富山県立中央病院が支えるドクターヘリ|もしもの時、医師と看護師が現場へ 

  • 公開日:
この記事にはプロモーションが含まれます。

ドクターヘリは、医師と看護師が現場へ向かう救急医療 

取材でまず驚いたのは、ドクターヘリの速さでした。最大速度は時速約240km。富山県内の現場へ短時間で向かうことができます。

北陸新幹線なみの速さで現場へ向かうドクターヘリ 

しかし、ドクターヘリの大きな役割は、速く飛ぶことだけではありません。医師や看護師が早く現場へ行き、診断や治療を始めることにあります。

富山県立中央病院 救命救急センター部長の松井先生は、こう説明します。

休日も仕事のことを考えてしまうタイプだそうですが、オフの時間にはお子さんと過ごすことも大切にしていると話す救命救急センター部長・フライトドクターの松井恒太郎先生 。

「例えば心筋梗塞の患者さんがいた場合、現場で私たちが心筋梗塞だと診断し、搬送先の病院に前もって連絡しておけば、病院側はすぐに治療の準備を始められます。病院に到着してからの時間を短縮し、治療開始を前倒しできる。それが大きな利点です」

機体後部からストレッチャー を搬入するドクターヘリ 

実際に見学したドクターヘリの機内は、決して広い空間ではありません。
それでも、限られたスペースの中に医療機器や資機材が備えられ、医師と看護師が患者さんの状態を見ながら必要な対応を行えるようになっています。

出動に備えて行われる、朝のブリーフィングの様子 

また、出動に備えた準備も欠かせません。 朝のブリーフィングでは、その日の天候、運航できる範囲、注意事項などをスタッフ全員で確認していました。

ドクターヘリに搭乗する医療スタッフは、フライトドクター2名とフライトナース1名。操縦士や整備士とともに現場へ向かいます。 

ドクターヘリは患者さん本人や家族が直接要請するものではありません。119番通報を受けた消防機関が、通報内容や現場の状況から必要と判断した場合などに出動します。

もしもの時に大切なのは、迷わず119番通報し、落ち着いて状況を伝えることです。

救急車との違いは、現場に医師がいること

救急車とドクターヘリの大きな違い。
それは、医師が現場に向かうことです。

救急救命士も、法律で定められた範囲で救命処置を行います。
一方で、医師が現場に到着することで患者さんの状態をその場で診断し、必要な処置を早い段階で始めることができます。

その違いを強く感じた事例について、フライトナースの大屋さんが話してくれました。

フライトナースの大屋さんは忙しい日々の中でも、週末はお子さんのサッカーに付き添う時間が楽しみだそう。救急医療への真剣な思いと、やわらかな人柄が印象的でした。 

ある時、県西部の現場へドクターヘリで向かったことがありました。
患者さんは「急性大動脈解離」という、命に関わる重い病気が疑われる状態でした。

急性大動脈解離とは、心臓から全身に血液を送る太い血管に異常が起こる病気です。場合によっては急速に状態が悪化することがあります。

現場に到着した時、患者さんはまだ会話ができる状態でした。ところが、短い時間の間に意識や血圧が大きく変化していったといいます。

さらに、心臓の周りに血液がたまり、心臓の動きを妨げる「心タンポナーデ」と呼ばれる状態も起きていました。

「もし救急車だけで搬送していたら、病院に着くまでに30分以上かかっていたかもしれません。でもドクターヘリには医師が乗っています。医師がその場で判断し、心臓の周りにたまった血液を少しずつ抜きながら、患者さんの状態を保って搬送につなげることができました」

大屋さんにとっても、「医師が現場にいること」の意味を強く感じた出来事だったといいます。

中央病院だけでは成り立たない。地域全体で支える救急医療

富山県のドクターヘリの基地病院は、富山県立中央病院です。
しかし、この仕組みは中央病院だけで成り立っているわけではありません。

松井先生が大切にしているのは、「富山県全体で救える命を救う」という考え方です。

「富山県のドクターヘリは、ほかの基地病院と比べて、自分たちの病院に患者さんを搬送する割合が少なく、全体の約3割ほどです」

患者さんの状態や必要な治療に応じて、地域の病院で対応できる治療は地域の病院へ。中央病院でなければ対応が難しい治療は中央病院へ。松井先生は、そうした役割分担を重視しています。

地域の病院や消防との連携について話す松井先生 

「何でも中央病院へ搬送する形にしてしまうと、地域の病院が救急医療を担う力が弱くなってしまいます。ドクターヘリは天候が悪ければ飛べませんし、夜間も運航していません。だからこそ、地域でできる治療は地域で担い、県立中央病院でなければ対応が難しい治療は中央病院へつなぐ。その役割分担を大切にしています」

この連携を支えているのが、消防や地域の病院とのコミュニケーションです。松井先生は、関係者と実際の症例を振り返りながら、よりよい運用に向けた話し合いも続けています。

フライトドクター・フライトナースは普段何をしている?

