みなさん「テロワール」って聞いたことがありますか?
ワインの原料となるブドウの産地の気候や地形・風土などの個性を表現する言葉です。
富山県では、そんなテロワールという言葉を使って、富山の自然や生産者の想いが詰まった野菜や果物・花を、もっとたくさんの人に知って食べてもらおう!という、「とやまテロワールベジ」という取り組みを行っています。
そんな富山の個性がきらりと光る「とやまテロワールベジ」に選ばれた野菜たちを紹介します!

今回紹介するのは、富山市の神明地区で育つ「名水神かぶら」。
真っ白な丸い玉に、ピンと伸びた緑の葉。家庭でも扱いやすい小かぶで、玉はもちろん、葉までおいしく食べられます。
その魅力を探るため、名水神かぶらを育てている神明おのがわ農園代表の各川豊章(おのがわ とよあき)さんにお話を伺いました。

「名水神かぶら」ってどんなかぶ?
名水神かぶらは、富山市の神明地区で神明青果出荷組合のみなさんが生産している小かぶです。
水源豊かで名水が多い富山のイメージと、神明地区の「神」の字を取って、「名水神かぶら」と名付けられたそうです。
\見た目の特徴/
◆玉が真っ白で、つやとハリがある
◆玉の大きさが小ぶり
◆葉の緑が色鮮やか
\味の特徴/
◆みずみずしくなめらかな食感
◆ジューシーな肉質
◆葉がシャキシャキ

私は新鮮な名水神かぶらを生で味わってみたいと思い、自宅でスライスして食べてみました。
まずは何も付けずに食べてみると、みずみずしくなめらかな食感で、かぶそのものの甘みも感じられます。
さらに醤油を1滴垂らしてみると、醤油の塩味で甘みがいっそう引き立ちます!
醤油の香りも相まって、箸が止まりませんでした。
みずみずしさの秘密は、土の水分に!

名水神かぶらのみずみずしさには、土に含まれる水分が関わっているんです。
神明地区では、比較的早く収穫できる稲を刈った後に、かぶの種をまく栽培が多いのだとか。各川さんによると、田んぼの土に残る水分を吸収することで、みずみずしいかぶに育つそうです。
また、稲刈り後の田んぼでは、ナメクジなどの害虫が少なく、きれいなかぶを育てやすいというお話もありました。
今回伺った各川さんの畑では、基本的に雨水と土の中にある水分を生かして育てており、普段は水やりをしていないそうです。
表面が乾いて見えても、土の中には水分が残っているのだとか。目には見えにくい土の中にも、みずみずしさを支える秘密があるんですね。
雨や虫と向き合う、生産者の日々

とはいえ、水分は多ければ多いほどよい、というわけではありません。
取材した年は夏の終わりから雨が多く、種まきや生育に大きな影響があったそうです。うねが水につかるほど雨が降ると、種が流されてしまうおそれもあるため、畑に水がたまらないよう、排水にも気を配っています。
ほかにも、大変だと話していたのが虫への対応です。
葉が小さいうちに虫に食べられると、成長するにつれて穴も大きくなってしまうのだそう。葉まできれいに育てるため、天候や虫の発生状況を見ながら、防除などの管理を行っているそうです。
真っ白な玉と鮮やかな緑の葉。その姿の裏には、生産者さんの日々の手間がありました。
葉まで新鮮に!届けるためのひと工夫

大切に育てた名水神かぶらを、葉まで新鮮な状態で届けたい。そのための工夫は、収穫した後にも続きます。
葉は鮮度の変化が出やすく、傷みやすい部分。市場が近い神明地区は、葉まで新鮮に届けられることが強みです。
さらに、土を落とす洗浄作業にもポイントがありました。
使うのは、かぶ専用の洗浄機。かぶがくるくると回転しながら、高圧の水で土が落とされ、次々と真っ白な姿をあらわします。

ここで大切なのが、玉の部分を上にして洗うこと。
葉に強い水が当たりにくくなり、傷むのを防げるのだそうです。
洗ったかぶは、生産者さんが持ち帰ってサイズ分けや最終確認を行い、束ねて出荷します。
つい白い玉に目が向きがちなかぶですが、おいしく食べられる葉にも、生産者さんのこだわりが詰まっていました。

ホテルJALシティ富山のシェフに聞く、家庭で簡単レシピ
玉だけでなく葉までみずみずしくおいしい「名水神かぶら」。
名水神かぶらを、家庭でもあますことなく楽しむにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、ホテルJALシティ富山のシェフに、名水神かぶらの持ち味を生かした、家庭で簡単に作れるレシピを教えていただきました。
名水神かぶらのポタージュ
生クリームと牛乳のまろやかなコクに、軽くつぶしたかぶのやさしい味が重なる、なんだかほっとする一品。
サッと熱を加えた葉と黒胡椒がアクセントになり、最後まで飽きずに楽しめます。

どこで買える?出荷はいつまで?

\出荷時期/
出荷の目安は10月上旬から12月上旬
雪が積もるようになると、雪で葉っぱがつぶれてしまうので出荷されなくなるそうです。
8月中下旬に種をまき、最初に収穫できるのが10月上旬ごろで、10月下旬から11月上旬が収穫のピークで、一番おいしいそうです。

\購入できる場所/
名水神かぶらは、主に市場を通じて県内のスーパーなどに出荷されています。
現在、店頭でも「名水神かぶら」と分かるよう、専用の包装や表示を検討しているそうです。
今後、スーパーで「名水神かぶら」を見つけたら、ぜひ手に取ってみてください。

\保存のポイント/
保存するときは、玉と葉を切り離すのがポイント。葉が玉の水分を吸うため、分けて冷蔵庫に入れておくとよいそうです。
「買ったよ」「おいしかったよ」が、農業のやりがいに

最後に、農業をしていてよかったと感じる瞬間を伺いました。
各川さんにとってうれしいのは、地域の人から「買ったよ」「おいしかったよ」と声をかけてもらえること。
自分たちが育てた野菜が、身近な人の食卓につながっている。その実感が、仕事のやりがいになっているといいます。
また、毎年小学生や保育園児と一緒に、農業体験も行っているそうです。
子どもたちや地域の人と関わり、体験の後にお礼の言葉をもらうことも、うれしい瞬間なのだとか。
各川さんの言葉から、誰にとっても欠かせない「食」を支えながら、地域の人とつながることを大切にされている想いが伝わってきました。
みずみずしい玉と、おいしく食べられる葉。その両方を届けるために、神明青果出荷組合の皆さんが日々工夫を重ねている名水神かぶら。
旬を迎える秋には、葉っぱまであますことなく「名水神かぶら」を食卓で楽しんでみてはいかがでしょうか。











