避難所は目的や対象者により3種類に分かれる
避難所は、災害時に人々の避難と生活支援を目的として設置される施設です。避難所は、目的や対象者によって大きく3種類に分けられます。
区分 | 内容 |
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第1次避難所 | 災害発生時等において第1次に開設する避難所で、主に小学校体育館を指定しています。 |
第2次避難所 | 第1次避難所に収容しきれない場合等において、第2次に開設する避難所で、主に中学校体育館を指定しています。 |
第3次避難所 | 第1次避難所、第2次避難所が収容しきれない場合等において、第3次に開設する避難所で、主に高等学校体育館等を指定しています。 |
その他避難所 | 第1次から3次避難所を補って開設する避難場所で、災害の大きさによって、必要に応じて開設します。 |
災害が起きたら、まずは一次避難所に避難することになります。その後、被災者それぞれの置かれた状況に応じてほかの避難所へ移ったり、自宅避難になったりします。
それぞれの避難所の特徴や使われるケース、必要な持ち物などについて確認していきましょう。
災害直後に使用される一次避難所
一次避難所は、災害が発生した直後に避難するための避難所です。被災者が最初に訪れる避難所であり、場合によっては長く避難生活を送る場所にもなり得ます。
一次避難所が使われるケース、一次避難所に使われる建物や場所の例、そして一次避難所で必要な持ち物について詳しく解説します。
一次避難所が使われるケース
一次避難所は、災害が発生した直後や緊急避難が必要な場合に使用されます。
地震や洪水、台風などの自然災害や、火災や化学物質の漏れなどの災害が発生した際に、人々は安全な場所への避難が求められます。これらの災害から身を守るとともに、災害により住居が使用できなくなった際の生活の場としても提供される施設です。
避難者の受け入れや一時的な生活支援を行う一時避難所は、まさに災害対応の第一線といえるでしょう。
一次避難所に使われる建物・場所の例
一次避難所には次のような、その地域公共の建物・場所が使われます。
富山市では小学校が指定されています。
- 小学校をはじめとする学校
- 公共施設
- 体育館
- 公民館
- 教会
※教会は会長などの許可が必要であること、教義などを守らなければならないことなど第一の選択肢としては適さない。まずは他の場所・建物を検討すべきといわれています。
これらの施設は比較的大きいこと、地域に分散していることなどから、緊急避難先としての条件を揃えているといえます。緊急時にも、迅速な避難が可能でしょう。
また、大規模な災害の場合には、仮設のテントや避難所が設置されることもあります。
一次避難所には何を持っていく?
一次避難所に避難する際は、次のような持ち物を持っていきましょう。
- 身分証明書や保険証、重要な書類のコピー
- 避難所での生活に必要な衣類、寝具、タオルなどの備品
- 飲料水や非常食、子どもやペットのための食料品
- 医療品や継続して服用が必要な医薬品
- 懐中電灯やヘルメットなどの防災グッズ
- ラジオや携帯電話などの情報収集・通信機器
- 主に公衆電話で使うための小銭
- 充電器や予備バッテリー など
いざ災害が起こったときに、これらをかき集める余裕はないでしょう。一次避難所への避難は災害直後、つまり緊急性が高く道路などの状況も悪い中で行われるため、移動中の事故も起こりやすいです。
ある程度の余裕をもって担げるサイズのリュックに荷物をまとめ、すぐに持ち出せる場所に保管しておくことが大切です。
一次避難所での生活が困難なときに移る二次避難所
一次避難所は大勢の人が避難生活を送る場でもあります。長期間の避難や生活が必要な場合、一次避難所での生活が困難な場合には、二次避難所への移動が検討されます。
二次避難所が使われるケース、二次避難所に使われる建物や場所の例、二次避難所で必要な持ち物について詳しく解説します。
二次避難所が使われるケース
二次避難所は一時避難所の開設後に開設されます。一次避難所の収容人数を超えた場合や、一次避難所での生活が困難な人が、優先的に二次避難所に移ります。
【二次避難所への避難が優先される人】
- 高齢者(特に要介護1~3)
- 障がい者
- 妊産婦と乳児、ならびにその保護者
- 1・2の対象者の支援者(対象者1人につき原則1人)
二次避難所に使われる建物・場所の例
二次避難所には次のような、その地域公共の建物・場所が使われます
- 中学校をはじめとする学校(富山市では中学校が指定されていることが多いです)
- 体育館
- ホール
- 市民センター
- 仮設住宅 など
二次避難所には何を持っていく?
