犬が太る主な原因は、フードの与えすぎや運動不足によるものです。犬のダイエットでは、食事と運動の面で気をつけるポイントが多くあります。
本記事では、犬が太る原因や肥満の判断基準、おすすめのダイエット方法、注意点を詳しく紹介します。犬を飼っている方や、犬のダイエットに興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
犬が太る主な原因

犬が太る原因は、日々のさまざまな場面に潜んでいます。生活している中で犬が太ってしまう主な原因を3つ紹介します。
ドッグフードやおやつの与えすぎ
ドッグフードやおやつの与えすぎは、犬が肥満になる原因の一つです。
一般的に、100gあたり400kcal 以上のドッグフードは高カロリーといわれています。高カロリーのドッグフードでも与える量を守っていれば問題ないものの、犬に要求されるとつい多くあげてしまうという方は注意が必要です。反対に、カロリーが低いフードを選んでいても多く食べさせれば肥満の原因になります。そのため、ドッグフードは犬に合わせた適切な量を与えるのが大原則といえます。
ご褒美として犬におやつを与える場面も多いですが、あげすぎは肥満のもとになるため注意しましょう。家族と同居している場合は、自分以外の人がおやつを与えてしまうケースも珍しくありません。犬のダイエットが必要であれば、家族全員が協力して取り組むことが重要なポイントです。犬による肥満のリスクを全員が理解することで、家を留守にする時も安心して家族に任せられるでしょう。
また、人間の食事中に犬がおねだりしてくる場面もよく見かけます。しかし、人間の食べ物は犬にとって、カロリーの高い食べ物が多いため注意が必要です。
運動不足
犬が太る原因としては、運動不足であることも挙げられます。
毎日適切な量の食事を与えていても、運動量が足りていないと肥満や筋肉減少の問題が生じてしまうことがあります。摂取した食事の量に見合ったカロリーを、散歩などの運動で消費することが重要です。
しかし、短時間すぎる散歩はあまり効果的とはいえないでしょう。大事なのは、「遊ぶことが目的」の散歩と「健康維持が目的」の散歩は違うという認識を持つことです。散歩の時間は、大型犬が1回30〜60分、中型犬は30分ほど、小型犬は負担にならない時間が理想といわれています。適切な時間の散歩を、毎日1〜2回程度すると運動不足の予防になります。
もしも雨や雪などにより散歩が難しい場合は、室内でのボール遊びなど体を動かす遊びもおすすめです。一度運動不足になると体を動かすことが難しくなり、さらに肥満を助長させてしまう恐れがあります。
犬の去勢・避妊手術によるもの
去勢手術や避妊手術の影響により太る場合もあります。これは、ホルモンバランスの変化によるものです。
去勢手術や避妊手術の後は繁殖に必要な性ホルモンが減少し、安静時の代謝が20〜25%ほど低くなるといわれています。手術前と比較すると、消費するカロリーも減少します。そのような中で手術前と同じ生活を送ると、カロリー過多となるため犬が太りやすくなります。
去勢手術や避妊手術の後は、普段以上に適切な食事管理が重要です。
犬がダイエットを始めるべき基準

最近愛犬が太ってきたけれど、ダイエットすべきかどうか判断に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
肥満とは「脂肪が一定数以上に蓄積した状態」のことを指しており、犬も人間も適正体重の15〜30%の脂肪が超過するかどうかが、肥満の判断基準といわれています。
犬のダイエットを始める基準や、肥満の判断方法として、「ボディコンディションスコア(BCS)」というものがあります。BCSとは、犬の体を見る、触るなどして体型を5段階で評価するものです。数字が低いほど痩せ傾向、高いほど肥満傾向と判断し、中央値の「3」が最も理想的な体型であるといわれています。
BSCでは、以下5つのチェック項目があります。
1 体を横から見たとき、ウエスト部分にどのくらいくびれがあるか
2 体を真上から見たとき、ウエスト部分にどのくらいくびれがあるか
3 助骨部を手でなでて、どのくらい骨を感じ取ることができるか
4 ウエスト部分を手で触って、どのくらいくびれがあるか
5 腰の骨を手で触って、どのくらい浮き出ているか
BCS測定の中央値である「3」は、上から見てウエストにくびれがあり、助骨に触れるくらいの適度な脂肪に覆われている体型です。より詳しい判断基準については、環境省の公式資料をチェックしてみてください。
【飼い主のためのペットフード・ガイドライン】/環境省
犬のダイエット方法【食事】

