猫にブラッシングは必要?適切な頻度と正しいやり方を紹介

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猫のブラッシングはなぜ必要?

猫にとってブラッシングは、体を清潔に保つほか、健康維持や飼い主とのスキンシップなど非常に重要な役割を果たします。

猫は自分で毛づくろいしているからブラッシングは必要ない、と感じている飼い主も少なくありません。しかし、毛づくろいだけでは首や顔周り、しっぽなど、舌が行き届かず汚れが溜まり、皮膚の炎症を起こすこともあります。また、歳をとった猫や肥満気味の猫は毛づくろいをしなくなり、自分の体を清潔に保てなくなります。抜けた毛が体にくっついた状態だと飲み込んでしまい、嘔吐の原因になる危険性もあるのです。

猫にとってブラッシングが必要な理由を、詳しく4つ紹介します。

皮膚や被毛を健康に保つため

ブラッシングすることにより、皮膚や被毛を健康に保ち、皮膚病などの病気予防につながります。

毛並みを整えることによって被毛の汚れを取り除き、猫も不快感なく清潔に生活できます。また、皮膚への適度な刺激がマッサージになるため、血行の促進や新陳代謝が良くなることも期待できるでしょう。

コミュニケーションや体調チェックのため

ブラッシングは、飼い主と猫がコミュニケーションをとる絶好のタイミングでもあります。猫に話しかけながら丁寧にブラッシングすることで、猫は飼い主のぬくもりを感じながら安心して身を任せられ、信頼関係の構築に繋がります。

また、定期的に猫の体を手で触れることにより、ちょっとした違和感や異変にもいち早く気づけるメリットがあります。被毛や皮膚の異変、腫れものなど体の状態のほか、いつも気持ちよさそうにしているブラッシングを極端に嫌がるなど、心の変化にも気づくきっかけになるでしょう。ブラッシングする際は、ノミやダニなど虫がついていないか、体のブツブツやケガをしていないかなどもチェックすることをおすすめします。

ブラッシング中に異変を感じた際は、早めに病院への受診を検討してください。

毛球症(もうきゅうしょう)予防のため

毛球症とは、猫が毛づくろいした後に飲み込んだ自分の毛が、消化器官に残ってしまうことで起こる病気です。飲み込んだ毛は、通常は便と一緒に排出されますが、あまりにも多く蓄積され、絡み合ってしまうと大きな「毛球」になってしまいます。

毛球は消化器異常を引き起こし、嘔吐や下痢、食欲不振等の症状が出てきます。

毛球症を予防するためには、定期的なブラッシングで余分な毛を取り除いてあげることが大切です。

におい対策のため

猫は自分で毛づくろいするため、犬よりもにおいが少ないといわれています。しかし、毛づくろいが苦手・十分にできていない猫や、自分では行き届かない部位へのにおい対策として、ブラッシングが効果的です。

耳、しっぽの付け根、肛門周りなどは、においの元である皮脂腺と汗腺が多くあるため、特に定期的なブラッシングがおすすめです。

体の一部から強いにおいを感じる場合は、皮膚炎やケガの可能性が考えられます。気になった場合は、自己判断せず病院を受診しましょう。

ブラッシングの適切な頻度はどのくらい?

猫のブラッシングは、基本的に毎日しても問題ないといわれています。しかし、ブラッシングの目的が「コミュニケーションをとるため」なのか、「毛球症予防のため」なのかによって、頻度を調整するのがおすすめです。

猫とコミュニケーションをとりたいという、スキンシップを目的としたブラッシングであれば、毎日行うことで信頼関係の構築に繋がるでしょう。しかし、ブラッシングしすぎると生えている毛まで抜いてしまう、毛のツヤがなくなってしまうなどの懸念があります。毎日するのであれば、同じ部位をしすぎず、全体的に軽く済ませるのが理想です。

猫や犬には、季節の変わり目である3月と11月に、毛が生え変わる換毛期(かんもうき)があります。室内飼いの場合は換毛期がずれ込むこともありますが、毛球症予防の場合、換毛期には、長毛種は毎日、短毛種は1週間に2〜3回を目安にブラッシングすると予防に繋がります。

