富山県の北東部、北陸新幹線の富山駅から車で40分ほどの場所にある魚津市。海から山までの距離が近いコンパクトにまとまった地形に観光とグルメがぎゅっと詰まっています。全国的に知られる「蜃気楼」はゴールデンウィークあたりが見頃のピーク。自然体験に海の幸をはじめとしたグルメを存分に楽しめる魚津市の魅力を紹介します。
水のまち魚津(うおづ)
かつて魚が多く獲れることから「魚津(うおづ)」の地名がついた魚津市。地元の魚津漁港には毎日、新鮮な魚介類が数多く水揚げされています。

提供:https://uozu-kanko.jp/

引用:https://uozu-kanko.jp/
その豊かな漁場を支えるのが、立山連峰を源とする豊かな森。標高2400m以上の山岳から海岸に到るまで直線距離でわずか2.5kmしかない急峻な地形を持つ魚津市は、山の栄養分が富山湾にダイレクトに流れ込むため、水の恩恵を最大限受けています。

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カニ籠漁の発祥となった魚津漁港ではベニズワイガニやバイ貝などの豊富な魚介類。山ではリンゴやブドウといった果実に恵まれ、豊かな食文化を作ってきました。そのため飲食店が多いのも特徴です。
魚津のおすすめ観光スポット
①魚津の朝市
魚津駅から西に車で約5分のところにある「海の駅蜃気楼」。

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毎月第2・第4日曜日の午前6時30分から行われているのが「魚津の朝市」。1995年のスタートから去年で30周年。地元の海の幸と山の幸の両方を一度に買い求めることができると人気です。

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会場のイベントホールには、とれたての鮮魚や干物などの加工品に朝どれの新鮮野菜。地元の商店主が和菓子やたこ焼き、コーヒーなど、市内の約10店舗が並び賑わいます。

引用:https://www.instagram.com/p/DHfq6nURbYG/?img_index=1
なかでも人気はベニズワイガニや焼き魚をメインにした「朝市定食」。ほっかほかの白飯に味噌汁が付いた港町ならではのメニューです。

カニが水揚げされる9月から5月までは、カニ飯、カニ味噌の甲羅焼き、カニ汁と、カニを存分に楽しめる、かに三昧セットやかに尽くしセットが数量限定で用意されます。あまりの人気のため、開店後すぐ売り切れになるため早めの来場がおすすめです。

販売者との距離が近く、会話も魅力の一つとなっている「魚津の朝市」。早起きして訪れる価値は十分にあります。
開催場所 | 海の駅蜃気楼富山県魚津市村木字堤防割2500-2 |
営業時間 | 6:30〜9:30 |
開催日 | 毎月第2,4日曜日 |
公式サイト | http://www.shinkirou.jp/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/uozuasatei/ |
駐車場 | 約300台 |
電話番号 | 0765-22-1200(魚津商工会議所) |
②KANATA WINERY
魚津駅から東に車で約10分。山あいの天神野新(てんじんのしん)に2023年にグランドオープンした「KANATA WINERY(カナタ ワイナリー)」。ワインで「魚津」を世界に轟かせることを目標に掲げるワイナリーです。



ワイナリーでは現在、白、赤、ロゼといった12〜13種類のオリジナルワインの製造と販売を行なっていて、その場で試飲して好みのワインを買い求めることができます(試飲は一部有料)。
味のコンセプトは「昆布締め(魚津の魚介)に合うワイン」です。


新発売の白ワインの「D.O.V2024」は、柑橘とハーブの香りが穏やかで後味のキレが良く、昆布締めをはじめ白身魚によく合います。

KANATA WINERYは地元のエネルギー企業「丸八(まるはち)」が高齢化などにより栽培存続が危ぶまれるブドウの産地、天神野新をワインづくりで元気にしようと2018年から整備を始めました。
元富山県職員で果樹研究センターで果樹栽培を指導してきた土井祐樹(どい・ひろき)さんを責任者に迎え、ブドウの栽培から醸造までを一環して行っています。

