富山県に世界遺産はいくつある?

富山県にある世界遺産は、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」です。
1995年12月、岐阜県の白川郷と富山県の五箇山を合わせて、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は、岐阜県白川村の「荻町集落」と、富山県南砺市の「相倉集落」「菅沼集落」の3つで構成されています。つまり、世界遺産としては1件ですが、そのうち2つの集落が富山県にあります。
さらに富山県には、祭りなどの伝統文化が登録された「ユネスコ無形文化遺産」もあります。世界文化遺産とは何が違うのかも含めて、富山が世界に誇る文化を見ていきましょう。
富山県の世界遺産「五箇山の合掌造り集落」

富山県南西部の山あいに位置する五箇山。世界遺産に登録されている相倉・菅沼の2つの集落には、急勾配の茅葺き屋根が特徴的な合掌造り家屋と、昔ながらの山村風景が残されています。
相倉合掌造り集落には、20棟の合掌造り家屋が現存しています。山々に囲まれた集落には田畑や石垣なども残り、季節によって表情を変える日本の原風景が魅力です。集落を見渡せる展望エリアもあり、合掌造りが山里に寄り添うように並ぶ景色を楽しめます。
一方、庄川沿いにたたずむ菅沼合掌造り集落には、9棟の合掌造り家屋が残されています。相倉よりもコンパクトな集落で、周囲の山々や田畑とともに昔ながらの景観が守られているのが特徴です。現在も人々の生活が営まれており、散策しながら五箇山に受け継がれてきた歴史や文化に触れられます。
「五箇山の合掌造り集落」について、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
富山県のユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」
建物や遺跡など形のあるものを対象とする世界文化遺産に対し、「ユネスコ無形文化遺産」は、祭礼や伝統芸能、技術など、世代を超えて受け継がれてきた形のない文化を守り、未来へ伝えていくための制度です。
ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」には、日本各地で受け継がれてきた祭礼行事が含まれており、富山県からは4つの行事が登録されています。
高岡市の「高岡御車山祭の御車山行事」、南砺市の「城端神明宮祭の曳山行事」、魚津市の「魚津のタテモン行事」は2016年に登録。さらに2025年12月には、射水市の「放生津八幡宮祭の曳山・築山行事」が追加されました。
ここからは、富山で大切に受け継がれてきた4つの祭りを見てみましょう。
高岡御車山祭の御車山行事(高岡市)

毎年5月1日に行われる「高岡御車山祭」では、7基の御車山が高岡の旧市街を巡ります。
御車山の見どころは、高岡のものづくり文化が凝縮された華やかな装飾です。車輪や高欄などには、金工や漆工、木工をはじめとする職人の技が随所に取り入れられています。
町をゆっくりと進む御車山を眺めながら、高岡に受け継がれてきた工芸の美しさにも触れられる祭りです。
城端神明宮祭の曳山行事(南砺市)

南砺市城端の春を彩る「城端曳山祭」は、毎年5月4日・5日に行われます。祭りでは、城端塗や木彫、金箔で飾られた6台の曳山が、歴史ある町並みを巡行します。
さらに目を引くのが、曳山を先導する「庵屋台」です。三味線や笛、太鼓に合わせて城端独特の「庵唄」が響き、優雅な雰囲気に包まれます。
夜には曳山に提灯が灯り、昼間とはひと味違う幻想的な姿を楽しめるのも魅力です。
魚津のタテモン行事(魚津市)

約300年の歴史を持つ「魚津のタテモン行事」は、大漁と海上の安全を願う、港町・魚津ならではの伝統行事です。
「たてもん」は、高さ約16mの大柱に90余りの提灯を三角形に掲げた船形の万燈。重さは約5トンにもなり、大勢の人が力を合わせて曳き回します。
夜空に浮かぶ提灯の明かりと威勢のよい掛け声、太鼓や笛の音が重なり、魚津の夏を熱気で包みます。
放生津八幡宮祭の曳山・築山行事(射水市)

射水市新湊地区に受け継がれている「放生津八幡宮祭の曳山・築山行事」は、2025年12月に「山・鉾・屋台行事」へ追加登録された、富山県では最も新しいユネスコ無形文化遺産の構成行事です。
祭りには13基の曳山が登場し、昼は花や人形で飾られた「花山」、夜には提灯を灯した「提灯山」へと装いを変えます。また、境内に山をかたどった祭壇を設けて神霊を迎える「築山行事」も伝承されており、曳山と築山という2つの「山」の文化が受け継がれているのが特徴です。
世界文化遺産登録を目指す「立山砂防」

富山県には、まだ世界遺産には登録されていないものの、世界文化遺産への登録を目指している「立山砂防」があります。
立山砂防の歴史をたどると、1858年に発生した飛越地震に行き着きます。地震によって立山カルデラ内の山々が大きく崩れ、その後、大量の土砂が富山平野へ流れ込む大規模な土石流が発生しました。
こうした災害をきっかけに、1906年には富山県による立山カルデラでの砂防事業が始まり、1926年からは国の直轄事業として本格的な工事が進められました。
※砂防事業とは、集中豪雨や地震などによる土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害から人命や財産、地域の暮らしを守るため、国や自治体が行う治水・防災事業です。
長い年月をかけて築かれてきた砂防施設のなかには、砂防施設として全国で初めて国の重要文化財に指定された「白岩砂防堰堤」があります。本堰堤は高さ63m、7基の副堰堤を合わせた落差は108mで、いずれも現在も日本一の高さを誇ります。2026年には、県営砂防事業が120年、国の直轄砂防事業が100年という節目を迎えました。
美しい立山の自然を守るだけでなく、下流に広がる富山平野の暮らしを支え続けてきた立山砂防。五箇山とはまた異なる、富山の人々と自然との長い関わりを物語る文化遺産です。
富山が誇る世界遺産を未来につなごう
富山県には、世界文化遺産「五箇山の合掌造り集落」をはじめ、地域で大切に受け継がれてきた4つのユネスコ無形文化遺産があります。さらに、長年にわたり富山の暮らしを守ってきた「立山砂防」も、世界文化遺産への登録を目指しています。
美しい景観だけでなく、そこに暮らす人々の営みや祭り、自然と向き合ってきた歴史まで知ると、富山の文化をより身近に感じられるはず。
実際に現地を訪れながら、世界に誇る富山の文化や歴史に触れてみてはいかがでしょうか。