無毛種であるスフィンクスなど、猫の種類によってはブラッシングが不要なケースもあります。その場合は、体が匂ってきたらぬるま湯で体を拭いて清潔な状態を保ちましょう。

健康維持や病気の予防にもなるブラッシングですが、長くやりすぎると薄毛や抜け毛の原因にもなり得ます。ブラッシングは1回につき3分程度に済ませ、長くても5分以内には終わらせるようにしましょう。

このように、ブラッシングは目的に合わせて、猫の性格や特徴を考慮しながら無理のないよう行うことが重要です。

ブラッシングのやり方

ブラッシングは、短毛種・長毛種によっておすすめのブラシや、やり方にもポイントがあります。種類ごとのブラッシングのやり方について、紹介します。

【短毛種】
シリコンゴムで作られた、毛並みを整えるための「ラバーブラシ」を使い、背中からしっぽ、お腹からお尻に向かってやさしくブラッシングします。お腹は嫌がる猫もいるため、無理のない範囲で優しくとかしてあげるのがポイントです。

顔まわりや足などは、金属製の「コーム」で整えてあげましょう。コームには粗目・細目が両方ついたものもあり、ブラッシング後の仕上げのほか、細目はノミ取りにも使えます。また、顔用・お腹用など部位別のコームもあるため、用途に合わせて使い分けるのもおすすめです。

ブラッシングの仕上げとして、豚やイノシシなど動物の毛で作られた「天然毛ブラシ」を使うことにより、静電気防止や、被毛のツヤ出しにも効果的といわれています。

【長毛種】
ブラシの先に丸いピンがついている「ピンブラシ」や、「天然毛ブラシ」を使って全身の毛を優しくブラッシングします。このとき、絡まっている毛や汚れがある際はやさしく撫でるようにほぐしてあげましょう。

次に、背中からしっぽに向かって、抜け毛がたくさん取れる「スリッカーブラシ」で余分な毛を取り除きます。「スリッカーブラシ」は換毛期によく使われるブラシです。先端がとがっているものもあるため、皮膚を傷つけず、生えている毛にもダメージを与えないように、優しくとかしてあげるのがポイントです。

顔まわり、お腹、足は「コーム」で優しく撫でるようにとかします。短毛種と同じく、仕上げに「天然毛ブラシ」を使うことで、全身にツヤが出るためおすすめです。

ブラッシングする際の注意点

初めてブラッシングをする際は、短毛種・長毛種に関係なく、短時間から始めるのが重要なポイントです。

はじめは、後頭部や首周り、あご下など触られ慣れているところから始めるましょう。
慣れてきたら、脇の下やお尻、お腹など、敏感で毛玉が溜まりやすい部位などまで範囲を広げ、やさしく慎重にブラッシングしてあげてください。

ブラッシングを嫌がる場合の対処法は?

もしも嫌がっている場合は、頭や首周りなど慣れた部分を中心的に、1日1分ブラッシングすることから始めてみてください。
終わったらご褒美を与えて、「ブラッシング=楽しい体験」という印象を与えましょう。

固い毛玉がありブラシが通らない場合は無理に引っ張らず、指でほぐすか、必要に応じて病院やトリマーに相談しましょう。

正しいブラッシングで愛猫と楽しく暮らそう

今回は、猫にブラッシングが必要な理由とブラッシングすることで期待できる効果、ブラッシングの適切なやり方について紹介しました。

猫のブラッシングは、体を清潔に保つだけではなく、毛球症予防や病気の早期発見、におい対策、飼い主とのコミュニケーションなど、さまざまな効果が期待できます。また、ブラッシングには短毛種・長毛種の種類ごとに合うブラシが異なり、猫によっても好みが変わってくるでしょう。今回紹介したブラシ以外にもたくさんの種類があるため、愛猫に合ったブラシを探してみるのもいいかもしれません。

飼い主と猫にとってブラッシングが有意義な時間になるよう、本記事を参考にしながらブラッシングを楽しく習慣づけてみてください。

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獣医師(高橋郁巳)

獣医師からの一言コメント
ブラッシングは毛をきれいにするだけでなく、体調のちょっとした変化に気づける大切な時間になります。毎日でなくても大丈夫なので、猫ちゃんが気持ちよさそうにする範囲で少しずつ続けてみましょう。道具ややり方にこだわりすぎず、「楽しく触れ合う時間」と思ってもらえたら嬉しいです。

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トイエバ編集部

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