土井さんはKANATA WINERYの名前に込めた「はるか(かなた)=世界中に魚津のワインを轟かせ、足を運んでもらえるような場所にしたい」と大きな夢を持ちます。

KANATA WINERYでは1ヶ月に2回程度、試飲が付いたワイナリーの見学会を開いています。詳しくは公式インスタグラムでご確認ください。魚津の新たな観光スポットの今後が楽しみです。
施設名 | KANATA WINERY(カナタ ワイナリー) |
住所 | 富山県魚津市天神野新字西大野147-1 |
営業時間 | 10:00〜16:00 |
営業日 | 金、土、日、祝祭日 |
公式サイト | https://kanatawinery.com/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/kanata_winery_uozu/ |
駐車場 | 10台程度 |
電話番号 | 0765-55-2027 |
③魚津埋没林博物館
魚津駅から西に車で約5分のところにある「魚津埋没林(まいぼつりん)博物館」。約2000年前の自然を身近に感じることができる県内唯一の施設です。

埋没林は文字通り「埋もれた林」のことで、火山灰や火砕流、河川の氾濫による土砂の堆積、地滑り、海面上昇などが主な要因となってできるもの。魚津の埋没林は、片貝川の氾濫により流れ出た土砂がスギの原生林を埋め、その後、海面が上昇したことで発見されたものと考えられています。
木の株だけでなく、種子や花粉、昆虫などが残っているため、過去の環境を推定する貴重な資料となっていて、1955年に国の特別天然記念物に指定されています。

引用:https://uozu-kanko.jp/
メインの水中展示館では、端から端までが約10m、幹の直径が約2mもある巨大な木の株を上からのぞき込んだり、側面のガラス窓から眺めたりすることができます。薄暗い水の中、静かに佇む姿は悠久の歴史を感じさせます。
約70年前の1952年に発掘された埋没林は場所はそのままに、その周りを取り囲むように縦8m、横16mの巨大なプールで囲われています。
そのため汚れが溜まることから年末には毎年大掃除があり、その時だけは水が抜かれた貴重な根っこの姿を見ることができますのでチェックしてみてください。
また、埋没林博物館に併設されたカフェ「KININAL(きになる)」では、フルーツや木の実の見た目はそのままにケーキに仕立てたちょっと不思議なスイーツを楽しめます。
ケーキとパッケージ、洗練されたデザインが生み出すおいしさは食べた人にしかわからない、まさにKININAL味。ぜひ試してみてください。
施設名 | 魚津埋没林博物館 |
住所 | 富山県魚津市釈迦堂814 |
営業時間 | 9:00〜17:00(入館受付は16:30まで) |
定休日 | 12/1〜3/15の木曜日、年末年始 |
公式サイト | https://www.city.uozu.toyama.jp/nekkolnd/index.html |
公式Instagram | https://www.instagram.com/uozuburiedforestmuseum/ |
駐車場 | 普通車100台 大型6台 |
電話番号 | 0765-22-1049 |
④東山円筒分水槽
魚津駅から東に車で約10分。山あいの東山地区にある農業用水「東山円筒分水槽(ひがしやまえんとうぶんすいそう)」。

天神野、青柳、東山地区の3つの用水に水を公平に分配するための施設です。円筒から湧き出る水はその様子から「日本一美しい円筒分水槽」と評価され、パワースポットとしても注目を集めています。2020年に国の登録有形文化財に登録されたことでポケットパークが整備され、円筒分水槽をより見やすく楽しめるようになりました。

円筒分水槽の始まりは、かつてすぐそばを流れる急流河川の片貝川(かたかいがわ)の水害や深刻な水不足により、水争いが絶えなかったことに起因します。水争いの解決のため用いられたのが当時、富山県で初めての工法として取り入れられた円筒分水槽。
1938年から工事が始まり、戦争により一時中断したものの54年に完成し、約70年経った今も安定して水を分配し続けています。水槽から流れ出す水の音は心地よく、また、その周りを霧状になった水が飛び散ることで、夏は天然のクーラーとなって見る人を癒してくれます。

