富山市ガラス美術館は、富山市にあるガラス工芸をテーマにした美術館です。本記事では、富山市ガラス美術館とはどのような建物か、見どころ、魅力的な併設施設についてくわしく紹介しています。富山在住の方や、富山観光の予定がある方、ガラス工芸に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
富山市ガラス美術館とは?

富山市ガラス美術館は、富山市にあるガラス工芸をテーマにした美術館です。建物は世界的な建築家の隈 研吾(くま けんご)さんが設計を手掛けており、複合施設「TOYAMAキラリ」内の2階〜6階にあります。2015年の開館以降、地元の方はもちろん、県外や外国人観光客からも注目を集め、2021年時点での来場者数は合計110万人を突破しています。
富山市が「ガラスの街」なのは、くすりが由来にあります。富山市は昔から「富山の売薬」が有名で、戦前はガラス製の薬びんの製造が盛んでした。しかし、富山大空襲でガラス工場の大半がなくなったほか、プラスチックの普及によりガラスは減少していきました。
ですが、市はガラスの魅力に着目し、富山ガラス造形研究所や富山ガラス工房を中心に、地域復興のためガラス工芸の人材育成に取り組み、1985年に「市民大学ガラスコース」を開講しました。それから40年が経ち、富山は日本でも有名なガラスの街として、今もなお発展し続けています。富山市ガラス美術館は、ガラスの街の集大成として富山市が誇る建築物なのです。
館内では、富山市で造られた現代ガラス美術作品を展示しているコレクション展をはじめとして、現代ガラス美術の巨匠といわれているデイル・チフーリさんの工房が制作した作品、数々のアーティストたちが造り上げた1950年代以降の現代ガラス美術作品などを展示しています。建物内にはカフェや図書館も併設されており、1日中楽しめるのも特徴です。
富山市ガラス美術館に並んでいる美術作品は「ガラスは透明で壊れやすく、吹いて作るもの」という従来の固定概念を覆すような、魅力的な作品ばかりです。アーティストの方々がガラスに真摯に向き合いながらつくった作品の数々は、一度は見る価値があります。
富山市ガラス美術館の見どころ
富山市ガラス美術館には、訪れた際にぜひ見ていただきたい多くの見どころがあります。中でもおすすめの見どころを4つ紹介します。
建物の外観

富山市ガラス美術館は、世界的な建築家の隈 研吾さんによって設計された建物です。ガラス・アルミ・白御影石の3種類の細長いパネル約1000枚がランダムに並べられており、キラキラと輝きを放っています。この存在感ある外観は、立山連峰の峰々の山肌をイメージしてデザインされたのだそう。
天候や時間帯によって輝きを変える幻想的な外観は、建物そのものが1つのアート作品かのようです。見た目の美しさはもちろん、立山連峰と関連づけた構想や、県の主産業であるアルミとガラスを使用した点も、富山市ガラス美術館ならではの建築ポイントといえるでしょう。

建物内は、富山県産杉材のルーバー(羽板)を活用するなど、富山を意識したぬくもりあふれる空間です。吹き抜け部分は、「スパイラルボイド」と呼ばれる立体的に螺旋を描きながら突き抜ける造りで、6階の天窓から斜めに光りが差し込んでいます。杉板とガラス、鏡が並んで光をやさしく反射させ、森の中にいるような感覚を覚えます。
常設展

常設展は2〜4・6階で開催されており、3種類の展示コーナーに分かれています。常設展の観覧料金は一般・大学生200円(「グラス・アート・パサージュ」は観覧料無料)です。
2〜4階で観覧できる「グラス・アート・パサージュ」は、富山にゆかりのある作家20名の作品が50点ほど並べられている展示コーナーです。ガラスの街として知られている富山で、ガラス制作を学んだ作家たちが造る作品は、どれもガラスという素材を最大限に生かしたユニークな発想のものばかりです。器やオブジェ、彫刻など、富山から世界へ羽ばたいている作家たちが造り上げた芸術作品と、建築空間との調和が魅力です。展示されている作品は、年に一度展示替えがあります。
4階には、富山市が「ガラスの街とやま」を目指しながら、30年にわたって集めてきた現代ガラス美術品を展示している「コレクション展」があります。富山市が古くから大切にしてきた歴史的価値のある作品に触れることで、ガラス工芸の進化や文化的背景を感じられます。展示されている美術品は、伝統的なガラス工芸文化を受け継いだものから、新しい芸術の挑戦を感じられるものまで幅広いジャンルを楽しめるのが特徴です。
6階にある「グラス・アート・ガーデン」は、現在ガラス美術の巨匠であるデイル・チフーリさんによるインスタレーション(空間全体を作品として体験させる芸術)作品が並ぶ展示コーナーです。5つの作品が展示されており、天上一面にカラフルなガラスパーツを敷き詰めた「トヤマ・ペルシャン・シーリング」のほか、ガラスで造られた繊細な花々が輝く「トヤマ・ミルフィオリ」、ボートに乗ったカラフルなガラスのボールが可愛らしい「トヤマ・フロート・ボート」など、光を通してガラスが生み出す影や色彩の輝きを楽しめます。
企画展

