猫をなでることで得られるメリット

猫をなでる行為はただのスキンシップではなく、さまざまなメリットが期待できます。猫をなでることで得られる、具体的なメリットを3つ紹介します。
猫と仲良くなれる
猫をなでることは、猫とのコミュニケーションの基本です。優しく触れることで猫は安心感を覚え、次第に心を開いてくれます。
猫にとって「ここにいると安心」と感じられる存在になることで、日常的な触れ合いがスムーズになり、遊びやお世話も楽しめるようになります。
猫の体調に異変がないかチェックできる
猫をなでることは、体調の変化を知る大切な機会でもあります。
普段から全身をなでていると、体の感触や毛の状態、温かさの違いなどを自然と覚えていくものです。そのため、少しでも「今日は毛並みがゴワついている」「背中に小さなしこりがある」「体がいつもより熱い気がする」といった違和感に気づけるようになります。
また、触れられるのを嫌がる場所が出てきた場合も注意が必要です。痛みや不快感があると、猫はその部分を避けようとすることがあります。早めに気づいてあげることで、病気やケガのサインを見逃さずに済みます。
毎日なでて「いつもの状態」を知っておくことが、異変をいち早く見つけることにつながります。
お手入れしやすくなる
猫をなでる習慣があると、自然とお手入れもしやすくなる点もメリットです。なでられることに慣れている猫は、体を触られることへの抵抗が少なくなるため、ブラッシングや爪切り、耳掃除などのケアもスムーズに行えるようになります。
普段から手のひらでやさしく全身をなでていると、「触られるのは気持ちいいこと」と猫が覚えてくれます。そのため、いざお手入れをしようとしたときも落ち着いてくれるでしょう。逆に、触られ慣れていない猫は、少しの刺激にもびっくりして逃げたり、怒ったりしてしまうことがあります。
日常のなでる時間が増えるほど、猫との信頼関係が深まり、体を任せてくれるようになります。結果として、お互いにストレスを感じることなくお手入れできます。
猫が触られて嬉しい部位

猫と上手にふれあうためには、なでる部位となで方が重要なポイントです。
猫の体には、なでられるとリラックスしやすい部位と、逆に敏感で触られるのが苦手な部位があります。猫が喜ぶなで方のポイントを紹介します。
- 顔まわり
- 顎下、首元、肩
- 背中の中心
顔まわり
猫は、自分の体を清潔に保つほか、体温調節、ストレス解消などのために、自分の体を舐める「グルーミング」をします。しかし、顔周りや耳は自分では舌が届きにくいため、親しい猫に舐めてもらう「アローグルーミング」でケアすることが一般的です。
そのため、猫の顔をなでることは「私はあなたを大事に思っている」というメッセージにもつながります。
顔まわりをなでる際は、いきなり顔に触れるとびっくりさせてしまうため注意が必要です。まずは周囲を優しくなでて、猫がご機嫌になったら顔周りに手を伸ばしましょう。筋肉をほぐしてあげるようななで方で触れると、猫もリラックスできます。
顎下、首元、肩
猫の顎下や首元、肩の部分は、自分ではグルーミングしにくい部位です。なでるときは、頭から胴体に向かって両手でやさしくなでましょう。指の腹で挟むようにしてほぐすと、特に効果的です。
また、顎の下にはフェロモンが分泌される臭腺があり、かゆみやできものが出やすい場所でもあります。なでることで猫との信頼関係を深めながら、健康状態に異変がないかもチェックしましょう。
背中の中心
多くの猫がなでられるのを好む部位が、背中の中心部です。
なでる際は、頭頂部から首元、背骨に沿って尾の付け根まで、毛並みに沿って手のひらや指を使ってやさしく触れることがポイントです。指をくしのように立てて撫でると、毛の間まで心地よく刺激できます。
ただし、お腹に近づくと敏感に反応する猫もいるため、背中中心を意識して安全になでましょう。
猫がなでられるのが苦手な部位

