富山の2大そうめん「大門素麺」「大岩そうめん」
自然豊かな富山の名物といえば、富山湾で獲れる白エビやぶり、ホタルイカなどを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、富山は海産物以外に夏の風物詩であるそうめんも有名です。「大門素麺」と「大岩そうめん」は富山の中で古くから人々に愛され続けている、伝統的なそうめんとして知られています。今回は、富山の2大そうめんの歴史や特徴、おすすめの有名店について紹介します。
砺波市大門地域の「大門素麺」とは?
大門素麺とは、古くから富山県大門地域で愛され続けている伝統的なそうめんです。地元の方はもちろん、手土産やお中元としても人気の大門素麺について紹介します。
「大門素麺」の起源
大門素麺は江戸時代後期に石川県輪島から伝わった素麺であり、売薬行商が持ち帰った加賀藩の御用素麺(輪島素麺)が起源といわれています。当時収入の少なかった大門村の農家たちが、さらに収入を得るために石川県輪島に修行に行き、そうめんの作り方を学んだことから歴史が始まりました。
発祥元である石川県輪島では伝統が途切れてしまったそうですが、富山県では様々な工夫を凝らしながら今もなお受け継がれており、地元の人々から愛され続けています。
「大門素麺」の製法
大門素麺は「手延べ」という製法によって作られています。一般的な素麺は生地を薄く伸ばして包丁で切る「手打ち」製法が多く知られていますが、大門素麺は生地をひねりながら繰り返し伸ばして、細く長くしていきます。水庄川の清らかな水を使い、時間をかけて何度もひねることで、縄のようなグルテンが形成されます。グルテンとは小麦に含まれるたんぱく質「グルテニン」と「グリアジン」が絡み合って出来たもののことをいい、もちもちの食感と弾力のもととなり美味しいそうめんを作る上で欠かせない成分です。時間をかけて丁寧に作り上げることにより、茹でても伸びにくくコシが強い麺に仕上がります。
「大門素麺」の特徴
こだわり抜かれた製法で作られる大門素麺ですが、昔ながらの伝統を守りながら時間をかけて作ることで他のそうめんとは一味違う味が受け継がれています。普通の手延べ麺は作る際に麺のくっつきや乾燥することを避けるため麺に油を塗ることが多いですが、大門素麺の場合は麺の良さを活かすために打ち粉を使っています。
そのため油臭さがなく、小麦本来の香りや美味しさがより引き立つのです。
また、大門素麺は農閑期である11月〜3月に作られており、ひねった麺は干し場にかけて冬の風にさらされます。そうめんがまるでカーテンのように風になびく光景は大門地域の中で毎年の冬の風物詩でもあります。
「大門素麺」が食べられる有名店2選
富山の名物である大門素麺が食べられるおすすめのお店を紹介します。
チューリップの球根の特大かき揚げが絶品!「めん食堂 川なべ」
大正10年に創業され、親子三代に渡り受け継がれている老舗有名店「めん食堂 川なべ」。大門素麺、塩天丼、かつ丼、そば、うどんなどメニューも豊富で、食品添加物は一切使用せず安全でヘルシーな食材を使っているところもお店のこだわりです。
なかでも、砺波市の市花であるチューリップの球根と富山湾の海で撮れる新鮮な白エビのかき揚げと大門素麺を一緒に食べられるセットメニューは絶品。高さ10㎝のかき揚げは見た目のインパクトも抜群で、十分な食べ応えがあります。
住所 | 富山県砺波市三郎丸331-1 |
アクセス | 【車】「砺波IC」より5km【電車】「JR城端線線油田駅」より約10分 |
公式サイト | https://www.shioten.com/ |
問合せ先 | 0763-33-5632 |
営業時間 | 平日・土曜:11:00〜15:00、17:30〜20:00※月曜日は15:00まで(祝日は除く)日曜・祝日:11:00〜20:00 |
定休日 | 火曜日 |
駐車場 | あり 15台 |
砺波市の郷土料理と共に大門素麵を堪能「農家レストラン大門」
昼の部・夜の部に分かれて充実したコース料理を堪能できる「農家レストラン大門」。コース以外にも、大門素麺の単品や定食、野菜カレーも注文できます。緑豊かな屋敷林に囲まれたレストランは、和の雰囲気を存分に感じられて風情がある空間です。ゆっくりと時間が流れるような光景の中で食べる大門素麺はより美味しく感じられることでしょう。
住所 | 富山県砺波市大門165番地 |
アクセス | 【車】「砺波IC」より約8分「JR砺波駅」より約8分【バス】市営バス「大門」下車 |
公式サイト | http://www.n-r-ookado.co.jp/ |
問合せ先 | 0763-33-0088 |
営業時間 | 昼の部 11:00〜14:00(10名以上の団体は要予約)夜の部 17:00〜22:00(すべて要予約) |
定休日 | なし※年末年始(12/31~1/3)は休業 |
駐車場 | あり バス1台、車20台(スペースに充分な余裕あり) |
富山の夏の風物詩「大岩そうめん」とは?