犬のダイエット方法には、食事管理が欠かせません。特に効果的な食事に関するダイエット方法を2つ紹介します。
ダイエット用のドッグフードに切り替える
普通のドッグフードで量を減らす方法もありますが、ご飯が減ることにより犬はストレスを抱えやすくなります。一方で、ダイエットフードは低カロリー・高タンパク低脂質に作られているものが多いため、食べる量を減らさなくても体重を減らせる効果が期待できるでしょう。
ダイエットフードに切り替える場合は、突然始めるのではなく徐々に移行させることがポイントです。まずは、食事全体の4分の1を1〜2日間かけてダイエットフードに切り替えましょう。問題ない場合、2日間は2分の1の量に増やし、さらに2〜3日間かけてダイエットフードを4分の3程度に増やしていきます。
1週間ほど時間をかけてダイエットフードに切り替えると、犬も大きな抵抗なく切り替えられるためおすすめです。
おやつを減らして、人間の食べ物は与えない
毎日多くのおやつをあげている場合は、与えるおやつの量を減らすのがおすすめです。しつけやトイレトレーニングなどでご褒美のおやつが必要な場合は、1日に必要なドライフードの中からおやつ分をあらかじめ分けておき、ご褒美として少しずつあげるのがポイントです。
また、減量中は人間の食べ物を与えないようにしましょう。家族があげている場合は、全員にダイエットの必要性と肥満によるリスクを理解してもらうことが重要です。
しかし、犬にとっておやつは、毎日の楽しみであり至福のひとときでもあります。突然おやつを減らされることで、犬は強いストレスを感じてしまう可能性もゼロではありません。そのような場合は、食事時間を長くするための工夫を取り入れてみてください。例としては、早食い防止用の食器を入れる知育玩具を使うなどもおすすめです。1回の食事時間を長くすることで食欲が満たされ、満足感を得やすくなるでしょう。
犬のダイエット方法【運動】

犬のダイエットでは、食事を工夫するだけでなく運動不足の解消も欠かせません。犬が楽しみながら効果的にダイエットできる方法を2つ紹介します。
散歩コースの見直し
散歩コースの見直しは、効果的なダイエットに繋がります。
いつも平坦なコースを散歩している場合、コースの中に坂や階段を取り入れてみるのがおすすめです。筋肉量が増えることで代謝が良くなり、カロリーの消費を増やせるメリットがあります。
ただ、険しすぎる坂道や長い階段は、体を痛めてしまい過度な負担をかける可能性があります。緩やかな坂道から始めるなど、犬の年齢や犬種によって無理のない範囲で運動するようにしましょう。
体を使う遊びをする
散歩だけでなく、体を動かす遊びでカロリーを消費するのもおすすめです。
犬用のプールや屋外での芝生遊びなどは、屋外空間ならではの開放感でストレス解消にもつながるでしょう。また、家の中でもボールを取ってくる遊びやロープを引っ張り合う遊び、宝探し遊びも楽しみながらカロリー消費できます。
犬のダイエットに関する注意点

犬のダイエットではいくつかの注意すべき点があります。中でも気をつけたいポイントを3つ紹介します。
過度な食事制限や運動はしない
ダイエットする上で、過度な食事制限や運動は危険です。特に、皮膚や心臓など体に問題を抱えている犬は、過度な食事制限により病気になるリスクも高まります。運動についても、過度に行うと体の関節を痛めるなど、怪我につながる危険性もあります。
ダイエットするはずが、逆に健康を損ねてしまわないよう、犬に合わせた食事制限と運動のペースを心がけましょう。
急に食事の量を減らさない
急に食事を減らすことも、犬のダイエットで避けるべきポイントです。
「早く結果を出してあげたい」という熱心な思いから、極端にフードの量を減らしてしまうことは珍しくありません。しかし、急に食事の量を減らしてしまうと胃の中が空っぽになる時間が増え、軽い胃炎になる懸念があります。また、胃だけでなく肝臓にも負担をかけてしまい、空腹時に嘔吐してしまうなど体がSOSを出す状態に陥ってしまうこともあるでしょう。
食事の量を減らすためには、犬の様子を見ながら1週間〜2週間ほどの時間をかけて行うのがポイントです。
ダイエット後はリバウンドに注意する
ダイエットに成功した後、すぐに減量前の生活に戻すとあっという間にリバウンドしてしまいます。家族全員の協力を得ながらダイエットしても、直後にリバウンドしてしまっては意味がありません。目標体重を達成したら、その体重を維持することを心がけましょう。
しばらくはダイエット中の食生活を続ける、散歩コースに坂道を取り入れるなど、体を動かす習慣を継続させることでリバウンドを防いで健康維持につながります。
犬に無理のない範囲でダイエットしよう
犬の肥満は、病気のリスクを高めて健康被害をもたらします。一度太ると、減量するのは簡単ではありません。しかし、飼い主や家族全員が犬の肥満によるリスクをきちんと理解できれば、効率的なダイエットで愛犬の健康を守れることでしょう。
まずは愛犬の適正な体型を把握して、犬も飼い主も無理のない範囲で取り組むことが重要なポイントといえます。もしもダイエット方法に悩んだ場合は、主治医に相談するのもおすすめです。プロの目線から見た効果的なアドバイスを得られるはずです。
愛犬に合ったダイエット方法を実践して、犬も飼い主も健康的な暮らしを送りましょう!