率のエアコンや給湯機、LED照明を活用することで、エネルギーを上手に使えるよう工夫します。

外皮性能、一次エネルギー消費量を基準に住宅の省エネルギー性能を評価します。また、一定基準以上の省エネルギー性能実現に対する努力義務を住宅の建築主に対して課しているのが、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)です。省エネルギー基準は、日本全国を気候条件に応じて8つのエリアに分け、エリアごとに基準値が示されています。

また、省エネ住宅の基準は「エネルギー基本計画等」において、今後段階的な引き上げが予定されています。2025年には、現在の省エネ住宅が新築住宅の基準(断熱性能、日射を遮る性能、エネルギー消費量削減の3項目が一定の基準を満たす住宅)に、さらに5年後の2030年にはZEH(ゼッチ)水準の省エネ住宅が新築住宅の基準となります。

【ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは】
例えば、省エネ基準の高い住宅で太陽光発電システムなどを利用して再生可能エネルギーを使用することで、年間のCO2排出量を減らせる住宅などです。国土交通省のHPでは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と説明されています。
引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000153.html

このように、省エネ住宅には基準が定められており、実現するためには「断熱・日射遮蔽・気密」の3つの対策がとても重要です。

2025年の法改正で原則すべての住宅に省エネが義務づけられる!

前の章で軽く触れましたが、法改正により2025年以降、省エネ住宅の最低ラインが弾き上がる予定です。また、2022年6月に交付された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能向上に関する法律等の一部を改正する法律」により、原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が2025年4月より義務付けられます。

あわせて、建築基準法の改正により、建築確認・検査対象の見直しや審査省略制度の縮小が措置され、建築主・設計者が行う建築確認申請手続きなども変更されます。建築確認手続きの中で省エネ基準への適合検査が行われます。
出典:https://www.bvjc.com/news/news_detail/pdf/230124_02.pdf

住宅省エネキャンペーンとは?4つの補助事業

子育てエコホーム事業

子育てエコホーム支援事業は、エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修などに対して支援をおこなう事業です。子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図ります。

補助対象は、注文住宅の新築を建てる建築主、新築分譲住宅を購入する購入者、リフォームする工事発注者です。ただし、注文住宅の新築および新築分譲住宅の購入については、子育て世帯または若者夫婦世帯が取得する場合に限ります。
参考:https://kosodate-ecohome.mlit.go.jp/about/

先進的窓リノベ2024事業

先進的窓リノベ2024事業は、断熱窓への改修を促進し既存住宅の省エネ化を促すことで、エネルギー費用負担の軽減、健康で快適なくらしの実現を目指します。また、家庭からのCO2排出削減に貢献するとともに、断熱窓の生産効率向上による関連産業の競争力強化と成長を実現させることを目的とする事業です。

補助対象は、開口部(窓)断熱改修(リフォーム)についての工事発注者です。住宅の建て方、設置する窓の性能と大きさ、設置方法に応じて定額(一戸あたり5万円から最大200万円まで)が補助されます。
参考:https://window-renovation2024.env.go.jp/about/

給湯省エネ2024事業

給湯省エネ2024事業は、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について、高効率給湯器の導入支援を行い、その普及拡大により、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することを目的とする事業です。

補助対象は、戸建、共同住宅等によらず、住宅に高効率給湯器を設置する事業です。

「購入・工事」の場合、新築注文住宅の建築主、新築分譲住宅の購入者、既存住宅(リフォーム)の工事発注者、販売者が給湯器を交換することが条件の既存住宅の購入者。リース利用の場合は、新築注文住宅、新築分譲住宅、既存住宅(リフォーム)の給湯器の借主が対象です。

導入する高効率給湯器に応じて定額を補助します。また、給湯器について、それぞれ一定の要件を満たす場合はその性能に応じた定額を補助します。さらに、給湯器の設置に合わせて、該当する撤去工事をする場合、その工事に応じた定額を補助します。
参考:https://kyutou-shoene2024.meti.go.jp/about/

賃貸集合給湯省エネ2024事業

賃貸集合給湯省エネ2024事業は、給湯省エネ2024事業同様、家庭のエネルギー消費で大きな割合を占める給湯分野について特に賃貸集合住宅に対する小型の省エネ型給湯器の導入を支援し、その普及拡大を図ること、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の達成に寄与することを目的とする事業です。

補助対象は、既存賃貸集合住宅の1棟あたり賃貸住戸2戸以上(賃貸住戸数が10戸未満の賃貸集合住宅は1戸以上)の住戸について、従来型給湯器を補助対象である小型の省エネ型給湯器(エコジョーズ/エコフィール)に交換する事業です。補助対象者は、賃貸集合住宅のオーナー等で、給湯器の設置工事(リース利用)の発注者となります。

補助額は、導入する小型の省エネ型給湯器に応じた定額を上限の範囲内で台数を乗じた金額です。ただし補助対象となる給湯器は、機器ごとにそれぞれ性能要件を満たしたものに限ります。
参考:https://chintai-shoene2024.meti.go.jp/about/

省エネ住宅のための富山県の取り組み「再生可能エネルギー導入促進補助金」

2050年のカーボンニュートラルの実現へ向けた法改正に対応するため、国や各自治体では、補助金といった取り組みを始めています。富山県の省エネ住宅に対する取り組みもみていきましょう。
富山県では「再生可能エネルギー導入促進補助金」事業を行っています。太陽光発電・蓄電池・太陽熱・地中熱を補助し、最大60万円が支給されます。中小企業者やNPO法人、個人事業主といった事業者も対象です。申請受付は令和6年11月29日(金)まで(※予算がなくなり次第終了)となっています。

省エネ住宅の様々な補助を活用して省エネ住宅にしよう

省エネ住宅の基準や住宅省エネキャンペーンについて解説しました。建築基準法の改正まで1年を切りましたが、工事を急ぎたい気持ちはあるものの予算の問題もあると思います。

省エネ住宅には、ここで紹介した補助金の他にも利用できる事業があります。補助金の利用も念頭に入れながら法改正へ向けて準備を進めていきましょう。

省エネ住宅には、「光熱費の削減効果」や「環境に優しく快適な生活が目指せる」など長期的に見た場合のメリットがたくさんあります。省エネ住宅には種類があり、種類によって基準や必要な設備が異なります。光熱費が節約できるからとむやみに省エネ性能の高い住宅を建てるのではなく、それぞれのライフスタイルに合った基準の省エネ住宅を選ぶことが大切です。そのためにも、ぜひ補助金について理解を深め、お得に省エネ住宅を目指しましょう。

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トイエバ編集部

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