円筒分水槽の周りは足場がしっかりしているので安心して近づくことができ、撮影も簡単にできます。雪解け水が流れる5月はもっとも水量が多く迫力ある姿を見ることができます。癒しを求めに足を運んでみてはいかがでしょうか。
施設名 | 東山円筒分水槽 |
住所 | 富山県魚津市東山東山円筒分水槽 |
公式サイト | https://uozu-kanko.jp/library/entoubunsuisou/ |
駐車場 | 5台程度 |
⑤日本料理 海風亭
魚津駅前すぐのロータリーにある「日本料理 海風亭(かいふうてい)」。


魚津漁港で朝、水揚げされたばかりの新鮮な魚介を食べられるお店です。地元の名物料理「バイ飯」をはじめ、海鮮丼や刺身定食。本格的なコース料理を日本料理の職人の確かな技でおいしく食べさせてくれます。

人気は甘エビ、ホタルイカ、カワハギなど地元の魚介が10種も載った丼にサラダと味噌汁が付いた「海鮮丼 上」。切り身は地元の立山酒店の醤油を使って漬けにしてあり、ご飯は酢飯ではなくあえてそのままにすることで、食材の味をより楽しめるように工夫しています。

切り身はどれもこりこりと食感がよく、甘エビやホタルイカの旨みが贅沢に口の中に広がります。味噌汁にも立山酒店の味噌が使われていて「地元の味を知ってもらえる」魚津ならではの一品です。

足が早く他ではあまり食べることができない「げんげ竜田揚げ」。外はサクッと中はふわふわの食感が楽しめます。
形の面白さもあってインパクトは抜群。食べるとあっという間に1本なくなってしまうおいしさはやみつきになってしまうほど。グルメ漫画「美味しんぼ」にも取り上げられ、この味を求め全国からファンが訪れる海風亭自慢の逸品です。

創業1908年。5代目店主の美浪呂哉(みなみ・ともや)さんは「ほんの少し手を加えるだけでおいしさが引き立つ魚津の食材はどれも素晴らしい。ぜひ魚津にきて味わってほしい」と話します。

魚津の味を存分に楽しめる「日本料理 海風亭」おすすめです。

施設名 | 日本料理 海風亭 |
住所 | 富山県魚津市釈迦堂1-13-5 |
営業時間 | 11:30〜14:00(L.O 14:00) 17:00〜21:00(L.O 21:00) |
定休日 | 日曜日 |
駐車場 | 5台程度 (店の前の道路を南に120mほど進んだ先の左側) |
電話番号 | 0765-22-7303 |
⑥ミラージュランド
魚津駅から南西に車で約10分。早月川(はやつきがわ)のすぐそばにある遊園地「ミラージュランド」。日本海側最大級の大観覧車が自慢の遊園地です。富山県内唯一の遊園地で約40年前の1982年にオープンしました。

高さ66メートルの大観覧車は去年4月にリニューアル。青空に映える「イタリアンレッド」で塗られ、30年以上経った今も人気のアトラクションです。
ほかにも園内には「ミラージュトレイン」や「サイクルモノレール」、「メリーゴーランド」など全部で16のアトラクションがあります。そのほとんどが小さな子ども連れでも楽しめるもので、週末や祝日には多くの家族連れで賑わいます。

この春からは的に向かって放水する「ウオーターシューター」もリニューアル。常に内容を新しくしながらいつ来ても楽しめる遊園地づくりが自慢です。
また小さめのウマ=ミニチュアホースと触れ合えるふれあい牧場 フロンティアや、走り回って遊べる芝生広場。バーベキュー場などもあり、家族や友人と自由に楽しむことができます。ゴールデンウィークなどはお得な「前売り券」を販売している場合もありますので、観光の際には事前に公式サイトを確認しておくことをおすすめします。
施設名 | ミラージュランド |
住所 | 富山県魚津市三ケ1181-1 |
開園期間 | 令和7年3月15日〜11月30日までを予定 |
営業時間 | 10:00〜16:30(遊具の運転時間は16:00まで) ※5月3日〜5日は17:30まで |
定休日 | 毎週水曜日(水曜が祝日の場合は翌日) ※ゴールデンウィーク中は休まず営業 |
公式サイト | https://www.mirageland.net/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/mirage_land/ |
駐車場 | 大型バス30台 普通車1000台(魚津水族館と共通) |
電話番号 | 0765-24-6999 |
⑦魚津水族館
ミラージュランド と道路を挟んですぐそばにあるのが「魚津水族館」。日本に現存する水族館の中で最も歴史の古い水族館です。

