富山をはじめとして、日本では記録的な豪雨による浸水被害が相次いでいます。命を守るために、日頃からできる浸水対策、浸水の原因や避難直前に出来る浸水対策などについて詳しく紹介します。富山県のハザードマップも載せているため、富山に住んでいる方や、浸水対策について知りたい方は参考にしてみてください。
富山では浸水被害は人ごとではない
日本は、周りが海に囲まれているため、気象や地形、地質などの条件からさまざまな災害が発生しやすい国です。近年では、地球温暖化や地球規模の気候変動による洪水や浸水などの水害も多く発生しています。
今後さらに大雨などの発生頻度が多くなると予測されており、懸念されるのが大規模な水害です。もしも家が浸水してしまうと、室内に泥水が入り込み家具や家財が使えなくなるなどの事態が予測されます。
国土交通省は、短時間降雨の発生件数増加や、総雨量1,000mm以上の雨も頻発するなど、近年全国各地で集中的豪雨が増えていると発表しています。
時間雨量50mm以上の年間発生回数は1976年〜1985年の10年間は226回であるのに対し、2014年〜2023年の10年間は330回と増加傾向です。近年の雨の降り方の変化から、今後もさらなる集中的豪雨や雨の頻発化が予測されています。(参考:水害レポート2023/国土交通省)
富山県では、2023年7月12日に発生した記録的な豪雨により、計627棟の浸水被害が相次ぎました。そのうち、9割が富山市と高岡市での浸水です。南砺市では死亡事故が起こり、農業関連施設の被害件数は134か所、水産業関連では笹舟1隻が流されて行方不明など、富山県全体が短時間で大きな水害に見舞われました。
自然災害を完全に防ぐことはできません。しかし、日頃から万全に浸水対策をすることにより被害を最小限にするだけでなく、いざというときの心構えもできます。水害を人ごとと考えず、しっかりと浸水対策をすることが重要です。
浸水の種類と原因
水害は、大きく「外水氾濫」と「内水氾濫」の2種類に分けられます。
外水氾濫とは、川の水が外にあふれることにより発生する水害です。豪雨による堤防の決壊などで、大量の水が住宅地や田畑に勢いよく流れ込みます。住宅や車が水に流され、人々が避難できずに逃げ遅れてしまうなど、深刻な事態をもたらします。
内水氾濫とは、大量の雨水を排水できずに水があふれてしまう水害です。市街地の持つ排水能力を超えてしまうと用水路や排水路があふれ、水が逆流してしまいます。都市部にある地下鉄駅などは、地上よりも内部氾濫のリスクが高まっています。また、内部氾濫による水の逆流は、感染症を引き起こす恐れもあるため注意が必要です。
日本で水害が起こる原因には、居住地よりも河川の水位が上にあることがあげられます。ほかにも、住宅や商業施設が多くなるにつれて水田が減少し、雨水が地中へ浸透する機能が低下していることや、気候変動による平均雨量の増加も浸水被害の原因としてあげられるでしょう。
富山県は、立山など自然豊かな山々に囲まれていることから、山岳部を流れる河川は流れが急であるといわれています。洪水が発生すると30〜40分で下流に水が下り、急流河川が扇状地を通ることから水の流れが定まらないのが特徴です。富山の地形や水害の傾向を知った上で、浸水対策をすることが大切です。
日頃からできる浸水対策
日頃からできる浸水対策を5つ紹介します。大規模な水害に備えて、もしものとき慌てずに行動できるよう浸水対策をしましょう。
天気予報や災害情報をチェック
台風や豪雨などは、可能な範囲で事前に予測できます。日頃からテレビ、ラジオなどの天気予報をチェックする習慣をつけておくと、もしものときの備えができるでしょう。災害情報のチェックも忘れないよう習慣化するのがおすすめです。
身の回りで起こりうる危険を把握する
自分が長い時間をすごす自宅や職場などは、どのような災害の危険があるかを把握しておくことが大切です。地下では浸水、海の近くでは津波、崖や山の近くでは土砂崩れなど、場所によって災害の種類も変わります。