猫の体には、なでられると喜ぶ部位が多い反面、触られるのが苦手な部位もいくつかあります。苦手な部位を無理にさわると、猫は驚いたり怒ったりしてしまうことがあるため、注意が必要です。
猫がなでられるのが苦手な部位と、理由について紹介します。
- お腹
- しっぽ
- 足先、肉球
お腹
お腹は、猫などの動物にとって「急所」といえる部位で、大抵の猫は触ることを嫌がります。
骨で守られている背中に対し、お腹は骨で保護されていないため、生きていくうえで重要な内臓を守ろうと本能的に警戒するのです。お腹を見せているからといって、急に触ったりすると、逃げたり怒ってひっかく可能性もあります。
お腹をなでても良いかは、信頼関係や個体差にもよります。なでるときは、なでて喜ぶ部位から触りはじめたり、嫌がっていないか表情を観察するなど、十分に注意しましょう。
しっぽ
しっぽは猫にとって感情を表す大事なパーツで、神経も多く通っている部位です。しっぽの先や根元を強く触ると、痛みを感じたり不快に思ったりする猫がほとんどです。
特に、しっぽを引っ張ったり握ったりするのは絶対にやめましょう。短く優しく撫でる程度なら受け入れてくれることもありますが、反応を見ながら慎重に行うことが基本です。
しっぽをピンと立てているときは上機嫌、大きくブンブン振っているときはイライラしているサインのため、その日の気分もよく観察してみてください。
足先、肉球
足先や肉球も、猫が苦手とする部分です。歩くときに常に地面と接している場所であるため、敏感で少し触られるだけでもくすぐったく感じたり、不安になったりします。
爪切りのときに暴れてしまうのも、敏感であることが原因のひとつでもあります。普段から少しずつ足先に触れることに慣れさせておくと、将来的にケアがしやすくなりますが、嫌がる場合は無理に触らず、短い時間から少しずつ慣らしていくのがおすすめです。
猫の喜ぶなで方のコツ3つ

猫をなでるときは、ただ触るだけでなく、猫の体の特徴や気持ちに合わせたコツを押さえることが大切です。猫が喜ぶなで方のポイントを3つ紹介します。
1.毛並みに沿って、ゆっくりやさしくなでる
猫をなでる際は、猫の毛並みに沿って、一定のリズムでゆっくりなでることが基本です。これは、猫だけでなくすべての動物に共通する触り方です。
急に強くなでる、逆方向になでるといった触り方をすると、猫は不快に感じてしまいます。
猫が嫌がっていたら無理になでない
猫をなでた際、反応には注意が必要です。
急に目を見開く、振り返る、噛む、耳が後ろに反るなどのサインが見られたら、無理になでずに一度手を止めましょう。
猫の気持ちを尊重することで、なでられることが嬉しいと思うことにつながって、次回以降も安心して触れ合えます。
2.部位によってなで方を変えてみる
猫をなでる際は、部位によってなで方を変えるとよりリラックスしてくれます。
顔周りやあごの下、耳の根元、眉間などは指の腹を使い、ゆっくりとなでることが効果的です。首元や肩、頭頂部は指先でくすぐるように小刻みになでると、猫はリラックスしつつ楽しめるでしょう。両手で円を作り、顔から首元を包み込むようになでるマッサージ風もおすすめです。
部位によってなで方を変える際は、必ず猫の反応を見ながらなでましょう。
3.なでられるのが苦手な猫は、手の甲でなでる
中には、人に触られることに抵抗がある猫もいます。
そのような場合は、手の甲を使って優しくゆっくり体をなでることがおすすめです。人間の手に慣れてもらうことで、安心感を与えられます。
手の甲でなでても嫌がる場合は無理に触らず、少しずつ距離を縮めていきましょう。猫の気持ちを最優先して、決して焦らないことがポイントです。
猫が喜ぶなで方で、愛情を伝えよう
猫とのスキンシップは、ただ触れるだけでなく、猫の体や気持ちに合わせたなで方が重要です。
毛並みに沿ってゆっくり撫でたり、部位に応じて手の動きを変えたりすることで、猫は安心感を覚え、信頼関係が深まります。また、嫌がるサインを見逃さず無理に触らないことも、愛情表現のひとつです。
なで方のポイントを押さえることで、猫はリラックスしながら飼い主の気持ちを感じ取れます。猫が安心するなで方で、愛情をたっぷり伝えてみてはいかがでしょうか。
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