現在の水族館は3代目にあたり、初代は今から約110年前の1913 年、日本海側初の水族館として建てられました。現在の建物は約40年前の1981年に建てられ「北アルプスの渓流から日本海の深海まで」をテーマに、富山県と富山湾の水生生物を中心に展示。ベニズワイガニやゲンゲといった富山に馴染み深い深海の生き物など約330種1万点の生物を見ることができます。

今年2月には老朽化が進み改修が必要だった「富山湾大水槽」がクラウドファンディングによりリニューアル。水族館のシンボルであるブリやカンパチ、マダイなどの大型の魚がこれまで通り泳ぎ、変わらず人気を集めています。
魚たちのショーも人気です。「イシダイの旗引き」に「ウマヅラハギの輪くぐり」。また、ダイバーによる富山湾大水槽での餌やりは一緒にベストショットを狙えるポイントです。
このほか、アザラシとペンギンの餌やりも愛らしい姿を見ることができ小さなお子さん連れに人気です。また富山の生き物を研究する魚津水族館ならではのイベントが「ホタルイカの発光実験」。
ホタルイカがなぜ、どのように光るのかなどをわかりやすく解説。体から発する神秘的な青い光も見ることができます(ホタルイカ展示期間中の5月までの土曜、日曜、祝祭日限定)。職員が工夫を凝らした様々な仕掛けで楽しませてくれる魚津水族館。都会の水族館には無い、のんびりした癒しがあります。
施設名 | 魚津水族館 |
住所 | 富山県魚津市三ケ1390 |
営業時間 | 9:00〜17:00 (入館は16:30まで) |
休館日 | 年末年始(12月1日から翌3月15日までの月曜日) |
公式サイト | https://www.uozu-aquarium.jp/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/uozuaquarium_official/ |
駐車場 | 大型バス30台 普通車1000台(ミラージュランドと共通) |
電話番号 | 0765-24-4100 |
⑧花の森・天神山ガーデン
魚津駅から東に車で約10分のところにある「花の森・天神山(てんじんやま)ガーデン」。秘密の花園と言っても過言では無い知る人ぞ知る花の絶景スポットです。約9000㎡の敷地にはそれぞれ1000株を超えるボタン、シャクヤク、シャクナゲをメインに、季節の様々な花が植えられ、冬の期間を除き一年を通して美しい花を見ることができます。

もともとは魚津市出身の植物学者、古川仁朗(ふるかわ・じんろう)さんが1996年に研究のために作った植物園でしたが、2010年、古川さんの研究が一段落した際に地元の有志が「美しい庭を残したい」と引き継ぎ今の姿になりました。
運営にあたるのはボランティア団体の「花の森・天神山ガーデンを守る会」。極力、自然のままの姿を大事にしたいと残したいと会員が力を合わせてこの庭を守っています。




訪れた4月下旬は咲き始めた大輪のシャクナゲがひときわ存在感を放っていました。
なお入場の際は維持管理のため300円の協力金をお願いしています。美しい庭を長く守るためにも協力をお願いします。何度でも足を運びたい魚津の隠れた観光スポットです。
施設名 | 花の森・天神山ガーデン |
住所 | 富山県魚津市小川寺1070 |
営業時間 | 日没まで |
定休日 | 特になし |
駐車場 | 88台(隣接する天神山野球場) |
電話番号 | 0765-22-1200(魚津商工会議所) |
小回りの利くまち「魚津市」
定番から穴場まで訪れてみたい魚津市の観光スポットを8つ紹介しました。改めて記事にまとめると、どの場所も車で10分ほどのところにあり非常にコンパクトに市内を観光できることがわかりました。
海と山が近いこの地形こそが、魚津市ならではの魅力を生み出しているようです。なお今回は紹介できませんでしたが、3月下旬から6月上旬は「蜃気楼」が見られるチャンスです。
参考:https://micos-sa.jwa.or.jp/hokuriku/shinkirou/
風向きや気温差など蜃気楼が発生しやすい条件がありますので、魚津市の公式サイトを参考に足を運んでみてはいかがでしょうか。