富山県立中央病院を受診するときに、かかりつけ医から紹介状を書いてもらった経験がある方も多いのではないでしょうか。
その紹介状の背景には、かかりつけ医と富山県立中央病院をつなぐ「地域連携室」の存在があります。
地域連携室では、日頃からかかりつけ医との情報共有や関係づくりに取り組み、患者さんが必要なときに適切な医療を受けられる体制を支えています。
また、紹介された患者さんの受け入れサポートをはじめ、医療相談や入退院支援、仕事と治療の両立支援など、患者さんやご家族を支えるさまざまな役割も担っています。
今回は、地域連携室の皆さんに、かかりつけ医との連携や患者さんへの支援について伺いました。
紹介状で受診をスムーズに。県中とかかりつけ医の連携
──地域連携室はどういった場所ですか?

地域連携室は、富山県内の様々な医療機関と富山県立中央病院をつなぐ窓口です。富山に住む皆さんが必要な時に適切な医療を受けられるよう、支援の内容は多岐にわたります。
◆地域連携室の主な役割
・地域の医療機関との情報共有や連携
・地域の医療機関からの紹介予約受付
・紹介患者さんの受診報告
・医療相談や受診先の案内
・患者さんの入退院支援
・仕事と治療の両立支援
──どのようなスタッフがいるのでしょうか?
医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、保健師、事務職員など、総勢32名のスタッフが在籍しています。
それぞれのスタッフが自身の専門性を発揮しながら、医師だけでは対応が難しい問題に対して協力してサポートにあたっています 。

左から山下さん、福澤さん、飛世さん。
日頃から地域の医療機関との関係づくりに取り組む
──具体的には、地域の医療機関とどのように連携してるのでしょうか?
地域連携室では、かかりつけ医の先生方と日頃から情報共有や関係づくりを行っています。
具体的には、
・医療機関向け広報誌「地域連携室だより」の発行
・県中の医師や地域連携室の職員による医療機関への訪問
「地域連携室だより」では、富山県立中央病院の診療体制や各診療科の取り組みなどを地域の先生方へお知らせしています。

また、県中の医師や地域連携室の職員が富山県内の医療機関を訪問し、直接顔を合わせて話をすることで、県中の診療内容や受け入れ体制を知っていただく機会にもなっています。
紹介状を活用した地域医療との連携強化


同意をいただいた患者さんについては、かかりつけ医の先生が県中での検査結果や診療経過を確認できる仕組みもあります。かかりつけ医から紹介されて県中で治療を受け、その後またかかりつけ医のもとへ戻るときにも、情報が途切れないようにするためです。
こうした日頃からの情報共有や顔の見える関係づくりが、「紹介状」を通じたスムーズな受診につながっています。
──紹介状があると、患者さんにはどのようなメリットがありますか?
かかりつけ医から紹介状を書いてもらう際、かかりつけ医側から地域連携室を通して、富山県立中央病院の受診予約を取ることができます。
そのため、
・県中での待ち時間短縮につながる
・必要な診療科へスムーズにつながる
といったメリットがあります。
──「逆紹介」という言葉を初めて聞きました。
かかりつけ医から紹介を受けて県中で診療や治療を行ったあと、急性期の治療が落ち着いた患者さんを、再び地域の医療機関へ紹介することを「逆紹介」といいます。
もともと通っていたかかりつけ医へ戻る場合もあれば、かかりつけ医がない方については、お住まいや通いやすさなどに合わせて、地域の医療機関へつなぐこともあります。
県中だけで患者さんを抱えるのではなく、かかりつけ医と県中がそれぞれの役割を担いながら連携することで、患者さんが継続して医療を受けられる体制づくりを進めているんです。