ドクターヘリに搭乗する医師や看護師は、特別な時だけ活動しているわけではありません。出動要請がない時間は、中央病院の救命救急センターで患者さんの対応にあたっています。

救命救急センターで勤務中の大屋さん。急なドクターヘリ出動にもすぐ対応できるよう、ドクターヘリ用のユニフォームを着用しています。

「要請が入ると緊急用のエレベーターで屋上のヘリポートへ上がり、出動します」と松井先生。

要請の合図は、スタッフが持つ専用PHSの音。その音が鳴ると、対応中の患者さんを他のスタッフに引き継ぎ、屋上へ向かいます。

要請から離陸までの時間は、およそ5分
その短い時間で、医師、看護師、操縦士、整備士がそれぞれの役割を確認し、現場へ向かう準備を整えます。

ドクターヘリの経験が、普段の救急外来にも生きる

フライトナース歴7年の大屋さん。ドクターヘリでの経験は、普段の救急医療にも生きていると話します。

「ドクターヘリでは、基本的に重症の患者さんを想定して現場に向かいます。そうした経験を積んでいると、救急外来で急に重症の患者さんが来られた時にも、必要な準備をある程度想定して動くことができます」

限られた情報の中で患者さんの状態を想定し、医師や救急隊と連携しながら必要な準備を進める。

その経験は、中央病院の救急外来で患者さんを迎える日常にもつながっています。

「急変にも、以前ほど怖さはないというか。リーダーシップを取ったり、若いスタッフに教えたりする場面にもつながっています」

子どもたちにも、ドクターヘリを身近に知ってもらうために

富山県立中央病院では、毎年夏休みに子ども向けのドクターヘリ見学会も実施しています。募集が始まると多くの応募がある、人気の高い取り組みです。

見学会では、実際にドクターヘリを見たり、医療スタッフの話を聞いたりしながら、救急医療の仕組みを学びます。

ドクターヘリが現場近くに着陸し、救急隊と合流する場所を「ランデブーポイント」といいます。富山県内には600か所以上のランデブーポイントが設けられており、中には小学校や中学校のグラウンドが指定されている場所もあります。 

自分たちが通う学校や、身近な地域のグラウンドが、いざという時に命をつなぐ場所になる。そう知ることで、ドクターヘリは子どもたちにとっても少し身近な存在になります。

ヘリを見かけた時は、近づかず、消防や救急隊の指示に従うことも大切です。

見学会は、ドクターヘリを「特別な乗り物」として見るだけでなく、地域全体で救急医療を支えていることを知る機会にもなっています。

いざという時、富山には救急医療の仕組みがある

ドクターヘリは、空を飛ぶ特別なヘリコプターではなく、富山の救急医療を支える仕組みの一つです。

消防、救急隊、地域の病院、そして富山県立中央病院。それぞれが連携することで、いざという時の命をつないでいます。

もしもの時は、迷わず119番通報し、落ち着いて状況を伝えること。

富山県立中央病院は、地域の救急医療を支える拠点として、今日もその時に備えています。

施設名富山県立中央病院
住所富山県富山市西長江2丁目2番78号
公式サイトhttps://www.tch.pref.toyama.jp/aboutus/trait/emergency/
初診受付地域連携予約ありの場合/午前8時30分〜午前11時00分
地域連携予約なしの場合/午前9時00分〜午前11時00分
再診受付予約ありの場合/午前7時30分〜予約時間まで
予約なしの場合/午前9時00分〜午前11時00分
休診日土・日・祝日・年末年始(12月29日〜1月3日)
※ゴールデンウィーク、お盆等の平日は通常どおり
  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
トイエバ編集部

トイエバ編集部

様々な富山の情報をお届けするトイエバ編集部です!

地域情報メディア、toiebaでは「グルメ」「住宅」「防災」「ペット」「観光」をテーマに、富山を知り尽くした地元のライターや防災に関する専門家、ただただペットを溺愛する飼い主など、多様なライターが集まるtoiebaが楽しくにぎやかに、そしてためになる情報をお伝えしていきます。

  1. 富山県立中央病院が支えるドクターヘリ|もしもの時、医師と看護師が現場へ 

  2. 富山県のおすすめコテージ8選!自然を満喫できる宿泊施設を紹介

  3. 【ホテルJALシティ富山】夏の新定番!スイーツ技が光る極上かき氷  

RELATED ~関連記事~

PAGE TOP