また、建物の耐震性や家具が落下する危険性がないかなどについても、今一度チェックしておくことが重要です。
雨水ますや排水溝周りを掃除する
日頃から、自宅周辺の雨水ます、排水溝周りを掃除しておくことも浸水対策につながります。排水溝に落ち葉やゴミが詰まっていると、豪雨のときに雨をふさいでしまい、浸水の原因になります。
ただし、豪雨になってから外に出るのは危険です。天気予報をチェックし、大雨の前日や、まだ雨が少ないうちに自宅周辺の用水路をきれいにしておきましょう。
貴重品や重要な書類は高いところに置く
通帳やクレジットカードなど、貴重品は一つの袋にまとめて、高い位置に移しておくのがおすすめです。できれば2階に置くのが望ましいですが、難しい場合は高い棚の上に置いておきましょう。
避難するときは命を最優先にして、余裕がある場合のみ貴重品を持ち出すようにしてください。
ハザードマップや避難場所を把握しておく
被災想定区域や避難所、避難経路などを表示したハザードマップをあらかじめ把握しておくこともおすすめします。家族全員が避難所を把握しておくことで、もしもはぐれてしまった場合でも一人で避難できる可能性が高くなります。ここで重要なポイントは、家族一人ひとりが災害の恐ろしさを認識して、避難所や避難経路を把握しておくことです。
避難直前にできる浸水対策
豪雨などの災害が発生した際、避難の直前にできる浸水対策を3つ紹介します。避難前も冷静に行動できるよう、事前に浸水対策の内容をチェックしておきましょう。
簡易的な水のうを作る
水のうとは、土の代わりに袋に水を溜めて、家の中への浸水を防ぐためのものです。
40リットル程度のゴミ袋を二重にして、半分程度水を入れます。しっかりと袋の口を縛り、いくつか同じものを作ります。作った水のうを段ボールの中に入れて家の出入り口を塞ぐように並べて置きます。簡易的な水のうを作ることで、家の中への浸水対策になります。
下水の逆流を防ぐ
豪雨の際は、下水が逆流してトイレや浴室から水が逆流してあふれ出す危険性があります。汚水の逆流は、悪臭や感染症の原因になるため、簡易水のうを作った後は、排水溝も塞ぐようにしましょう。
貴重品や災害備蓄品はまとめておく
貴重品や災害備蓄品は一箇所にまとめて、どこにあるかすぐに把握できるようにします。非常食は、準備に手間がかからず水もあまり必要ない簡易的なものがおすすめです。また、簡易トイレなども忘れずに準備してください。
なお、荷物が多すぎると避難するときの行動が鈍くなってしまいます。避難する際は自分や家族の命を最優先に、必要最低限のものだけを持っていきましょう。
【富山県】土砂災害ハザードマップ
ハザードマップとは、地震や豪雨などの災害による被害軽減や、防災対策するために使用されている地図のことです。もしものときに備えて、被災想定区域や避難場所、避難経路、防災関連施設の位置など、浸水対策に必要な情報が細かく記されています。
富山県では、各市町村にハザードマップが作成されています。自分の自宅や職場の場所は、あらかじめハザードマップ上で把握して浸水対策をしましょう。(参考:【富山県】土砂災害ハザードマップ)
また、富山市の公式サイトではハザードマップの見方動画が掲載されています。全体版は16分間ですが、忙しい方には5分間のダイジェスト版もあります。わかりやすい説明のため、もしもの場合に備えてぜひ家族全員で見ておいてください。(参考:【富山市】洪水ハザードマップの見方・使い方(説明動画))
富山生活では日頃から浸水対策を
日本は突然の豪雨が多く、いつ大きな災害が起きるかわかりません。海や山など自然豊かな富山では、大雨が降ることにより大規模な浸水被害が懸念されます。
富山生活では、もしもの場合に備えて日頃からの浸水対策が重要です。富山県が公式サイトで公開しているハザードマップを家族一人ひとりがチェックしながら、家でできる浸水対策をしっかりとしましょう。