「何科を受診すればいい?」という相談にも対応
──健康診断で「再検査」となった時も受け入れていると聞きましたが?
はい。健康診断で再検査となった方を対象に、新たに「再検査予約専用窓口」を設けています。
健康診断で再検査が必要と言われても、「どの診療科を受診すればいいのか分からない」「再検査の項目が複数あって、どう動けばいいのか迷う」などと悩まれる方は少なくありません。
再検査予約専用窓口では、お電話で健診結果の内容を確認したうえで、受診する診療科や予約日時を調整します。複数の診療科を受診する必要がある場合には、できるだけ同じ日に受診できるよう調整しています。


| 電話番号 | 080-2204-4337 |
| 受付時間 | 平日12:00~15:00 |
退院後の暮らしに向けて、地域につなぐ支援
──入院患者さんが退院する際にも、サポートをされているんですよね?
県中に入院していた患者さんが、安心して地域で生活できるように退院を支援することも、地域連携室の重要な仕事です。
地域連携室では、全入院患者さんを対象に、退院支援が必要かどうかを確認する「スクリーニング」を実施しています。
その中で、予定通りに退院することが難しい方や、入院前と比べて体の状態が変わり、退院後の生活に不安がある方などを把握します。
そうした支援が必要と判断された場合には、医療ソーシャルワーカーなどの専門スタッフが関わり、退院後の生活に向けて必要な調整を行います。

──退院支援の中で大切にしていることは何ですか?
まずはご本人やご家族と直接お会いして、ご意向を伺うことを一番大切にしています。
退院後、ご自宅に帰りたいのか、施設を利用したいのか。患者さんがどういう場所で、どう過ごしたいか。その思いをしっかりとお聞きします。
その上で、介護保険のサービスや、リハビリテーションを行う転院先の病院、施設などを一緒に探していきます。

仕事と治療の両立支援に向けた取り組みも
──仕事と治療の両立支援にも取り組まれているそうですね。
病気になっても仕事を辞めることなく、治療と両立できる社会を目指す国の施策が強化されています。これまでは、がんや脳卒中など一部の病名に限られていましたが、2026年6月からは、すべての病気の方が対象となりました。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html )
「治療のために会社にどう配慮してもらえばいいか」といった悩みがあれば、まずは主治医に相談してください。地域連携室の医療ソーシャルワーカーなどが間に入り、ご本人、主治医、そして会社の担当者の方とで話し合いながら、働きながら治療を続ける方法を一緒に考えていきます。
患者さんのその先の人生を見据える、地域連携室の想い
──地域連携室で大切にしていることや、やりがいを教えてください。
天谷さん(地域連携室長):医師だけで対応することが難しいことも、院内外全ての地域医療機関と連携することで、地域の皆さんがより良い医療を受けられるように、と思っています。
飛世さん(地域連携室主幹):地域連携室に所属するスタッフそれぞれが、自身の専門性を活かしながら、患者さんが納得のいく意思決定ができるようにサポートしていきたいです。
福澤さん(看護師・社会福祉士):患者さんがどうしたいか、ということを一番に考えています。サポートした患者さんが、わざわざ「ありがとう」とお礼を言いに来てくださることもあり、やりがいを感じています。
山下さん(社会福祉士):患者さんと実際に関わるのは数日だけですが、患者さんのその先の人生を見据えて、何ができるかをいつも考えています。

患者さん一人ひとりを支える地域連携室
かかりつけ医と県中をつなぎ、紹介予約や再検査予約、退院後の生活支援、仕事と治療の両立支援まで、幅広い役割を担う地域連携室。
その一つひとつの支援の根底には、患者さんやご家族の思いを聞き、必要な医療や支援へつなげたいというスタッフの想いがあります。
地域の医療機関と県中が連携しながら、患者さんが安心して、その人らしく暮らしていけるように。地域連携室は、医療と暮らしをつなぐ架け橋として、今日も患者さん一人ひとりを支えています。
| 施設名 | 富山県立中央病院地域連携室 |
| 受付時間 | 月曜~金曜日(祝・祭日を除く) 8:30~17:00 |
| 電話番号 | 076-424-1531(内線3177) |
| 公式サイト | https://www.tch.pref.toyama.jp/medical/relation/local_relation/ |