富山の名物である「大岩そうめん」は古くから受け継がれており、富山の夏の風物詩ともいわれています。人々に愛されている富山の大岩そうめんについて紹介します。
「大岩そうめん」の起源
大岩そうめんの発祥は室町時代に遡ると言われています。当時はそうめんという食べ物が高級なものであったことから宮中の宴会やお寺のみで食されており、乾麺で持ち運びにも最適なためお坊さんが食べる精進料理として親しまれていました。大岩山日石寺では、滝行で六欲煩悩を洗い流して身も心も清めた後に大岩そうめんを食べるという伝統があります。
「大岩そうめん」の製法
麺自体は3年寝かせたものを使用しており、時間をかけて作ることでより美味しいそうめんが出来上がります。お店ごとに出汁や麺にもこだわりがあり、独自の製法で受け継がれている大岩そうめんは、地元で採れた山菜や魚、デザートとセットにするなどお店ごとに工夫して提供されています。
「大岩そうめん」の特徴
白い糸が並んだように美しい盛り付けが特徴です。70年ほど前から愛されている名物で、大岩そうめんを食べるために大岩に訪れる人もいるのだとか。夏は大岩そうめんを求めてお店に列ができるほどの人気ぶりです。麺は見た目の細さからは想像できないほどコシが強く、汁につけても伸びにくいといった特徴もあります。
「大岩そうめん」が食べられる有名店2選
古くから人々に愛されている、大岩素麺が食べられるおすすめのお店を紹介します。
3年寝かせた最上級の熟成麺が美味しい「旅館 だんごや」
お店独自の技法で作られた乾燥させていない生そうめんが自慢の「旅館 だんごや」。3年間熟成させて作られた最高級のそうめん「大古」を使用しており、立山連峰の清らかな水と特製つゆを合わせていただく贅沢な一品です。見た目も美しい熟成麺は一度食べたら虜になることでしょう。「生そうめん&そうめん食べ比べセット」は独自開発の生麺と伝統製法の
乾麺の美味しさの違いを堪能できます。敷地内の山々で採れた天然物の山菜を使った山菜定食や、北海道産大納言あずきを使用した自家製の「白玉あずき」もおすすめです。
住所 | 富山県中新川郡上市町大岩32 |
アクセス | 【車】「滑川IC」より約20分「立山IC」より約15分【バス】上市駅より約30分、大岩バス停下車 |
公式サイト | https://www.ryokandangoya.com/pg4122497.html |
問合せ先 | 076-472-2306 |
営業時間 | 11:00~15:00 |
定休日 | 4月下旬~10月は休まず営業宿泊は通年営業 |
駐車場 | あり 無料 |
黄金色に輝くつゆと熟成麺が美しい「そうめん金龍」
1960年に創業された「金龍」は、全国各地からお店のそうめん目当てに足を運ぶ方もいるほどの有名店です。見た目も美しいそうめんは、喉越しがよくコシの強さも特徴。
かつお・こんぶ・しいたけ・あごなどから出汁をとった黄金のつゆとそうめんのバランスが絶妙で、世代問わず愛され続けています。金龍でしか味わえない極上の一杯をお楽しみください。
「季節の定食」では、そうめん、おにぎり、ぜんまいの煮物、小鉢3種にわらびの酢の物と、金龍の看板メニューを全て楽しめます。
出汁の香りがよくたった温かいそうめんを、パンチのきいたコショウでいただく「にゅうめん」も、あと引く旨さがたまりません。
住所 | 富山県中新川郡上市町大岩11 |
アクセス | 【車】「立山IC」より20分「上市スマートIC」より14分 |
公式サイト | https://soumen-kinryu.com/ |
問合せ先 | 076-472-2311 |
営業時間 | 11:00~14:30 |
定休日 | 4〜10月(木曜)・11〜3月(火、水、木曜) |
駐車場 | あり |
富山の2大そうめんを堪能しよう!
今回は富山の2大そうめんである「大門素麺」「大岩そうめん」について紹介しました。
古くから伝わる2種類のそうめんはそれぞれこだわりの製法や特徴があり、一口食べると虜になる美味しさです。お店ごとにも独自の製法やこだわりがあるため、それぞれのお店の違いを楽しむのもおすすめです。この夏はぜひ「大門素麺」「大岩そうめん」を食べて、自分好みのそうめんを見つけてみてください。