二次避難所へ移動する際は、一次避難所で必要な持ち物に加えて、次のようなものを用意しましょう。
- 一次避難所での生活に必要な備品の補充(衣類・寝具など)
- 現金やクレジットカード、キャッシュカード
- 簡易トイレや歯磨きシートなどの衛生用品
- カセットコンロやガスボンベなどの調理器具
- ハンディ扇風機やうちわ、携帯用カイロなど季節用品
二次避難所での生活が長期にわたりそうなら、これらに加えてお気に入りの本やゲーム(電気を使わないもの)、邪魔にならないサイズの趣味の道具なども持っていくといいかもしれません。これらのアイテムは長引く避難生活での心のケア、暇つぶしに役立ちます。
高齢者や障がい者が対象の福祉避難所
災害時には、高齢者や障がい者など、特別なケアや支援が必要な人々のために福祉避難所が設置されることがあります。福祉避難所では、医療・介護スタッフや福祉関係の専門家が配置され、必要なケアや支援を提供します。
なお、二次避難所が福祉避難所としての役割を持ったり、二次避難所が福祉避難所と呼ばれたりすることもあります。
ここからは、二次避難所とは別に開設される福祉避難所について解説します。
福祉避難所が使われるケース
ここでいう福祉避難所には直接避難ができます。二次避難所も要介護者や障がい者のための避難所という意味では福祉避難所と同じですが、二次避難所に直接避難することはできず、一時避難所で待機してから二次避難所に移るという流れに沿わなければなりませんでした。
ただ、介護や支援が必要な人の中には、一時避難所から二次避難所への移動が難しい人もいます。
そこで行われたのが、災害基本法の改正です。この改正により、福祉避難所の対象となる人は、福祉避難所への直接避難ができるようになりました。
なお、福祉避難所は市などが調査したうえで必要と認められた場合に開設され、主に次のような人が対象となります。
- 高齢者(特に要介護4~5)
- 障がい者
- 妊産婦と乳児、ならびにその保護者
- 1・2の対象者の支援者(対象者1人につき原則1人)
福祉避難所に使われる建物・場所の例
福祉避難所には地域の公共施設が使われることもありますが、特に高齢者や障がい者を対象とした福祉施設が使われることが多いです。これらの施設には、福祉避難所の対象者に必要な介護や支援を行うための設備が整っているためです。
また、福祉避難所には医療・介護スタッフや福祉関係の専門家が配置され、必要なケアや支援を提供します。高齢者や障がい者の特別なニーズに対応し、安全かつ快適な避難生活を支援します。
福祉避難所には何を持っていく?
福祉避難所には対象者であれば直接避難ができます(開設に時間がかかる場合、一次避難所に避難してから移ることもあります)。
そのため、まずは一次避難に必要な荷物を持って迅速に避難することが大切です。余裕がある場合、あるいは避難後生活が少し落ち着いてから、二次避難所で必要になる荷物も追加で持っていくといいでしょう。
災害発生直後にとにかく持っていくべき最低限の荷物と、余裕があるときに持っていきたい荷物を次にまとめておきます。
【とにかく持っていくべき最低限の荷物】
- 避難所での生活に必要な衣類、寝具、タオルなどの備品
- 飲料水や非常食、子どもやペットのための食料品
- 医療品や継続して服用が必要な医薬品・お薬手帳
- 懐中電灯やヘルメットなどの防災グッズ
- ラジオや携帯電話などの情報収集・通信機器
- 主に公衆電話で使うための小銭
- 充電器や予備バッテリー
- 対象者の介護・支援に必要なアイテム など
【余裕がある場合に持っていきたい荷物】
- 一次避難所での生活に必要な備品の補充(衣類・寝具など)
- 現金やクレジットカード、キャッシュカード
- 簡易トイレや歯磨きシートなどの衛生用品
- カセットコンロやガスボンベなどの調理器具
- ハンディ扇風機やうちわ、携帯用カイロなど季節用品
- お気に入りの本やゲーム(電池を使わないもの)など心のケアアイテム など
福祉避難所の対象となる人は定められており、健常者の避難は原則としてできません。
また、介護や支援が必要な人が対象の施設であるため、その人それぞれに必要な介助・支援アイテムも欠かせません。福祉避難所の対象となる本人、あるいはその家族は、緊急持ち出し袋にこれらのアイテムも入れておきましょう。
なお、富山市では福祉避難所に避難する際、本人確認書類は必要ありません。
避難所と避難場所の違い
避難所と避難場所は、似たような意味合いを持ちますが、それぞれ異なる使われ方や役割があります。
避難場所(指定緊急避難場所)
避難場所の正式名称は「指定緊急避難場所」です。文字通り緊急避難をするための場所で、災害直後の危機的な状況の中で、とにもかくにも命を守るために移動する場所を指します。