企画展は、訪れるたびにさまざまなアーティストの展示を楽しめる展示コーナーです。ガラスという素材の奥深さを再発見できるのが魅力の一つです。2015年の開館当初から2021年までに開催された企画展は、合計30本を超えています。
企画展の魅力は、国内外で有名なアーティストの芸術作品を間近で鑑賞できるほか、毎回異なる視点やテーマでガラスの可能性を最大限に活かしている点です。普段は見られないガラス作品が集結し、ガラスという素材が持つ輝きや光とのコラボレーションを存分に堪能できます。また、作品と建物との調和も計算しながら配置されているのも特徴の一つです。隈 研吾さん設計の空間を活かしながら、建築空間とガラス作品が一体となった視覚的な体験が生まれます。
ミュージアムショップのおみやげ

建物の2階には、開放感あふれるミュージアムショップが併設されています。お店では展覧会の図録やポストカード、クリアファイル、てぬぐい、トートバッグなど富山市ガラス美術館でしか手に入らないオリジナルグッズが豊富に販売されているのが魅力です。
また、ガラスの器やアクセサリーなど、「ガラスの街とやま」ならではのガラス工芸品も販売されているため、富山市ガラス美術館に行った際はぜひ立ち寄ってみてください。
美術館に併設されているおすすめスポット
富山市ガラス美術館には、併設されている魅力的なスポットが複数あります。中でもおすすめの2つを紹介します。
Cafe小馬キラリ店

TOYAMAキラリの2階にあるミュージアムカフェ「Cafe小馬キラリ店」。開放的でおしゃれな空間が特徴のカフェです。「ガラスとつながる」「ガラスと一緒」をコンセプトとして掲げており、お皿などにもおしゃれなガラスが使われているのが魅力の一つです。
カフェではクリームソーダ、ドリップコーヒー、コーヒーフロート、抹茶など懐かしさを感じられるメニューから、黒色のモチモチ生地に餡がぎっしり詰まった「富山ブラック豚まん」まで幅広いメニューが提供されています。
カフェ内の窓際にある席は、晴れた日は立山連峰を望めるのも魅力の一つです。富山市ガラス美術館でたくさんの芸術作品に触れた後は、ミュージアムカフェでほっと一息ついてみてはいかがでしょうか。
富山市立図書館

「富山市立図書館」は、TOYAMAキラリの3~5階にある図書館です。3階は児童図書フロア、4階は一般図書フロア、5階は参考図書フロアに分かれており、館内にはジャンル問わず約45万冊もの書籍が並んでいます。
図書館で本を借りる際は、専用の図書カードを使って借ります。氏名と住所が分かるものがあれば誰でもカードを作れるため、富山市外の方でもカードを作成できます。また、富山市立図書館の分館であれば、どこでも返却可能なのも嬉しいポイントです。観光の合間や、富山市ガラス美術館前後の空き時間など、気軽に本を読みたい方はぜひ利用してみてください。
富山市ガラス美術館で富山のアート作品を堪能しよう
今回は、富山市ガラス美術館の詳細や見どころ、おすすめの併設施設について紹介しました。
富山市ガラス美術館は、隈 研吾さんが設計した建築と、全国の有名アーティストが造り上げたガラス工芸品のコラボレーションを間近で体感できる施設です。美術館はもちろん、併設されているミュージアムショップやカフェ、図書館なども魅力満載。
富山に来た際は、富山市ガラス美術館で「ガラスの街とやま」を体感してみてはいかがでしょうか。
住所 | 富山市西町5番1号 |
アクセス | 【車】 「富山IC」より約20分 【電車】 富山駅より市内電車環状線にて約12分「グランドプラザ前」下車後徒歩約2分 富山駅より市内電車南富山駅前行きにて約12分「西町」下車後徒歩約1分 【バス】 富山地鉄バス「西町」下車すぐ「総曲輪」下車後徒歩約4分 |
公式サイト | https://toyama-glass-art-museum.jp/ |
公式Instagram | https://www.instagram.com/toyamaglassartmuseum/ |
開館時間 | 9:30~18:00(金・土曜は20:00まで) |
問合せ先 | 076-461-3100 |
定休日 | 第1・3水曜、年末年始 |
駐車場 | なし ※周辺駐車場は以下ご確認ください https://toyama-glass-art-museum.jp/visitor/#about_access |