一般的に学校や公共施設、公園などが指定されますが、詳しくは後述しますが災害の種類により避難場所が変わってくることもあります。災害時には地域の指導者や自治体から避難勧告や避難指示が出されるので、これをよく確認し、適切な場所に避難しましょう。
避難所(指定避難所)
避難所の正式名称は「指定避難所」です。「緊急」の二文字が入っていないことからわかるように、とにかく避難する場所というよりは、災害により帰宅困難になったときの一時的な生活の場として使われます。
具体的には、先述した一次・二次・福祉避難所がこれにあたります。まずは災害の種類に応じた避難場所(指定緊急避難場所)で命を守り、状況が落ち着いてから避難所(指定避難所)に移って避難生活を始める、という流れです。
災害ごとに異なる避難場所を把握することが大切
避難場所や避難所は地域や災害の種類ごとに異なります。特に避難場所(指定緊急避難場所)は、どんな災害が起こったのかにより変わってきます。避難場所が常に一定の場所だと、災害の種類によってはむしろ命取りになるからです。
一般的に、避難場所は広いスペースのある公園や河川敷などが指定されていますが、たとえば水害の際に河川敷に避難したらどうなるでしょうか。
同じように、地震発生時は倒れた建物や飛んできたがれきなどで怪我をしないように学校のグラウンドなどが、津波や堤防の決壊などでは高台への避難が基本となります。
もちろん、自己判断で好きな場所に避難をするのは危険です。やはり、災害発生時は地域の指導者や自治体などからの指示をよく聞き、指定された場所に避難することが大切です。
防災グッズの揃え方と備蓄の注意点
災害発生時には身を守るため、迅速な避難をしなければなりません。災害発生時の状況やいる場所によっては、身一つで避難しなければならないこともあるでしょう。
しかし、着の身着のまま家を飛び出してはその後の避難生活で困ることになりかねません。最低でも緊急持ち出しセットを、避難生活が長引くことも考えて補充用の防災セットも用意しておきましょう。
緊急持ち出しセットは運びやすさを重視
緊急持ち出しセットは災害発生直後、避難場所に移る際に持っていくものです。災害発生時は道が悪く歩行困難なこと、とにかく素早く移動しなければならないこともあり、あまり大きな荷物は持っていけません。
緊急持ち出しセットは持ち運びのしやすさを重視し、リュックなどに、余裕をもって持ち運べる程度の荷物を詰めておきましょう。具体的には、次のようなアイテムをひとつにまとめておきます。
- 保存食
- 飲料水
- 衛生用品
- 医薬品
- 貴重品
- ライトと電池
- 情報ツール
- 100円玉、10円玉を中心とした現金
- カイロや汗拭きシートなどの季節用品
- 耳船や軍手などの便利グッズ
備蓄した食料品は消費期限に注意
防災グッズには食料品や飲料水を入れておきます。防災用の保存食は消費期限が長めではあるものの、だからこそ、期限切れに気づきづらいともいえます。
食料品の備蓄においては、消費期限を定期的に確認し、新しいものと入れ替えることが大切です。また、保存が容易で長期間保存が可能な非常食を選ぶといいでしょう。
赤ちゃんやペットがいる場合
赤ちゃんやペットがいる世帯では、それぞれ追加で必要になる物もあります。具体的には、次のような物も防災グッズとして用意しておきましょう。
【赤ちゃんがいる場合】
- 缶入りの液体ミルク
- ミルク缶用の乳首
- 除菌グッズ
- オムツ
- お尻ふき など
【ペットがいる場合】
- ペットフード
- ペット用の器(特に水入れ)
- 折り畳み式のペットトイレ
- 折り畳み式のケージやキャリー など
災害が起きてすぐは避難場所に
災害発生時はとにかく迅速に、正しい避難場所に避難しなければなりません。避難が遅れたり、誤った場所に避難したりすると、怪我をしたり命を失ったりするリスクが高くなってしまいます。
まずは自治体などのアナウンスをよく聞き、指定された避難場所(緊急避難場所)に逃げましょう。状況が落ち着いてきたら一次避難所や福祉避難所に移ります。避難所に移ってからも、当面は物資不足が予想されるため、できれば緊急持ち出し袋だけでも持っていきたいところです。
場合によっては一次避難所から二次避難所に移ったり、荷物を補充したりすることもあるでしょう。避難生活が長引くことも考え、非常食は余裕をもって確保し、防災グッズの抜け漏れがないように揃えておいてください。
どんな防災グッズがどのくらい必要なのか、赤ちゃんやペットがいる場合、自宅避難の場合などのケースごとにどんなアイテムがプラスアルファで必要になるのかなど、詳しくはこちらの記事で解説しています。
これから防災グッズをそろえる方、一通りの災害対策はしたものの不安が残るという方は、あわせてぜひお読みください。